関西シクロクロスシリーズもいよいよ終盤。第9戦はシマノのお膝元、堺。会場は平坦な埋立地で、シマノレーシングはじめ強豪選手が集った。
C1上位は平均時速27km/h台のスピードレースが展開され、序盤は先頭パック、パックが崩壊したレース後半は2位単独をキープ。連続表彰台記録をまた伸ばした。
1/16 関西シクロクロス第9戦 堺
コースコンディション:草地 ドライ
リザルト:2位/65名(10周回 +0:21 順位3% フルラップ完走47名)
機材
Ridley X-Night Disc 1号車
- 前輪: ITLAB CX / Panaracer CGCX + Insert / 1.8bar
- 後輪: ITLAB CX / Panaracer CGCX + Insert / 1.8bar
※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準
動画
すくみずログ YouTubeチャンネルでレース動画を公開中
みなと堺グリーンひろば
石油・化学・鉄鋼・金属などの工業地帯、堺・泉北臨海コンビナート。大阪湾に張り出した埋立地にある、30ヘクタールに及ぶ広大な広場(の一部)が今回のレース会場。
先週の希望が丘と並び、関西シクロクロスでは毎年開催スケジュールに組み込まれている伝統の会場である。
昨シーズンは緊急事態宣言の発令でレースが中止になったため、今回は2年ぶりの堺。
そして、ここでレースが開催されるのは今年が最後になるらしい。
さて、会場は平坦な草地。若干の起伏はあるものの、絶対的パワーに優れた選手が有利なレイアウト。
似たような路面と似たようなコーナーが繰り返すコースだが、降車を強いるステップ区間と、わざわざ掘り起こして作った砂区間がアクセントとなっている。
腕の差が現れるのはサンドセクション。砂場でのミスは簡単に5秒、10秒差を生む。
「Cyclocross Deep Dive」のテクニック解説にも書いたが、砂区間は轍をトレースすることが重要。
パワー勝負になりがちなコースだが、こういうところでアドバンテージを得たい。
また、疲労が溜まってくるレース後半でもミスなくクリアする集中力も重要になってくる。
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今年はコーナーも大回りで、例年を上回るスピードコースになることが予想される。
なお「みなと堺グリーンひろば」は物販禁止・火気厳禁。
埋立地に入ってからは一切の商店が存在しないので、5kmほど離れた石津駅付近の市街地で買い出しを済ませておかないと、ひもじい思いをすることになる。
試走とセッティング
今週は疲れが溜まり、トレーニングを休んでいたので、体を動かす意味も込めて自走で試走へ。
ホイールはITLAB CX、タイヤはPanaracer CGCXチューブレスにタイヤインサートを入れて運用。
基準空気圧の1.8barで何周か走ってみて特に不満はなかったのだけど、試しに1.6barまで落としてみた。ちなみに体重は67kgほど。
通常、ここまで下げるとコーナーでタイヤがヨレて踏ん張れなかったり、ひどいときにはビードが浮いてエアが漏れてしまうのだが、
25mmとワイドなリム幅とタイヤインサートのおかげで不安なく走れた。
…もっとも、空気圧を下げれば良いというものではないので、ベストな空気圧は当日レーススピードで走って探る必要がある。
さてレース当日。天気は良く、1月とは思えない暖かさ。
路面はほぼ昨日とほぼ変わらないドライコンディションだが、水はけが悪い場所のコーナーが1〜2箇所、軽くぬかるんだ状態に。
また、サンドセクションのうち、クランク状に曲がる場所は掘り返され、難易度が上がっていた。
昼試走では、FMBのチューブラーで2周、パナレーサーのチューブレスで2周。
滑りながら路面を掴むチューブラーの感触に対して、チューブレスはしっかり路面に噛む感じ。
最終的には昨日の試走時のセッティング。パナレーサーCGCXチューブレス+インサートで、前後1.6barにセットした。
レースレポート
ゼッケン2番で、1列目中央からスタート。
今日はすごく良いタイミングで踏み出せた上に一発でクリートが嵌まり、横並びのライバルより車輪一個分先行する。
序盤は3番手くらいに位置取りする癖がついているのでこのまま踏むか一瞬迷ったが、滅多に無い機会なのでホールショットをいただく。
コーナー3つほど先頭で走った後、たつーみが前に出て、伸元が続く。
10周回となったレース前半は、横山航太、副島達海、柚木伸元(オープン参加)、堀川滉太、そして私の5名パックで展開。
平坦な堺はハイスピードな展開になるため、空気抵抗の影響が大きくなる。
このパックからふるい落とされたら二度と追いつけないと自分に言い聞かせる。
しかし、この顔ぶれにしては控えめなペース。
少し考えれば当然で、後ろにつくのが有利な高速コースで、先頭を走る選手が自らの足を削ってスピードを上げるメリットがない。
コーナーの処理や砂場でのミスで車間が開いてしまう場面もあったが、ストレートで踏んだらすぐに差を挽回することができた。
このままの状況が続くかと思われたが、4周目の砂セクション、クランク状に曲がる場所で乗車クリアを試みたところ、同様に乗車したままアプローチして足をついたコータにラインを塞がれ接触。
この時シューズのBOAダイヤルが解除されて緩んでしまった。走りながら締め直したものの遅れてしまう。
砂セクションを出たところでパックは分断され、ノーミスでクリアした横山航太・柚木伸元パックが先頭。数秒差で堀川滉太・副島達海パック。
ここからさらに数秒遅れて私が追う展開になった。
5周目に入るコントロールラインで、コータ・たつーみパックまで7秒差。
高速コースで、単独で追走をかけるというのは不利な状況ではある。
しかし、先行する姿を見ると、パックを牽引するたつーみのペースがそこまで上がっていないように感じられた。
砂のクランクコーナーを乗車クリアし、その後のストレートもスピードを乗せて通過。シケインを過ぎた辺りでパックを捕らえた。
ここで一旦脚を休めるか判断に迷ったが、そのままパック先頭に出て6周目に入る。
――結果的にはこの判断は正解だった。
レースが動くのはやはり砂セクション。6周目の砂場では、ミスをしたコータと、その影響を受けたたつーみに8秒差をつけ、単独走に持ち込む。
先頭は(横山)コータプロとオープン参加の伸元。
そこから15秒ほど遅れているものの、C1で2番手というポジション。
先頭との差はジワジワ広がる一方で、C1で3番手の(堀川)コータに対しても、13秒差…18秒差…と、着実にタイムギャップを広げていった。
いよいよ残り2周。ここで島田真琴・中井唯晶の2名パックがペースアップし、急速にタイム差を縮めてきた。コータもここに吸収されたようだ。
1周あたり10秒くらいツメられていたので肝が冷えたが、優勝のコータプロから21秒遅れ、最後に追い込みを見せた唯晶からは7秒先行し、シマノレーシングに挟まれる形で2位表彰台を獲得した。
レースを振り返って
ロードレーサーに有利な平地のパワーコースで、シマノレーシングはじめ層の厚い顔ぶれ。
今日は好成績は望めないと思っていただけに、価値ある2位表彰台を獲得できてとても嬉しい。
今週は疲れ気味で、平日はほとんど練習せず休養に専念したが、そのおかげか今日はよく踏めていたし、レース終盤までペースも集中力も維持できた。
後から振り返ると、砂セクションでのアクシデント後、コータとたつーみに追いついた時の判断が明暗を分けたように思う。
もしもペースアップせず、パック後方にとどまって脚を休めていたら、最終周回で唯晶の追走に捕らえられていたかもしれない。
プロロード選手の唯晶はもちろん、島田選手も全日本8位の実力者。もし合流を許していたら、2位はおろか表彰台すら危うかっただろう。
関西CXシリーズランキングは3位→2位に浮上。残り2戦も集中して臨みたい。
応援・撮影・サポートありがとうございました。
次戦は再来週の関西シクロクロス第10戦に出場予定です。マイアミの砂地獄でお会いしましょう。