全日本出場権を得るため、東北シクロクロスのJCX/JCFレースに遠征。
平地とキャンバーで構成されるスピードコースで行われたレースはほぼ最後尾からのスタートだったが、うまく立ち回って順調にポジションを上げ、最終周回のバトルも制して7位でフィニッシュ。ポイントを大量に獲得できた。
10/29 東北シクロクロス第1戦 わたり JCX JCF ME1
天候:晴れ 20度
コースコンディション:草地、ドライ
リザルト:7位/55名(8周回 +3:18 順位12% フルラップ完走29名)
機材
Ridley X-Night Disc 2号車
- 前輪: Shimano WH-R8170-C36 / Panaracer CGCX + Insert / 1.7bar
- 後輪: Shimano WH-R8170-C36 / Panaracer CGCX + Insert / 1.7bar
※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準
動画
すくみずログ YouTubeチャンネルでレース動画を公開中
飛行機遠征でJCFポイントを出稼ぎに
昨年は出場できなかったが、今年は全日本選手権エリート出場を目指す。
出るだけなら、JCF公認レースに出場し、ポイントランキング80位以内となる必要がある。
今季はJCXレース=JCF公認レースとなるので、関西で開催される琵琶湖グランプリに出場し、それなりの位置で完走すればOKだ。
ただ、レース中のバイクトラブル、あるいは怪我や病気で出場できないなど、不慮の事態も想定される。
そこで、全日本出場を確実にするため、関西CXシリーズ戦に被らない東北シクロクロス第1戦 わたりJCX/JCFに遠征することにした。
会場は、仙台市より南に25kmほどに位置する、宮城県亘理(わたり)郡亘理町の「鳥の海公園」。
大阪から車で行くと800km、地の果てに思える遠さだが、飛行機輪行すれば仙台空港から自走で13kmほどだ。
10月頭に開催された茨城CXもJCX/JCFレースで、どちらに行くか一瞬悩んだが、アクセスが良い、参加者が少なそう(=上位に入りやすい)、地元グルメが美味しそう、という理由でこちらを選択した。
というわけで、今回はバイク1台で飛行機遠征だ。
土曜日の早朝から移動、昼過ぎまで周辺を観光して、試走時間にあわせて会場に移動。この日は会場近くに宿泊する。
日曜にレース本番だが、日曜夜は航空券が高いうえ、撤収が慌ただしいため仙台市内に後泊。月曜午後に帰阪する…というプラン。
飛行機輪行については、例によってタイオガコクーンを使用した。
LCCは預け手荷物に追加料金がかかるため、飛行機輪行するならANAやJALといったフルサービスキャリアを使うほうがお得なのだが、関空~仙台はPeachしか就航していなかった。
Peachの場合、自転車を預けると3900円の追加料金が必要になる。
一見安そうに見えて、手荷物料金や、謎の手数料をいくつも追加で取られるのが腹立たしい。航空券は往復で27000円ほどとなった。
前日観光
せっかくの遠征。試走時間までまだまだ余裕があるし、天気も良いのでサイクリングする。
仙台空港を出発し北上。名取川沿いの「かわまちてらす閖上」で激安1000円のはらこ飯を食べる。
続いて、震災遺構 荒浜小学校へ。この辺りは東日本大震災の際に津波が直撃した地域。小学校は2階まで浸水したものの、地域住民の避難場所として大きな役割を果たしたという。
かつて集落があったであろう場所には住宅は無く、農地や公園、あるいは空き地になっているが、震災の教訓から、復興時には考えられうる限りの津波対策が行われている。
堤防の役割を果たし内陸部を守る道路、水門、津波時に避難できるような小高い丘も至る所にも作られていた。
この辺りは道路も住宅もまだ新しいが、そういうところに震災の生々しさを感じたのだった。
コースとセッティング
海沿いの「鳥の海公園」に設営されたコースは、平坦な草地と土手を利用したキャンバーを組み合わせたレイアウト。
イメージとしては関西CXの烏丸半島に近いが、こちらのほうが路面が軽く、よりスピードが出る。
平坦区間はコーナー間の距離が取られているため進入速度が速く、コーナリング技術が要求される。
適切なスピードコントロールを行えるかどうかで
キャンバーは、グリップは悪くないものの、盛土で崩れやすい。
長い階段の左右に設けられたキャンバーコーナーはラインが定まらず、何度も反復練習した。
前日試走の終了時間ギリギリまで走り続け、これで切り上げよう…と思った最終周回に前転した。
前日夜から朝方に掛けて断続的に雨が降ったため、コンディション悪化を懸念していたが、当日も路面はドライ。むしろ、多少水分を含んで走りやすくなったくらい。
昼試走ではコースコンディションのチェックと、往路ピット後のキャンバーの反復練習。ラインができていなかったため、前日試走では後回しにしていた部分だ。
それほど速い訳では無いが、安定してクリアできるラインを探しておいた。
高速コーナーやキャンバーでタイヤに負荷がかかるため、空気圧は前後1.7barに設定。
ミズタニブースのローラー台でアップさせてもらい、招集へ。
レースレポート
JCXに全然出てないので、ゼッケン53番、ほぼ最後尾に並ぶ。グリッドは余り物だった右から2番目の位置。
午後2時にレーススタート。最前列スタートの関西クロスでは号砲の音に集中するが、今回は前の動きに合わせるだけなので気が楽だ。
表彰台を狙えるレースでもないので、気持ちはリラックスしている。
さて、実力的には10位前後で走れるはずだが、埋もれているうちにタイム差はどんどん開くので一刻も早く前に上がりたい。
しかし、無理をしてトラブルを起こすと台無しだ。特に今回は代車無し。バイクを壊すとそこでおしまい、ポイント無しだ。
ホームストレートはマージンを取りつつ隙間を探す。1コーナー、前の選手が膨らんで内側が空いたので、杭スレスレに鼻先を差し込む。
このままだと後輪を引っ掛けるので、リヤをちょっと振って内輪差を吸収。立ち上がりでもがいて、2コーナーを抜けると26位までジャンプアップしていた。
レース序盤にこの位置は上出来だ。追い上げがかなり楽になる。
とりあえずは15位を目標に据える。
数名のパックができてくるので、前のパックを追っては抜き、追っては抜きを繰り返す。
パックの先頭は無駄引きしたくないので、向かい風のストレートではスピードが緩む。そういう場所こそ追撃のチャンス。ここで掛けてギャップを詰めて、後ろについたら脚を休めつつチャンスを伺う。
そして、セクションの進入や立ち上がりといった、速度が上下する場所で捌いていく。
そうこうするうち、目標の15位を上回って、シングルリザルトが見えてきた。
8周回となったレースが残り半分となった5周目には、ついに9位に。
まだ前に2名ほど見えるが、焦らず地道に、ジワジワとタイム差を削り取る。
今日はペースもバイクもコントロールできている。調子いいぞ。
6周目、ホダカ野中選手、続いてイナーメの佐野選手を捉えて7位。あと2周回。
数秒のリードを保ったまま7位単独をキープしていたが、ここでペースを落としてしまう。ファイナルラップで佐野選手に再び追いつかれ、階段手前の直線で仕掛けられる。
ここで来るのは分かっていたが、ポジションを守りきれず後退。階段を上った先で2秒は離されただろうか。
続くキャンバーセクション再びギャップを詰めて隙を伺う。
この時点では、最終コーナーで抜いてスプリント勝負することを想定していた。
しかし、キャンバーのターンの進入で佐野選手がバイクを外に振った。
…それは単独なら正解のラインだが、勝負するときのラインじゃない。イン側にできたスペースにすかさず差し込み、オーバーテイク。
ここから先は私のほうが速い。3秒差をつけ、そのまま7位でフィニッシュした。
レースを振り返って
踏むべきところで踏み、無駄なくセクションをクリアし、そして何より、ミスをしない、良い走りができたと思う。
ほぼ最後尾からのスタートだったが、うまくポジションを上げ、満足行くリザルトを獲得できた。
レース中、心拍数はVO2MAXラインをキープ、パワーは休むor無酸素ダッシュという理想的な形。よく追い込めていたし、それでいてコントロールできていた。
ただ、8秒差だった6位の選手に対して、1周目のラップタイムは30秒も遅かった。スタートでうまく上がれたとはいえこの差は大きい。
タラレバだが、もしも2〜3列目でスタートしてたら5位くらいは狙えたかもしれない。
東北CXわたりJCX/JCF ME1 7列目スタート(50位前後)→コーナー2つ抜けて26位。
— すくみずさん (@skmzmw) October 30, 2023
1コーナーの杭への寄せ方と、スピードを乗せた2コーナーでアウトから刈り取るラインが良いな…
シクロクロスにおいて前列スタートは圧倒的有利だが、後ろにいたら何もできないわけじゃない。 pic.twitter.com/PwnGkRSBnk
東北、飯がうまい。
今回の好成績は、ひとえに、前日夜に食べた亘理町名物「はらこ飯」のおかげだと思っている。ちょっと奮発したが気が狂うほど美味しかった。
訪問した「あら浜」は地域の有名店らしく、駐車場はほぼ満車だった。
日曜日のレース後は仙台市内で後泊。自走で行くつもりだったが、雨雲が来てたので後輩のレンタカーに無理やりバイクを乗せてもらう。
カローラツーリングはリヤハッチが傾斜しているので、3名2台はキツい。
夕飯はプチお祝い。「牛たん料理 閣」の牛タン焼き定食。結構並んだが、プリップリで最高だった。このために頑張ったと言っても良い。
さて、それなりに旅費はかかったが、シングルリザルトということで目当てのJCFポイントを大量獲得できた。全日本出場権は確実に得られるだろう。
あとは、全日本のスタート位置を少しでも前にするべく、来月の琵琶湖グランプリでも上位を狙おう。
実に実りの多い遠征となった。イクラも牛タンも大好物なので、また来年も行きたい。