SRAM QUARQ RIKEN
パワーメーターの老舗、Quarqの旧モデル。現行モデルと比べると不便な点は多いものの、必要な機能は揃っており安心して使える。
評価 ★★★☆☆
価格 70000円(S975からのアップデート代金)
長所 -Pros-
- 安定した測定が可能なスパイダー内蔵センサー
- 校正機能が充実している
短所 -Cons-
- 5ピンPCD130、ケイデンスマグネットが必要、BT接続非対応と流石に古臭い
- いまやレアなGXP規格
- 左右バランス測定はクランク半周ごとのパワーの比率を出すだけの簡易的なもの
SRAM QUARQ スパイダー測定パワーメーター
現在も販売されているパワーメーターとしては、SRM、Powertapに次ぐ古参。Qinqo Saturnが2007年のインターバイクで展示されていたようなので、13年ほどの歴史がある。SRMやPowertapの初期モデルは有線式だったが、Quarqは当初よりAnt+の無線規格に対応している。
パワーの測定は、クランクのスパイダー部分に内蔵されたひずみゲージで行う。この方式は、重量は嵩むが駆動力以外による変形の影響を受けにくい(気がする)ので個人的には信用している。なお、SRMも同様にスパイダーで測定している。
Quarq Riken
使用していた中古のQuarq Cinqo S975が故障したため、有償修理にてパワーメーター本体であるスパイダー部分のみ、当時の現行モデルのRikenに交換されたものが本機。2014年頃の話で、SRAMと直接やり取りをしてアメリカに送った覚えがある。
新品で販売されていたQuarq Rikenはアルミクランクで、カーボンクランクは上位モデルのQuarq ElsaとSram Red Quarqのみだったが、上記の理由により本機のクランクアームはカーボンとなっている。
GXP規格
クランク軸は24mmのGXP規格。対応BBはSRAMのGXP BBだが、入手性が悪く、耐久性にも不満があるのでシマノ・ホローテックIIのBBに自作のスペーサーを噛ませて使っている。
バッテリー
電池はCR2032ボタン電池。旧CinqoはCR2450というややマイナーな電池だったので、CR2032になって入手性がよくなった。
クランクの「Q」の部分が電池ボックスになっているが、防水がやや不安なのでシールテープを巻いて運用。
ケイデンスマグネット
古いパワーメーターなので、クランク角度を取得するためにケイデンスマグネットが必要。
スレッドBBに挟み込むタイプとフレームに貼り付けるタイプ、2種類のマグネットが付属する。
スレッドBBのバイクならボトムブラケットに共締めするだけで、目立たず取り付けできる。
圧入BBフレームの場合は、付属のエポキシパテ、あるいは両面テープ等でチェーンステーにマグネットを貼り付ける。
Qalvin Legacy
最近のQuarqはiPhone/Android対応のQalvinアプリでパワーメーターの設定を行えるが、旧モデルのRikenはBluetooth非対応で、このアプリでサポートされていない。
Rikenの他に、ELSA, SRAM RED Quarq, XX1 Quarq、あとはCR2450電池を使用するCinqo S975やSaturn等について、ファームウェアアップデートやスロープ値調整、故障診断などのメンテナンスを行う際は、旧モデル用として提供されているWindows/MacのQalvin Legacy、またはiPhoneのQalvin Legacyアプリで行う。
接続はAnt+経由なので、別途USB接続のAnt+ドングルや、iPhone用のドングルが必要となる。
Qalvin Legacyの機能一覧
- ファームウェアアップデート
- キャリブレーション
- ゼロ点キャリブレーション
- スロープ値キャリブレーション
- 故障診断
- クランク回転方向設定
パワー測定値の比較
Garmin Vectorのレビューで触れた内容と同じだが、ZWIFTでカスタムワークアウトを作成し、Garmin Vector、Quarq Riken、Saris H3で比較測定を行った。
ワークアウト内容
- ウォーミングアップ 10分~
- パワーメーターのゼロ点キャリブレーション
- 160W 3分 80-85rpm
- 240W 3分80-85rpm
- 320W 3分80-85rpm
- レスト 1分
- 2セット×
- 400W 1分 80-85rpm + レスト 1分
- 2セット×
- 480W 30秒 100rpm~ + レスト 1分
- 2セット×
- 560W 20秒 100rpm~ + レスト 1分
ギヤは39x17Tに固定した。
時系列のグラフと、各パワーゾーンでの平均パワーを以下のグラフに示す。
480W、560WのゾーンでVectorとRikenが高い値になっているのは、Saris H3の癖が原因。
ペダル測定のVectorとクランクスパイダー測定のRikenを比べると、ほぼ同じ平均パワーになっている。
簡易的な左右バランス測定
最新ファームウェア(Version 24)のQuarq Rikenは左右バランス測定に対応している。とはいえ、Rikenのパワー測定部はスパイダー部分にひとつ。クランク半回転ごとにトルクを集計し、クランク位置12時~6時を右足分、6時~12時を左足分として左右バランスを計算している。
そんなのでちゃんと測れているのか不安なので、左右独立で測定するVectorと比較してみたところ、以下のようになった。
ご覧の通り、なんとなく近い雰囲気かな?という程度で、波形が揃っているとは言い難い。
違いが生まれる原因は、負のペダリングトルク。
Rikenで右足のパワーとして計算されるのは、12時~6時位置での
[右足の踏み込み]-[左足の引き足ロス]
つまり、左右の足で踏み込みの力が全く同じでも、左足だけ引き足が弱かった場合、右足のパワーが低いと計算される。
左右のパワーバランス測定については、オマケ程度に考えたほうが良い。
まとめ:平凡だが堅実なパワーメーター
2020年現在はパワーメーターの選択肢はたくさんあるので、あえてQuarqを選ぶことはないかもしれないが、購入した2014年当時は堅実な選択肢のひとつだった。
ケイデンスマグネットが必須だったり、Bluetoothに対応していなかったりと、今となっては古臭い印象は否めないが、信用のおけるスパイダー測定で、スロープ調整も可能と、パワーメーターとして重要な部分はしっかり押さえている。