チタンの鎧 フリクション低減効果の測定 実験手順について

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自転車のチェーンやスプロケットに施工する酸化チタン粒子のコーティング「チタンの鎧」の駆動損失の低減効果を調べるため、コーティングを施工した駆動系部品と非施工の部品を用意して比較実験を行った。

ここでは、実験手順とデータ処理について説明する。

チタンの鎧の本記事はこちら

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目次

チタンの鎧 フリクション低減効果の測定実験

実験の概要

チタンの鎧は、フリクション低減の他にも自浄作用や帯電防止といった効果を謳っているが、今回は駆動損失の低減のみに注目し、駆動系部品にチタンの鎧を施工することでどの程度のフリクション低減効果があるのかを定量的に評価する。

自転車がよく走る、走らない、といった感覚は、使用者の体調や天候、あるいは気持ちに大きく左右される。こういった不確定要素を排除しつつも、実際の自転車の使用環境を再現するため、複数のパワーメーターと自動負荷調整が可能なローラー台を使用して実験を行った。

市販のパワーメーターは測定精度が低い(±2%程度)うえ、各パワーメーターの個体差もある。そこで、スマートトレーナーの設定パワーを一定にしてペダリングを行い、チタンの鎧を施工した駆動系と、非施工の駆動系でのクランク軸のパワー測定値を比較することで、駆動損失の低減効果を求めた

チタンの鎧 比較実験セット

使用機材

実験に使用した機材は以下の通り。

使用機材と実験の様子

バイク

  • フレーム Lynskey SuperCooper
  • クランク Shimano Dura-Ace FC-9000 172.5mm
  • リヤディレイラー Shimano Ultegra RD-R8050 SS

パワーメーター

  • クランクアーム型パワーメーター Pioneer ペダリングモニタ PM910H
  • ペダル型パワーメーター Garmin Vector J
  • スマートトレーナー Saris H3

駆動系(チタンの鎧を施工済みの部品と未施工の部品を各1セット用意)

  • チェーンリング CS-5800 39T(105グレード)
  • チェーン CN-HG601(105グレード)
  • スプロケット CS-R7000 11-30T(105グレード)
  • プーリー RD-R8000 テンション/ガイドプーリーセット(アルテグラグレード)

ソフトウェア

  • バーチャルサイクリングサービス ZWIFT(PC版)
  • パワーログ測定ソフト IpWatts(Android)

実験手順

実験では、使用するギヤ歯数やペダリングパワーによるチタンの鎧の効果の差を調べるため、ZWIFTで以下のようなワークアウトを作成し、3種のギヤ組み合わせと、3段階のパワーで測定した。
スマートトレーナーはERGモード(負荷自動調整)を使用したので、ほぼ一定のパワーでペダリングが行える。ワークアウト中は80~85rpmのケイデンスで、なるべく一定のペダリングを行った。

内容使用ギヤパワー(ERGモードで負荷調整)
セット139×24T160W 3分
240W 3分
320W 3分
セット239×17T160W 3分
240W 3分
320W 3分
セット339×13T160W 3分
240W 3分
320W 3分
パワーメーターテスト用ワークアウト
※ケイデンスは80~85rpmを維持

実験は、10分以上ペダリングしてスマートトレーナー本体の温度が安定した後に開始した。また、実験中はエアコンで空調を行い、室温を平均22度に保った。

測定データの一例を以下のグラフに示す。160W,240W,320Wと、階段状にパワーが変化している。

測定データ例(2020/7/5)

次に、各区間ごとにパワーを平均し、

駆動損失=[クランク軸パワー] - [リヤハブ軸パワー]

を計算した。
なお、クランク軸パワーは、クランクアームのPioneer ペダリングモニタ PM910H(両足)とペダル内蔵のGarmin Vector Jで測定たパワーの平均値、
リヤハブ軸パワーはスマートトレーナーでのパワー測定値である。

ギヤ設定パワーPM910とVectorの平均値
(①:クランク軸パワー)
SarisH3測定値≒設定パワー
(②:リヤハブ軸パワー)
駆動損失
(①-②)
24T160W153W160W-6W
24T240W233W240W-6W
24T320W317W320W-3W
17T160W158W160W-2W
17T240W234W240W-6W
17T320W313W320W-7W
13T160W153W160W-6W
13T240W233W240W-7W
13T320W310W320W-10W
各セットの平均と駆動損失の計算
※パワーメーターの個体差の影響で、駆動損失はマイナスの値になっている

チタンの鎧を施工した駆動系、施工していない駆動系について上記のテスト用ワークアウトを行い、駆動損失を比較した。

チタンの鎧を施工したチェーンには専用のオイルが塗布されている。未施工のチェーンに対しても洗浄脱脂後、同種のオイルを塗布したものを準備して実験を行ったが、実験途中にオイルが切れて異音がしはじめた。

そのため、チェーンオイルをウエスで拭き取り、市販のチェーンオイル(ワコーズ チェーンルブリキッド パワー)を注油して改めて実験を行った。専用オイルでの測定結果も参考として記す。

実験記号チタンの鎧チェーンオイル
Ti施工済チタンの鎧専用オイル
(ほぼオイル切れ)
NC未施工チタンの鎧専用オイル
(ほぼオイル切れ)
TiO施工済ワコーズチェーンルブ注油
NCO未施工ワコーズチェーンルブ注油
実験条件について

今回測定する駆動損失はごく僅かな値である。パワーメーターの誤差の影響を少なくするため、4条件それぞれについて、テスト用ワークアウトを4回ずつ実施して平均を取った。
余談だが、4条件×4回=16回のワークアウトは2020年6月上旬~7月上旬にかけて実施し、この間にFTPが2.5%上がった。

毎日のように実験…というかワークアウトに明け暮れた

実験結果

4種類の実験条件について4回ずつ実験を行い、各ギヤ・パワーにおけるNCO(未施工・チェーンルブ注油後)を基準とした駆動損失の差をグラフに表すと、以下のようになった。
測定点がグラフの上方にあるほど、NCOに対して駆動損失が少ないことを表している。

駆動損失の低減効果

考察については、「チタンの鎧 フリクション低減効果の測定」本記事にて。

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参考文献

株式会社クレストヨンド、(2020)、チタンの鎧
http://4-crest.com/titanium/index.html

吉野秀雄、(1987)、伝達効率測定システムの開発(自振協技術研究所 研究報告)
http://www.jbpi.or.jp/giken/l0frgpkddpf93bby/J00446.pdf

IpWatts
http://www.iforpowell.com/cms/index.php?page=ipwatts

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