Qalvin Legacy
パワーメーターは、必要に応じてキャリブレーションやファームウェアのアップデートを行わなければならない。
最近のQuarqはiPhone/Android対応のQalvinアプリを使い、Bluetooth経由でパワーメーターの設定を行えるが、所有するRikenは旧モデルのためBluetooth非対応で、サポートされていない。
Rikenの他に、ELSA, SRAM RED Quarq, XX1 Quarq、あとはCR2450電池を使用するCinqo S975やSaturn等について、ファームウェアアップデートやスロープ値調整、故障診断などのメンテナンスを行う際は、旧モデル用として提供されているWindows/MacのQalvin Legacy、またはiPhoneのQalvin Legacyアプリで行う。
Qalvin Legacyの機能一覧
- ファームウェアアップデート
- キャリブレーション
- ゼロ点キャリブレーション
- スロープ値キャリブレーション
- 故障診断
- クランク回転方向設定
なお、接続はAnt+経由なので、別途USB接続のAnt+ドングルや、iPhone用のドングルが必要となる。
ファームウェアアップデート
ファームウェアアップデートはQalvin Legacyから行える。
Qalvinアプリでパワーメーターと接続し、メニューよりファームウェアを更新する。
とはいえ、旧モデルのファームウェアは2015年リリースのバージョン24が最終リリースなので、中古で手に入れたパワーメーターを一度更新したら、もう使うことはない機能なのかもしれない。
How To Legacy – Firmware Update
キャリブレーション
パワーメーターのキャリブレーションは、基本的に毎回走行前に行うゼロ点キャリブレーションと、チェーンリング交換時に実施するスロープ値キャリブレーションがある。
ゼロ点キャリブレーション
ゼロ点キャリブレーションは、クランクに力がかかっていないときにトルクがゼロ(原点)となるように調整する作業。外気温でゼロ点が狂ってしまうので、多くのパワーメーターで走行前に行うことが推奨されている。
Quarqの場合は乗車中でも、クランクを5回点以上逆回転させることでゼロ点キャリブレーションが行われる。
スロープ値キャリブレーション
スロープ値とは、センサーのひずみをトルクに変換する定数(≒ばね定数)のこと。
つまりスロープ値キャリブレーションとは、スパイダーアームのひずみと測定されるトルク値を対応させるための校正作業を指す。
この頃のQuarqはチェーンリングの種類が変わった際にはスロープ値を再設定する必要があった。後継機種のDZero以降はチェーンリングの剛性に影響されなくなったようだけど。
スロープ値キャリブレーションの方法は実にシンプル。
20kg以上の錘を用意して、Qalvinアプリ上で指示された手順に従ってペダルからぶら下げる作業を何度か繰り返すと、予めアプリに入力しておいた錘の正確な重量に従ってスロープ値を校正できる。
理屈はシンプルだが、20kg以上の錘を要するのがなかなか大変だし、その重量を正確に測るのも大変。ついでにいうと、校正作業もかなり不安定。バイクが倒れないよう、固定ローラーがあるとだいぶ作業性が良くなる。
故障診断
旧Quarqパワーメーターは、ケイデンスマグネットの磁力に反応するリードスイッチが5個、スパイダー内側に埋め込まれている。
このスイッチによってクランクの角度や回転速度を検知するという仕組みだが、たまに故障するので、Qalvinアプリには検査機能が用意されている。
故障診断モードでクランクをゆっくり回転させ、反応していないリードスイッチがあった場合、その旨が表示される。
なお、Quarq S975にてリードスイッチ故障を経験しているが、壊れるとメーカー修理のほかに選択肢は無い。
クランク回転方向設定
クランク回転方向を設定できる。何のためについているのかと思ったら、クランクを左右逆に使うタンデムバイク用らしい。
ハンドサイクルやリカンベント他、特殊な自転車でも役立つことがあるのかもしれない。