MTBのディスクブレーキはポストマウントというマウント形式が主流だが、ディスクロード向けディスクブレーキキャリパーではフラットマウントという新規格が採用され、キャリパーが小型軽量化された。
キャリパー小型化に伴い、ブレーキパッドも新形状の専用品となったが、パッド材質や放熱フィンの有無で何種類かあるので情報を整理した。
なお、クロスカントリー向けのMTBブレーキでも新型パッドやフラットマウント規格が採用されている。
フラットマウントキャリパー用ブレーキパッド一覧
下表に示すフラットマウント規格のロード系ブレーキキャリパーと、一部のMTBブレーキキャリパーでは共通のブレーキパッド(K~, L~)を使う。
種類 | ブレーキキャリパー |
MTBコンポ | BR-M9100※, BR-M9110, BR-M8110 |
ロードコンポ | BR-R9170, BR-R8070, BR-R7070, BR-4770 |
シリーズ外 | BR-RS805, BR-RS505, BR-RS405, BR-RS305 |
GRX | BR-RX810, BR-RX400 |
METREA | BR-U5000 |
※BR-M9100はポストマウント規格
2022年4月現在、パッドのラインナップ(シマノ)は6種類。スペックをまとめると以下のようになる。
型番 | 品番 | パッド素材 | バックプレート | フィン | 実測重量(ペア・バネ込) | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
K04Ti | Y8PU98020 | メタル | チタン | – | – | 定価2567円(Amazon) |
K04S | Y8N398020 | メタル | 鉄 | – | 20g | 定価1968円(Amazon) |
K03Ti | Y1XC98010 | レジン | チタン | – | – | 定価1562円(Amazon) |
K02S | Y8N398010 | レジン | 鉄 | – | 16g | 定価915円 |
K03S | Y8Y898010 | レジン | 鉄 | – | – | 定価957円(Amazon) |
K05S | Y2GM98030 | レジン | 鉄 | – | – | 定価1001円(Amazon) |
L04C | Y8N398040 | メタル | 鉄 | アルミフィン | – | 定価3074円(Amazon) |
L02A | Y8N398030 | レジン | アルミ | アルミフィン | 17g | 定価1868円(Amazon) |
L03A | Y8PU98040 | レジン | アルミ | アルミフィン | – | 定価2104円(Amazon) |
L05A | Y2EM98010 | レジン | アルミ | アルミフィン | – | 定価2114円(Amazon) |
パッドの選択
パッドは
- 摩擦材の種類(メタルorレジン)
- フィン付き or 鉄バックプレート or チタンバックプレート
の組み合わせで6種類ある。
メタルパッド or レジンパッド
ディスクローターを挟む摩擦材はメタルとレジンの2種類があり、最近のラインナップでは
- メタルパッド…04
- レジンパッド…02→03→05
という型番になっている。
レジンパッドについては、モデルチェンジするごとに耐摩耗性がアップしている。
メタルパッドは耐摩耗性が高く制動力や耐熱性にも優れるため、ブレーキをハードに使う状況に対応できる。
一方で、レジンパッドは摩耗しやすいがディスクローターへの攻撃性が低く、音鳴りもしにくい。また、制動力のコントロールもしやすい。
なお現行のレジンパッドK03Sは、旧型のK02Sより耐久性が40%向上したと謳っている。
それぞれメリットとデメリットがあるので、用途や好みに応じてどちらかを選択する。
制動力が欲しいフロントはメタル、コントロール重視のリヤはレジンなど、前後でパッド種類を変えたり、1つのキャリパーに2種類のパッドを使う(1組2枚のパッドをそれぞれメタルとレジンにする)ことで中間的な特性にする人もいて、こだわりが現れるところでもある。
ブレーキパッド | メタルパッド | レジンパッド |
制動力 | 高い | 低い |
耐フェード性 | 高い | 低い |
コントロール性 | 低い | 高い |
ディスクローターへの攻撃性 | 高い | 低い |
音鳴り | 鳴きやすい | 鳴きにくい |
パッド寿命 | 長い | 短い |
重量 | 重い(20g) | 軽い(16g) |
価格 | 高い | 安い |
放熱フィンの有無
スタンダードなパッドはK-型番、放熱フィン付きパッドはL-型番となっている
- フィンなし…K-
- フィンあり…L-
ブレーキ中、パッドとローターの摩擦面は数100度に達する。フィン付きパッドはブレーキの熱を逃がし、長時間のブレーキ時にフェードしにくいメリットがある。あと見た目もかっこいい。
なおフィン付きレジンパッド(L03A)はバックプレートとフィンが一体のアルミ製で重量17g。
フィンなしレジンパッド(K04S)は16gなので、重量はほとんど変わらない。
バックプレート素材
フィンなしのパッドは、バックプレート素材が2種類あり、
- 鉄… -S
- チタン… -Ti
のものから選択できる。
チタンは若干軽くなる(MTB用のパッドでおよそ5g差)けどとにかく高い。チタンのメタルパッド(K04Ti)を使うくらいなら安いレジンパッド(K03S)のほうが軽いので、正直、あえて選ぶ必要があるのか悩むところ…
シクロクロスではレジンパッドを使用
以上のように、ディスクブレーキパッドにはいろいろな選択肢があるが、シクロクロスの交換用パッドには、フィンなしレジンパッドを使っている。
ブレーキを酷使しないのでフィンは不要だし、滑りやすい路面では絶対的な制動力よりコントロール性が重要。
レジンパッドは交換サイクルが早くなるが価格が安い。オイルを吸って交換が必要になる場面もあるので、安価なパッドをこまめに交換するスタイルで運用している。
それにしても、フラットマウントになってパッドが小さくなったのに、価格は安くなってなくてなんだか損した気分になる。