シーズン最大のレース、全日本選手権に出場。
7年ぶりの関西開催ということで万全の準備で臨む…はずだったが、直前のアクシデントで負傷し、結果は振るわず。
しかし、ホームグラウンドで大声援の中走る経験は特別で、思い出に残るレースになった。
12/14 第31回 全日本選手権シクロクロス 二色の浜 男子エリート
天候:晴れ 12度
コースコンディション:砂 ドライ~一部ウエット
リザルト:25位/67名(8周回 -2Laps 順位37% フルラップ完走14名)
機材
TREK Boone 1号車
- 前輪: Nepest WILD 38 / Challenge Dune / 1.6bar
- 後輪: Nepest WILD 38 / Challenge Dune / 1.6bar
※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準
関西でCX全日本開催
シクロクロスの日本一を決めるシーズン最大のレース、全日本選手権が大阪府貝塚市で行われた。関西での開催は、2018年のマキノ以来、実に7年ぶりとなる。
会場は、23-24シーズンから関西CXに加わった二色の浜公園。大阪府南部、大阪府南部、関西国際空港を望む海岸沿いに位置し、コースの路面は全域が砂という特徴的なレイアウトだ。
阪神高速の高架を境に、陸側は松林を縫うように続くテクニカルなコーナーセクション、海側には砂浜を生かしたサンドセクションが配置され、前半と後半で異なる表情を見せるコース構成となっている。

高速道路の真下を通る舗装路のホームストレートを抜けると、木々に囲まれた松林エリアへと入り、中速域のコーナーがリズムよく連続する。路面は硬く締まった砂がベースでスピードに乗りやすい一方、タイヤに掘り返されて深くなった箇所も点在する。そうした場所では木の根が露出し、スリップやパンクといったトラブルのリスクが一気に高まる。
一方、砂浜エリアはタイヤが大きく沈み込むやわらかな砂が特徴だ。基本的には乗車での走行が可能だが、轍を的確にトレースするテクニックと、路面抵抗に打ち勝つパワーの両方が求められる。

土曜日にマスターズの年代別選手権、日曜日にはエリートレースというスケジュールだが、試走日の金曜にも「テストクロス」として60分耐久とチームリレーが開催された。
レーススピードで試走し、コースに習熟しておきたかったので、60分耐久にエントリーした。
ソロとチームを合わせて50名以上が出走した60分耐久では先頭を走っていたが、最終周回に思わぬアクシデントが起こる。
松林の直線区間で、前触れ無くフロントタイヤをすくわれてスリップダウン。運が悪いことに、舗装部分に打ち付けられた。
バランスを崩した原因は不明で、穴に落ちたわけでも、石や根っこがあったわけでもない。
堆積した松葉を踏んで滑ったのか、それとも、「何か」に引き寄せられたのか…
何もないところで突然フロントタイヤをすくわれて、舗装路に着弾していた。 https://t.co/vewSUz0p1s pic.twitter.com/kFpU8TTNBk
— すくみずさん (@skmzmw) December 12, 2025
ともかく、これでフロントホイールのスポークが折れ、右ブレーキレバーも曲がってしまった。


身体の方は、軽い擦り傷が数カ所と、左腿に打ち身、あとは右手に痛みが。
幸いだったのは、硬い路面にマトモにぶつけた頭が無事だったこと。AERO-R1限定モデルのMIPSが効くのを感じた。

ピットエリアに置いていた代車に乗り換え、体の具合を確認しながら残り半周を流す。打ち身はともかく右手の状態が良くない。突き指をしたような激痛でハンドルをまともに握ることができない。
ゴール後は早々に撤収。バイクのほうはその日のうちに修理したが、指はどんどん腫れてきた。このままだと全日本出場も危ういぞ…
翌日の土曜日は、中指と薬指がフランキーノブのソーセージのようにパンパンになっていて軽く引く。
この日はマスターズ年代別とシングルスピードを観戦。どのレースも熱い展開で、滅入っていた気持ちがちょっと前向きになった。
そして迎えたレース当日の日曜日。痛みは残っているものの腫れはだいぶ引いたので、がっちりテーピングして会場へ向かう。
試走したところ、ハンドルを強く握れないが、ブレーキとシフト操作は問題なくできるので出場を決めた。
万全のコンディションでなくなったのは残念だが、ベストを尽くそう。
いつも通りにアップをして、いつも通りに招集へ。
レースレポート
日本中の強豪選手が集まる全日本選手権だが、今年はJCX遠征に行った甲斐もあって、ギリギリ3列目からのスタート。
最初は600mの長い舗装路。ここで少しでも前に出ておかないと、続く松林区間で先頭から大きく遅れてしまう。
しかし、今季のJCXレースでは毎回落車があった。このスピードレンジと硬い路面から受けるダメージを想像すると、どうしてもペダルを踏み切れない。

幸いアクシデントは無かったものの、30番手くらいに沈んで1コーナーへ。
タイトなコーナーでは前が詰まるが、我慢出来ないほどのスローペースではない。
コース幅が広がり、ラインの自由度がある場所で少しづつ順位を上げていく。
復路ピットあたりでようやくレース序盤の混乱が解消され、だいぶ走りやすくなった。その後コース後半、砂浜のエリアでさらにポジションを取り戻していく。
海沿いの砂浜区間は、強風で波が打ち上げる水際を乗っていく。
28位でレースは2周目へ。ここからは自分のペースで周回を重ねる。ミスは無く、走りに集中できているし、しっかり踏めている感触もあるが、いまいちポジションが上がらない。
ラップタイムは揃っているので、不調というわけではないのだが…

後で知ったが、局所的な怪我は全身のパフォーマンスに影響するらしい。
手の痛みや炎症の影響で、最大パワーが制限されたような状態に陥っており、結果的に、心肺機能と筋力を限界まで追い込みきれていなかったようだ。
また、上半身のホールドが甘くなっていたのも、いつものパワーを発揮できなかった要因だろう。

砂区間はパワーよりも、轍をトレースして、省エネにスピードを稼ぐことに集中する。
身体的には少し余裕があるせいか、今日はいつもよりうまく乗れる気がする。

25位前後で展開し、4周目にはGIANTのサイチンに追いつく。腰を痛めたらしく、今回は怪我人対決ということになる。
今季一緒に走った3レースでは全て黒星だったが、ホームストレートでオーバーテイク。そしてじわじわと差を広げていった。お互い本調子ではないが、ようやく勝てた。

先頭を走る聖とのタイム差が広がり、そろそろ足切りを意識する5周目。砂浜区間の上陸地点で笛木くんに追い抜かれた。ついていけない。
コントロールラインを通過し、おそらくこれが最後となる6周目。後ろの選手はすでにレースを降ろされ、AXの遠藤選手と最終パックを形成する。
背後にピッタリ張り付かれる場面もあったが、なんとか押さえきって砂浜区間を通過した。

迫ってくる聖が見えて肝を冷やしたが、コース上で追い抜かれる前に足切り地点に到達。
25位、-2周で今年の全日本選手権を終えた。
レースを振り返って
ここ数年の全日本は15位前後でフルラップ完走していたのに、今年は大きく順位を落としてしまった。
久々の地元開催で、好成績を狙っていた今年の全日本選手権。
JCXレースに遠征したり、砂対策の機材を揃えたりと、万全の準備を整えていたのだが、直前の怪我で歯車が狂ってしまった。
一時は出場すら危ぶまれていたので、走れただけでも満足すべきなんだろうが、それでも、改めてリザルトを見るとやはりすこし物足りない気持ちはある。
| 周回数 | タイム |
| 0周目 | 0分44秒 |
| 1周目 | 8分41秒 |
| 2周目 | 8分20秒 |
| 3周目 | 8分22秒 |
| 4周目 | 8分23秒 |
| 5周目 | 8分26秒 |
| 6周目 LAPOUT | (7分55秒) |

しかし、全日本はやはり特別なレースだった。
松林区間から高架下のストレートを抜け、砂浜エリアに降りる帆船マスト前では、一気に開けた視界に、海と砂浜と、コーステープを埋め尽くす観客が飛び込んできた。
あの大声援の中で走る経験は特別だし、このために全日本出場を狙う値打ちがある。

この密度はエリートじゃないと味わえない。
もちろんマスターズでタイトルを狙うのも意味があるし、いっそ観戦に徹するのも楽しい(笑)。でも、エリート出場に手が届きそうなら、一度は挑戦してみてほしい。
来年の全日本は東北 わたり。
また、コーステープ内側からの景色を見に行こうと思う。
応援・撮影・サポートありがとうございました。

