CHROME SIMPLE MESSENGER BAG
容量12Lのメッセンジャーバッグ。ノートPCやタブレットを入れるスリーブもあり、街乗りや通勤通学に向く。
クローム・インダストリーズ ジャパン様よりCHROMEブランドのメッセンジャーバッグを提供いただきました。
長所 -Pros-
- 通勤通学に最適な12L容量
- ノートPC・タブレット用のスリーブを内蔵
- 防水生地と丁寧な縫製
短所 -Cons-
- 暑い時期はどうしても背中が蒸れる
- 荷物が増えた時、容量を拡張できない
CHROME INDUSTRIES
CHROME(クローム)は、1995年創業のバッグブランド。CHROMEのメッセンジャーバッグは防水素材で作られ、金属製のクイックリリースバックルやシートベルト生地のストラップを備えている。
過酷な使用に耐える頑丈な造りで本職のメッセンジャーに愛用され、日本でもピストブームの頃に人気を博した。
私が自転車に乗り始めた時期はピストブーム後半だったので、自転車屋には何種類もメッセンジャーバッグが並んでいた。
CHROMEはクロームメッキのバックルが魅力的だったが、ちょっと手が出なかったので、価格が安い別メーカーのバッグを使っていた記憶がある。
メッセンジャーバッグの特徴
メッセンジャーバッグの特徴は、ショルダーバッグの利便性を持ちながら自転車乗車時に使いやすいよう工夫されていること。
乗車中にバッグが体にフィットするよう、メインストラップはワンタッチで長さを調整できる。また、前傾姿勢でバッグが体の前に回り込んでこないよう、クロスストラップで固定できるようになっている。
さらに、雨や汗で荷物が濡れないようバッグは防水加工されている。
CHROMEに限らず、本格的なメッセンジャーバッグはどれも、ストラップの長さ調整、クロスストラップ、防水加工という3点を抑えている。
荷物を背負って運ぶだけなら、両肩で支えるバックパックのほうが優れているが、頻繁に荷物を出し入れするならメッセンジャーバッグが便利。
信号待ちの僅かな時間でスマホをチェックしたり、駐輪時にさっと鍵を出し入れしたりできるし、自転車を降りたらショルダーバッグとして使える。
私は普段の自転車通勤ではバックパックを背負っているが、久々にメッセンジャーバッグを使ったところ、利便性の高さを改めて実感した。
SIMPLE MESSENGER BAG
提供いただいたSIMPLE MESSENGER BAGは、街乗り向けの小容量メッセンジャーバッグ。
メッセンジャーバッグはもともと、メッセンジャーが荷物を運ぶためのバッグなので大容量だが、通勤通学や街乗りで使うには持て余す。
SIMPLE MESSENGER BAGは容量を12Lとして、デイリーユースで使いやすいサイズになっている。
また、その名の通りシンプルな造りで軽量。CHROMEのアイコンである金属製バックルが無いのは少し寂しいが、コストも抑えられている。
もちろん、ストラップ調整や防水生地といったメッセンジャーバッグとしての機能性は備えており、サイズは小さいがCHROME品質。縫製も頑丈で、安心して酷使できる。
バッグの外観
CHROMEのメッセンジャーバッグの容量は24Lだが、12LのSIMPLE MESSENGER BAGはその半分。
財布とスマホ、あとは小物をいくつか入れてちょうど良い具合。私は、予備チューブと携帯工具、ポンプを入れている。
容量が少ない分バッグもコンパクトで、外寸は
幅480 × 厚み140 × 高さ240 mm
小柄な人や女性でも背負いやすいと思う。
底面には「CHROME」のプリントが。普通のバッグなら目につかない部分だが、メッセンジャーバッグの場合、背負って自転車に乗ると後ろから見える。
丈夫な生地と縫製
表皮は1050Dナイロンで、強度が高く摩擦にも強い。内張りは防水性のあるターポリンが使用されている。
大きな荷重がかかりづらい小容量バッグながら、しっかりと縫製されており、ストラップやファスナーの付近は、これでもかというほどミシンが掛けられている。
ストラップシステムとフィット感
クイックアジャストバックル
機能性を高めるべく各社が工夫を凝らすストラップ。
SIMPLE MESSENGER BAGには、CHROMEのアイコンである金属製バックルのかわりに、
軽量かつワンタッチで長さ調整が可能なクイックアジャストバックルが採用されている。
ストラップ自体は、薄くしなやかなシートベルト生地が使われている。
ストラップの端を引っ張ると締まり、バックル部を引き起こすと緩む。ちょっとしたコツをつかめば片手で操作できる。
ストラップの端はループになっていて指を掛けやすい。ここはアジャスターがついていて、余ったストラップがぶらぶらしないように処理できる。
乗車中にバッグが前に回り込むのを防ぐクロスストラップももちろん装備。
位置は左右入れ替えられるので、クイックアジャストバックルの向きが逆になってしまうものの、右肩に掛ける使い方もできる。
背中の蒸れ
荷物が増減しても、ストラップの締め具合でフィット感を調整できるうまくメッセンジャーバッグの利点のひとつ。
ストラップをきちんと調整すれば、バッグは背中の上で安定する。
ただ、通気性を高める工夫は一切ないため、夏場はどうしても背中が蒸れて汗だくになってしまう。
背中にタオルを挟むとか、メッシュクッションを縛り付けるとか、対策はあるのだけど、スタイルと実用性を天秤にかける感じかな…
バッグ内部
メインコンパートメントの容量
内寸は実測で、
幅350 × 厚み130 × 高さ 250 mm
といったところ。B5ノートやファイルは余裕で収まるが、バッグのマチは底側にしかなく、上に行くにしたがって荷室が薄くなる。
ノートPC/タブレットを収納できるスリーブ
メインコンパートメントの背中側にはノートPCやタブレットを収納するためのスリーブを備えている。
スリーブはクッション性のある素材になっているが、特に起毛加工などはされていない。
大きさは、B5モバイルノートが入るくらい。13インチのMacbookは収まりそう。
また、反対側には小物を入れるポケットがついている。
スマホや小物向けのファスナー付きポケット
バッグ外側にはファスナー付きポケットがあり、フラップを開かずにアクセスできる。
底は浅いし、マチが無いため分厚いものは入れられないが、スマートフォンを入れておくと取り出しやすく便利。
他に、バッグの中で行方不明になりやすい小物を入れておける。
スマホの他にも、チケット類やリップクリーム、今の時勢だと、マスクを仕舞っておくのにもちょうど良い。
防水性をテスト
雨の中を走ることもあるので、バッグの防水性をテストした。
メインコンパートメントはターポリンの内張りで雨が侵入しないようになっているが、外側のファスナー付きポケットは止水ファスナーが採用されているものの裏地がない。
そこで、ダンボールの切れ端を入れて、シャワーの水を掛けてみた。
しばらく水をかけ続けた結果はご覧の通り。中に水が溜まっている。
止水ファスナーは完全に水の侵入を防ぐものではないし、シールされていない生地の縫い目からも水が染みたのかもしれない。
小雨程度であれば問題ないとは思うが、フロントポケットの防水性は無いと思ったほうが良い。一方で、メインコンパートメントへの浸水は一切なかった。
無闇に防水性を高めると使い勝手が悪くなる。例えば防水バッグの定番、オルトリーブの製品は浮き輪になるくらい高い防水性を持つが、生地は重くポケットも少ないうえ、ロールクロージャーや開閉が硬い防水ジッパーを採用していて、バッグへのアクセスは手間がかかる。
フロントポケットは防水性より使い勝手を優先させたのだろう。まぁ、ずぶ濡れになるような大雨のときには、フロントポケットの中身をメインコンパートメントに移せば済む。
バッグの実容量は少なめに感じる
入る荷物の量は荷室の容量だけではなく、その形状に影響される。
実容量のイメージを掴むため、試しにサイクルボトルを入れてみた。
手元にあった500~650mlのボトルを入れていくと、5本でちょうど。蓋がオレンジのものは650mlボトルなので、なんとなくサイズ感は伝わると思う。
ここからさらにボトルを1本増やすと、フラップのベルクロが一部しか掛からず、閉まり具合がやや不安になる。
バッグのマチは底側にしかないため、厚みのあるものは入りにくい。購入を検討する際は容量12Lという数字に惑わされず、持ち運ぶ荷物に対して十分なサイズかしっかり確認が必要。
拡張性が欲しい
CHROMEのフルサイズのバッグは、フラップのベルクロが掛からないくらい荷物が増えたときもストラップで固定できるようになっているが、SIMPLE MESSENGER BAGでは採用されていない。
前述の通り、12Lという数字よりは少なめに感じる容量なので、荷物が増えたときに対応できる仕組みが欲しかった。
まとめ:毎日の通勤通学に
生地や縫製はしっかりしているし、ストラップシステムも機能的。そのうえで、必要十分なサイズに絞ってシンプルな造りにしたメッセンジャーバッグ。
軽量でコンパクトだし、自転車を降りても違和感のないデザイン。価格も抑えられている。
ワンタッチでストラップを緩め、バッグを体の前に回せばすぐに荷物にアクセスできるのはメッセンジャーバッグならでは。
都市部で荷物の配達を繰り返すメッセンジャーが使いやすいように工夫されたバッグなので、街乗りとの相性は抜群に良い。
今や仕事でも勉強でも電子機器は欠かせないし、ほとんどの人はスマートフォンを持っているが、SIMPLE MESSENGER BAGにはノートPCやタブレットを入れるスリーブや、スマートフォンを仕舞うのにちょうど良いフロントポケットがあり、通勤通学でも便利に使えると思う。
一方で難点を挙げるなら、やはり容量を拡張できないことだろうか。
12Lの容量があればたいてい十分だが、時には足りなくなる事もある。
普段は軽量コンパクトなメッセンジャーバッグとして使いつつ、荷物が増えたときに一時的に容量を拡張できる仕組みが欲しかった。
CHROMEの大型メッセンジャーバッグに採用されているストラップと樹脂バックルがあれば、使い勝手が一気に良くなると思う。