Garmin Edge 130
GarminのGPSサイクルコンピューター Edgeシリーズのエントリーモデル。パワーメーターに対応するが一部機能が制限されている。バッテリーライフが短いものの小型軽量、さらに、屋外でも見やすいモノクロ液晶を活かしてレース用におすすめ。
評価 ★★★★☆
価格 22000円(本体のみ)※後継機種Edge 130 Plusのほうが高機能かつ安価
長所 -Pros-
- 小型軽量
- 直射日光下でも見やすいディスプレイ
短所 -Cons-
- バッテリーライフが短い
- パワーメーター対応だが、機能に制限あり
小型軽量なGarmin Edge 130
Edge 130は、Garmin Edgeシリーズのエントリーモデルに位置づけられ、パワーメーターとのペアリングができないEdge 25を除くと、シリーズ中最軽量を誇る。
機種 | 寸法 | 重量 |
---|---|---|
Edge 25 | 40 x 42 x 17 mm | 25 g |
Edge 130 / 130 Plus | 41 x 63 x 16 mm | 33 g |
Edge 520 | 49 x 73 x 21 mm | 60 g |
Edge 530 | 50 x 82 x 20 mm | 75.8 g |
Edge 830 | 50 x 82 x 20 mm | 79.1 g |
Edge 1030 | 58 x 114 x 19 mm | 123 g |
Edge 1030 Plus | 58 x 114 x 19 mm | 124 g |
Edgeシリーズの他機種と比べてみよう。機能・サイズ・価格のバランスが良く、使用者が多いEdge 520と比較するとこの通り、ふた回りは小さい。
GPSサイクルコンピューター普及に貢献した名機 Edge 500と比較してもなお小さい。
屋外でも見やすいモノクロ液晶
実は、Edge 130で最も高評価している点は画面の見やすさ。
1.8インチと小さいが、半透過型モノクロMIPディスプレイは非常に見やすい。屋外の直射日光下でも、逆に薄暗くても、電子ペーパーのようにハッキリと表示内容が読める。
Edge 530以上の機種はカラー液晶で、スペック上は カラー > モノクロ なのだが、実際の使用感としては、数値を読むならモノクロ画面のほうが好印象。
ただし、グラフや地図を見るなら、表示内容を色分けできるカラー液晶のほうが内容を読み取りやすい。
バッテリーライフ
Edge 130/130 Plusともに、バッテリー寿命は13時間と表記されている(Garmin製品ページ)が、実際はせいぜい10時間程度という感覚。バッテリー寿命15時間のEdge 520と比べても、明らかにバッテリーライフの短さを感じる。
この点はユーザーに指摘されたようで、Garminは「Edge130の稼働時間が短くなる原因」として、次のような説明をしている。
Edge130の稼働時間が短くなる原因
Edge130の製品仕様として公開されている稼働時間は、関連する機能を最小限に使用した際の電力消費に基づいています。
もしご使用のEdge130の稼働時間が短くなっている場合には、バッテリー消費に影響する以下の要因が考えられます。・バックライトの使用
https://support.garmin.com/ja-JP/?faq=VNJ19LsTJT0D7fNNZ4SIk9
・コースナビゲーションの使用環境
・スマートフォンとのBluetooth接続
・自動スクロール、自動ラップ、自動ポーズ機能の使用
GPS設定 | センサーの使用 | アクティビティタイプ | 稼働時間 |
---|---|---|---|
GPS | センサーなし | コースナビ未使用 | 15時間 |
GPS +グロナス | 2つのセンサー使用 | コースナビ未使用 | 10~12時間 |
GPS +グロナス | 2つのセンサー使用 | コースナビ使用 | 10~11時間 |
GPS +グロナス | 4つのセンサー(パワー計含む) | コースナビ使用 | 10時間 |
だいぶ切り詰めないと13時間なり15時間のバッテリーライフは実現できない。逆に、コースナビゲーションや、ConnectIQ拡張機能を使うと電池消費量が増える。
機能と節電の具合を勘案して、以下のような設定で使用中。
- GPS: グロナスOFF
- センサー: 心拍計、パワーメーター
- バックライト: 明るさ最低 自動消灯10秒
- Bluetooth: スマホと常時ペアリング
- ConnectIQ: なし
パワーメーター機能の制限
Edge 130はパワーメーターとのペアリングおよびパワー表示に対応しているが、プロセッサの処理能力の限界か、それとも上位機種との差別化のためか、下表のような機能制限がある。なお、バージョンアップ版のEdge 130 Plusも同様の仕様となっている。
パワー項目 | Edge 130 / Edge 130 Plus 上で表示可能 | Garmin Connectで確認可能 |
---|---|---|
現在パワー | ◯ | ◯ |
3秒平均パワー | ◯ | × |
平均パワー | ◯ | ◯ |
最大パワー | ○ | ◯ |
パワーゾーン | ○ | ○ |
標準化パワー NP | × | ◯ |
強度係数 IF | × | × |
トレーニングストレススコア TSS | × | × |
消費エネルギー [kJ] | ◯ | ◯ |
ペダリングダイナミクス ・左右バランス ・左右トルク効率 ・左右ペダルスムーズネス | × | × |
パワートレーニングを行っている人にとって、最もクリティカルなのはTSSの表示・計算ができないこと。
僕はトレーニングログ管理にTrainingPeaksを使っている(Garmin Connectから転送)ので、TSSはパワー値をもとにTrainingPeaks上で計算されるが、Garmin Connectをメインに使ってる人はたいへん困る。Garmin Connect側でNPやパワーゾーン滞留時間を出してくれるのだから、TSSくらい計算してくれても良いのに…
ペダリングダイナミクスは、詳細なペダリング解析機能。Garmin Vectorシリーズを使っている人向けの機能だが、左右独立のパワーメーターを使用していても、左右バランスが表示されない点に注意。
その他の不満点
温度表示ができない
何故か画面上に温度を表示できない。センサー内蔵で測定自体は行われていて、ログのアップロード後、Garmin Connect上では確認できる。
アップロードが遅い
ログはBluetooth Low Energyで接続したスマホ経由でGarmin Connectにアップロードされるが、遅い気がする。
センサーの名前を変更できない
複数センサーペアリングには対応しているものの、上位機種のようにセンサー名を変更することができない。Ant+IDだけで表示されるので、どのセンサーと繋がっているのか分かりづらい。
バックライト点灯状態が分かりづらい
昼間は常時消灯、夜間は常時点灯にしたいが、バックライトオフでもたいへん見やすい液晶が災いして、昼間はついてるか消えてるかわからない。
良い方法を思いつかなかったので、三段階に調整できる輝度を最低にしたうえで、10秒で自動消灯する設定にしている。
まとめ:「初心者向けではない」エントリーモデル
安くて小さい=手が出しやすい、という構図で初心者向けの印象を受け取りがちだが、
- バッテリーライフの短さ
- パワーメーターの機能制限
という2つの欠点があって、初心者の最初の1台としては勧められない。
特にバッテリーライフの短さは致命的と言っても良い。アワイチは持つかもしれないけど、ビワイチは途中で電池切れになるかもしれない。そもそも、バッテリー残量を気にしながらサイクリングするのは精神衛生上良くない。
TSS記録に非対応というパワーメーターの機能制限も、わかった上で買う分には問題ないと思うんだけど、
「よーし、パワートレーニング始めるぞー!」
なんて言って、4iiiiとEdge 130買った人がこの仕打ちを受けると思うと気の毒だ…
パワトレ初心者に、いきなりTrainingPeaksとかGolden Cheetah使えっていうのはちょっと酷すぎる。
以上のように、Edge 130だけで全てをこなすのはちょっと厳しい仕様だが、すでに上位機種を持っている人が
- できるだけ軽量化したい
- 数時間以内のライド
- 最低限のデータ確認とログの記録ができれば良い
- 破損の可能性がある
という限定された状況で使うのであれば、たいへん優秀。
僕はEdge 530も持っているが、レースでは小型軽量という点を活かしてEdge 130を使っている。130は530より40g以上軽いし、小さいのでなにかに引っ掛ける心配も少ない。
レース中は時刻とラップタイムくらいしか見ないので(というか、オフロードレースだと画面見る暇がない)、画面が小さくても、表示項目数が少なくても、NPやTSSが表示できなくても問題ない。
また、安価なので、壊れたり傷んだりする場面でもガシガシ使える。
Edge 530の修理料金とバッテリー交換はガーミンジャパンに依頼すると16900円。泥だらけになるMTBやシクロクロス、バッテリーを酷使する毎日の通勤でEdge 130を使うことで、高価な上位機種を温存できる。
不満点はあるが尖ったコンセプトの本機は、Edge 500のシンプルさを受け継いでいるように感じられてGarmin Edgeラインナップの中では実は一番好きな機種だったりする。