AKASO BRAVE 7
実売2万円という格安アクションカメラ。安価な製品だが本体の造りはよく、操作もしやすい。
画質では高価格帯の製品より見劣りする部分もあるが、発熱とバッテリー消費が少なく、安定して長時間撮影が行える。
本品はAKASO様からの提供品です。
長所 -Pros-
- 4K30p撮影が可能ながら実売2万円前後という低価格
- 風切り音耐性が高く、ノイズが入りづらい
- 発熱とバッテリー消費が少なく長時間の連続撮影が可能
短所 -Cons-
- 暗所での画質はそれなり
- 手ぶれ補正の効きが弱い
- 手ぶれ補正ON時の画角が狭い
アクションカメラの進化と高価格化
今やカメラのジャンルとして定着した「アクションカメラ」は、スポーツ中の動画撮影には欠かせない機材だ。
アクションカメラの元祖と言えるGoProは、「サーフィン中に動画撮影したい」という動機で開発され、小型軽量でタフなボディに、超広角レンズと防水性能が盛り込まれた。
モータースポーツの世界では、車体にカメラを取り付ける車載動画(オンボード動画)という撮影方法があったが、アクションカメラの登場によって、激しい動きや厳しい環境にさらされる各種スポーツにおいても、臨場感あふれる一人称視点の映像を記録できるようになった。
世界初のデジタル式アクションカメラ「GoPro Hero3(2007年)」から17年。現代のアクションカメラは、高性能のレンズ・センサーと強力な手ぶれ補正処理により、激しい運動中でも高画質な映像を撮れるようになった。
しかし、一方で高価格化も進み、「安くてタフなカメラ」というイメージは無くなってしまった。
高額な機材は趣味の参入障壁を高める。アクションカメラが1台5万円以上という現状は、「ちょっとスポーツ撮影してみたい」層を切り捨ててしまっている。
そんな折、低価格な製品を多数ラインナップするアクションカメラブランド AKASOより、製品レビューのオファーを頂いた。
今回レビューするAKASO BRAVE 7は実売2万円。GoProの3分の1に迫る価格だ。
だが、安かろう悪かろうでは意味がない。この価格でどこまで撮れるのか?GoProはじめ、ハイプライスの製品との差はどこにあるのか?
普段、GoProの最新機種Hero 12はもちろん、ライバル機種のInsta360 ONE RSやDJI OSMO Action3を所有して使い分ける私が、「中華アクションカメラ」の実力をレビューする。
格安アクションカム AKASO BRAVE 7
AKASO BRABE 7は同社BRAVE 8に次ぐセカンドグレードの製品だ。
低価格製品というとスペックも低い印象があるが、BRAVE 7は最大で4K30p撮影に対応、フルHDでは最大120fpsで撮影が行える。
ハードウェア面も充実しており、背面液晶は直感的な操作が行えるタッチパネル搭載。
前面にも液晶ディスプレイを備え、自撮り時にも構図を確認しやすくなっている。
側面にはUSB-CポートとMicroSDカードスロット、底面にはバッテリースロットがあるが、IPX8防水規格を満たすため、防水パッキンとロックつきのドアが備わっている。
本体の造りは全体的に良く、安っぽい部分は感じられない。
付属品が充実しているのも好印象。
アクションカメラでは必須の予備バッテリーが付属するほか、ワイヤレスリモコンも標準装備。その他、防風スポンジカバーやマウント類も揃う。
今回はアクセサリーキットも提供してもらったが、本体付属のマウント類だけでも一通りの撮影が行えそうだ。
スペック
主要なスペックは以下の通りだ。
項目 | 詳細 |
本体サイズ | 65 × 45 × 35 mm |
重量 | 136g |
有効画素数 | 20MP |
画面サイズ | 2インチタッチスクリーン(リア) 1.22インチ(フロント) |
手ブレ補正 | 6軸EIS |
動画撮影 | 4K30fps / 2.7K30fps / 1080P120fps / 1080P60fps / 1080P30fps / 720P240fps/ 720P120fps ビデオ / タイムラプスビデオ / スローモーションビデオ / ハイパーラプスビデオ |
写真撮影 | 20MP / 16MP / 12MP / 10MP / 8MP 写真 / タイムラプス写真 |
バッテリー | 1350mAhx2 リチイムイオン電池 1080Pで約140分の録画時間 |
充電 | USB-TypeC |
防水レベル | IPX8 |
防水深度 | 本体のみ:10m / 防水ケース(別売)装着:40m |
付属品 | カメラフレームx1、リモコンx1、リモコンリストバンドx1、充電器x1、バッテリーx2、マイクx1、マウントx7、ヘルメットマウントx2、レンズクロスx1、ハンドルバーマウントx1、テザーx5、両面テープx2、USBケーブルx1、接着パッドx2、取扱説明書 x1 |
基本操作
物理ボタンとタッチパネルを併用
カメラの操作は、物理ボタンとタッチパネルを併用して行う。
- 電源・録画ボタン(上面):録画開始/停止(短押し)、電源ON/OFF(長押し)
- 上ボタン(側面):撮影モード切り替え(動画/写真)
- 下ボタン(側面):前後液晶表示切り替え(同時表示は不可)
各ボタンのクリック感は良好だ。
その他の操作はタッチパネルで行う。こちらも感度は良好で、Hero9よりもずっと反応が良い。
撮影画面から4方向にスワイプすると画面が遷移する
- ↓:設定画面
- →:撮影モード切り替え
- ←:再生
- ↑:録画設定
また、画面上のショートカットアイコンをタップすると画角調整や撮影プリセットを切り替えが行える。
注意点としては、画面上のマイクアイコンを有効にしておかないと、音声が録音されない。テスト中、うっかり触れてしまって無音になっていることがあった。
LEDインジケーターとサウンド
本体の上面と背面にはLEDインジケーターがあり、電源や撮影状態を表示してくれる。
ただし、チェストマウントを使用したり、ロードバイクで車載動画を撮る時など、カメラを上下反転させて取り付けた場合、正面からはLEDインジケーターが一切見えない。前面にもLEDを搭載してほしかった。
また、電源ON/OFF時や撮影/停止時にはサウンドが鳴るが、音が小さく、屋外で聞き取りづらい点も気になった。
メニューと設定
ソフトウェアのインターフェースはGoProに寄せてある印象。設定画面も整理されていて操作しやすい。
スマホ・PCとの接続
スマートフォンのAKASOアプリと接続することで、カメラをリモート操作できる。
このとき、カメラ側は予めWiFi接続モードにしておく必要がある。
スマホアプリ上では、撮影データのダウンロードや各種設定、ソフトウェアアップデートも行える。
また、PCとUSB接続してWEBカメラとして使用することも可能。オンライン会議や動画配信にも役立つ。
カメラ側のメニューで「WEBカメラ」を選択するだけで認識される。
PCにソフトウェア導入が必要なGoProより2、3歩進んでいると言える。
もっとも、DJIもInsta360もWEBカメラとして接続できるので「GoProが2、3歩遅れている」と書くほうが正確かもしれない。
ワイヤレスリモコン
付属のワイヤレスリモコンは、録画/停止とモード切替だけのシンプル仕様。
だが、LEDインジケーターと音量に難のある本製品では、録画状況がひと目でわかる点が便利。
カメラの電源が入っていないとペアリングできない点だけが残念だ。
付け加えるなら、MicroUSBで充電する仕様もイマイチ…ここはカメラと同じUSB-Cに統一してほしかった。
撮影テスト
サイクリング中の動画撮影を想定して、撮影テストを行った。
撮影テストでは
- ハンドルに車載
- チェストマウント
の2パターンを試した。
車載する場合は、カメラに専用ケージを取り付け、GoPro台座でバイクのサイクルコンピュータマウントから吊り下げた。
チェストマウントは、使い慣れたマグネット式のマウントを使用。チェストストラップをDIYで追加し、揺れにくいようにしている。
画質
価格差3倍のGoProと比べるのは酷とはいえ、最も性能差を感じたポイントだ。
露出設定
露出設定は以下の5種類から選択できる。
- CAM(中心平均測光):画面中心を基点とし、周囲を補完
- AM(平均測光):画面全体を基準
- CM(中心測光):画面中央を基準
- SM(スポット測光):ユーザーが選択した位置を基準
- AFM(AI顔認識測光):認識した顔を基準
最初はCAM(中心平均測光)に設定していたが、画面中心の明るさに引きずられるため、自転車に車載して撮影していると露出が安定しなかった。
CAMの場合、露出アンダーになる事が多かった。
アクションカメラとしての用途ならAM(平均測光)が無難だ。下の写真のように、真正面から西日が差す強い逆光でも全体が黒潰れしない。
ただしこちらの場合、明るい部分が露出オーバーになりがちだ。
電子手ぶれ補正の効き
本機は6軸EIS(電子手ぶれ補正)を内蔵している。
しかし、手持ち撮影時のようなユラユラする手ぶれは補正できるものの、オフロード走行時の車載映像のような、細かく速い振動は苦手だ。また振幅が大きな揺れにも対応できないようだ。
画角は狭め
AKASO BRAVE 7の画角はGoProの「広角」相当(対角画角 約120度)だが、手ぶれ補正をオンにすると大きくクロップされる。
下の写真は同じ位置で撮影したものだが、手ぶれ補正ONでは右端の木が見切れているのがわかる。
手ぶれ補正オンの状態だと、AKASO BRAVE 7の画角はGoProの「リニア」~「狭角」あたり、画角にして80~90度あたりになる。
BRAVE 7の手ぶれ補正ONと、GoPro Hero 12のHyperSmooth(手ぶれ補正)ON、カメラ広角を比べるとご覧の通り。視野の広さにはかなりの差がある。
アクションカメラの性質上、基本的に手ぶれ補正はオンにして使うもの。
手持ち撮影や視線に追従するヘルメットマウントであれば、80度の画角があれば十分だが、車載動画を撮る場合はもう少し広い視野が欲しいと感じた。
手ぶれ補正の比較動画
手ぶれ補正ON/OFFの画角とブレ具合を比較する動画を作成した。
また、ハイエンド製品の代表として、GoPro Hero 12との手ぶれ補正比較も行っている。
画質レベルは及第点
画質については、ハイエンド帯の製品と比べると、鮮やかさや精細感といった点で一歩見劣りする。大画面のテレビやPCで鑑賞すると不満があるかもしれない。
もっとも、明るい屋外で、しかも静物撮影であればそれなりの高画質で撮影できる。
しかし、センサーの感度を上げざるを得ない激しいアクション中や、薄暗い状況ではセンサーサイズの小ささからノイズが目立ち、解像感も下がる。
とはいえ、Insta360 GO2やGO3と同水準の画質だ。スマートフォンの画面で鑑賞するならあまり気にならない。
音質
優秀な風切り音耐性
「動画」は映像だけではなく、音も重要だ。そして、音質は画質以上に製品の差が出る。
GoPro、Insta360、DJIと、主要メーカーのアクションカメラを何台も使ってきたが、走行風や激しい振動に晒されてもノイズを抑制し、クリアな音が録音できるか?という点においては、GoProが頭一つ抜けている。
BRAVE 7については、意外と風切り音耐性が高い印象。
GoProには及ばないものの、DJI OSMO Action3と同水準。Insta360 ONE RSやGO3は上回っている。
風切り音低減機能も搭載されているが、オフでもノイズは入りにくいし、こちらのほうが音質も良い。
風切り音低減をオンにすると音量が小さく、こもりがちになる。
また、防風スポンジを取り付けるとさらに風切り音耐性がアップする。
個人的には、風切り音低減オフ+防風スポンジ装着時がベストと感じた。
ダイレクト接続の外部マイク
さらに、純正オプションとして、別売りの外部マイクも用意されている。
本品はUSB-C端子がついており、カメラにダイレクトに接続できる。他社アクションカメラのようにアダプタを必要とせず、ごちゃごちゃしない点は好印象だ。
ケーブルは布巻きで造りも良く、耐久性は高そうだ。
とはいえ、音質に関しては音が割れ気味で、少々物足りなかった。
カメラ内蔵マイクが優秀なので、敢えて外部マイクに頼る必要は無さそうだ。
音質の比較動画
風ノイズ低減 ON/OFFと防風スポンジ 有り/無し、さらに外部マイクの合計5パターンについて比較動画を作成したので、参考にしてほしい。
バッテリーライフ
AKASO BRAVE 7のバッテリーは1350mAhで、連続撮影時のバッテリーライフは140分間(1080p)とされている。
とはいえバッテリー消費は解像度や手ぶれ補正の有無で大きく変動する。
そこで、以下の2条件で連続撮影テストを行い、バッテリーライフを実測した。
- 4K 30fps 手ぶれ補正 OFF…手持ち・定点撮影を想定
- 1080p 60fps 手ぶれ補正 ON…車載動画を想定
BRAVE 7はバッテリー残量がパーセント表示されないため、満充電バッテリーから連続撮影し、電源オフまでの録画時間を測定した。
なお、LEDインジケーターはON、液晶ディスプレイは2分で消灯する設定とした(ただし、撮影途中で何度かタッチして状況を確認している)。また、撮影は気温15~20度の室内で行った。
4K 30fps 手ぶれ補正 OFF
私がYouTube用に作る動画はフルHD(1080p)だが、クロップした際の画質低下を避けるため、手持ち撮影や定点撮影では4K解像度で記録することも多い。
そこで、そういう状況を想定してまずは最高画質 4K 30fpsでテスト。手ぶれ補正はOFFとした。
撮影中は、本体温度上昇に伴う録画停止を防ぐためサーキュレーターで風を当て続けたが、途中30分程度、風の当たらない場所に置いてみた。
ただ、本体は発熱するものの、十分触れる程度の温度だった。
録画停止までの時間は1時間50分。
4K解像度だと本体が高温になって停止する市販アクションカメラが多いなか、バッテリーを使い切るまでの連続撮影に耐えるのは優秀と言える。
1080p 60fps 手ぶれ補正 ON
続いて、レース中のオンボード動画撮影を想定した設定に変更した。
レース動画は長時間となるため、バッテリー消費を抑えるとともに、ファイルサイズを減らすためフルHD解像度で撮影している。
一方、動きが早いためフレームレートは60fpsに設定している。高めのフレームレートにすることで、注目シーンをスローモーションにしてもカクカクしづらい。
カメラは激しい振動に晒されるため、もちろん手ぶれ補正はONだ。
というわけで、フルHD解像度、1080p 60fps 手ぶれ補正ONでのテストだ。
最初は部屋の扇風機の風が当たるようにしたが、ほとんど温度上昇が感じられなかったため途中からは無風で撮影を続けた。
1080p 60fps 手ぶれ補正ONでの連続撮影時間は、GoProで実測1時間40分ほど、Insta360 ONE RSは1時間20分ほどだ。
それに対して、BRAVE 7の連続撮影時間は公称140分。流石に盛りすぎだと思っていたのだが…
結論から言うと、2時間20分を越えても録画を続け、最終的に、2時間34分の連続撮影が行えた。
長時間撮影は極めて優秀
録画設定と撮影時間をまとめると以下のようになった。
連続撮影時間
- 4K 30fps 手ぶれ補正 OFF…1時間50分
- 1080p 60fps 手ぶれ補正 ON…2時間34分
アクションカメラで長時間撮影を行う際は、発熱とバッテリー消費がネックになるが、AKASO BRAVE 7は発熱が少なく、バッテリー消費も少なかった。
BRAVE 7は、外部からの給電無しで長時間のアクティビティを録画し続けられる。特に、2時間以上連続撮影できる機種は稀で、ことスタミナに関してはアクションカメラ市場の中でも極めて優秀であると言える。
まとめ:安いだけじゃない格安アクションカム
2万円で購入できるアクションカメラ AKASO BRAVE 7。
価格なりの低スペックな製品という先入観を持っていたが、本体の造りは高品質で、安心してアウトドアで使えるタフさがあるし、ソフトウェアの完成度も高かった。
一方、カメラのセンサーや処理回路には価格相応にコストダウンが図られている。
画質や手ぶれ補正、撮影画角に関しては、GoProやInsta360といった高価なハイエンドモデルとの差をハッキリ感じる。
画質にこだわるユーザーにとっては、本機は物足りなく感じるだろう。
しかし、発熱の少なさとバッテリーライフの長さには目を見張るものがあった。
テストでは2時間半の連続撮影に耐え、熱で停まるGoProや燃費が悪いInsta360 ONE RSを尻目に、安定して長時間録画を行えた。
本機の魅力は低価格だけではない。サイクリングに限らず、長回しで長時間撮り続けたい人にとっては、有力な選択肢になるはずだ。
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