【レビュー】ミレー ドライナミック メッシュ インナーウェア ~夏は涼しく冬は暖かく 年間を通じて活躍する変態メッシュインナー~

MILLET DRYNAMIC MESH アウトドア アンダーウェア MIV01248

鎖帷子のような外観が特徴のインナーウェア。ウエアと皮膚の間に隙間をつくることで、夏場は汗の蒸発を促し、一方寒いシーズンは濡れたウエアによる身体の冷えを防ぐ。

評価 ★★★★☆ 冬の雨レースでは手放せない

購入価格 3800円(Amazon

長所 -Pros-

  • メッシュで隙間を作り、皮膚表面をドライに保つ
  • 体表面やウエアの乾燥を促進する
  • 濡れたウエアによる体の冷えを防ぐ

短所 -Cons-

  • 粗い網目の肌触りが気になり、着心地はいまいち
  • 着用した姿はまさに変質者

皮膚とウエアの間に隙間をつくる

体温を適正な範囲にキープして運動パフォーマンスを高めるためには、ウエア、特にインナーウエアの選択が重要だ。

私が年間を通じて愛用しているのがミレーのドライナミックメッシュインナー。
厚みのある粗いメッシュ生地が特徴的だが、これは皮膚とウエアの間に隙間を作り、皮膚表面をドライに保つのが狙い。

大量に発汗する暑い季節、ウエアが汗で完全に濡れてしまうと肌に張り付き、蒸発が妨げられる。たいへん不快なだけでなく体温調整に支障をきたすというわけ。
こういう状況では、メッシュインナーを下に着ておくと、体表面の汗をウエアに吸わせつつも隙間を作ることで、皮膚表面に風が当たり、汗の蒸発を促すことができる。

また、濡れたウエアが直接皮膚に触れないため、汗冷えを防ぎ、雨天時にも体表面を冷やさない。

粗いメッシュが皮膚とウエアに隙間を作る

メッシュ自体は保水しにくいポリプロピレン製で、濡れても重たくならないようになっている。

着心地は悪い

このインナー、変質者っぽい見た目に加えて、着心地もあまり良くない。
粗い網目なのでどうしてもゴワゴワして肌触りが良くない。しかも、網のサイズが絶妙で乳首が挟まり、ピンポイントで冷たい。

体温維持能力と着心地を天秤にかけて判断することになる。私はというと、発汗量が多い夏場と、冬場の雨天レースで着ることが多い。

あと、タイトなウエアの下に着ると肌に網目の跡が残るので、レース後すぐ温泉に入ったりすると、ちょっと特殊な性癖の人だと勘違いされるかもしれない。

どう見ても変質者

雨のシクロクロスレースでは低体温症に注意

私はシクロクロスを中心にレース活動を行っている。シクロクロス競技のシーズンは冬場なので気温は低いものの、ロード競技に比べると速度が遅く、運動強度も高いため、競技時間中に寒さを感じることはあまりない。
11月中旬までは素肌に直接半袖ジャージ、最も冷え込む1月~2月でも、薄手の長袖インナーを着るくらい。

ところが、雨が降ると状況は一変する。

濡れたウエアに走行風が当たると、体表面の温度をどんどん吸い取っていく。気温が一桁の日に雨が降ると、低体温症で動けなくなってリタイアする選手も見かける。
かといって、レインウェアを着て走るのは動きにくいうえ、暑すぎる。

雨の日のシクロクロスでは、ウエアに

  • 冷えや熱のこもりを防ぎ、体温を一定に保つこと
  • 動きやすいこと

が求められる。
これは標高が高い場所でのヒルクライムレース等にも当てはまるんじゃないだろうか。

こういった状況で、メッシュインナーが大活躍する。

シクロクロスレースでのレイヤリング例

寒さと暑さ、両方の対策をしなければならない冬場のウエア選択は難しい。

登山では肌着・中間着・上着を重ね着(レイヤリング)して天候や気温、運動量変化に対応するのがセオリーだが、
自転車のレースでは、レース中の気温に合わせて最小限のウエアで保温する。まさかレース中に着替えるわけにもいかないので、体温調整はジャージのジッパーを上げ下げしたり、アームカバーをつけ外しするくらい。

以下に、シクロクロスレース時のウエア選択の一例を挙げる。

気温5度前後 晴れ

  • 長袖化繊インナー
  • 半袖ジャージ

天候が晴れならば、気温が5度前後でも長袖インナーウェアの上に夏用の半袖ジャージを重ね着するだけ。

気温10度前後 雨

  • ドライナミックメッシュインナー
  • 長袖化繊インナー
  • 半袖ジャージ

雨が降った場合は、気温が10度前後であれば上記の晴れ装備の下にメッシュインナーを着用する。

気温5度前後 雨

  • ドライナミックメッシュインナー
  • 長袖メリノウールインナー
  • 裏起毛アームカバー
  • 半袖ジャージ

これくらいの気温で雨が降ると、いよいよ低体温でリタイアする選手が出始める。もう少し気温が下がって雪になったら逆に寒さがマシになるんだけど。

ここまでの過酷な条件では、メッシュインナーの上に、濡れても汗冷えしにくいメリノウールインナーを重ね、腕は裏起毛のアームカバーで保温する。
レース中の運動強度でギリギリ汗をかかないくらいの防寒性能なので、レースが終わったらすぐ乾いた服に着替えたい。

まとめ:年間を通じて役立つ1着

パフォーマンスを発揮するためには、体温を適正に保つことが必須。
このメッシュインナー、見た目はともかく効果は確かで、夏場は汗の蒸発を促し、冬場は濡れたウエアによる身体の冷えを防ぐ。

日差しが照りつける酷暑の中や、真冬の冷たい雨の中でも走るマゾ…タフなサイクリストは、ぜひ。

跳ね上げる水しぶきも冷たい。

なお、シャツ・ショーツなどラインナップは多いが、レディースはかなりあやしい感じ。