ライド概要
おにゅう峠(林道小入谷線・林道上根来線)
滋賀県高島市と福井県小浜市を結ぶおにゅう峠。古くは鉄道や自動車による輸送が発達する以前、日本海で取れた海産物を京都に運ぶのに使われた「鯖街道」のひとつ。
徒歩の場合、所要時間は高低差よりも距離の影響を受けるため、最短距離で結ぶ山越えルートとなった。
おにゅう峠の滋賀側は林道 小入谷線(おにゅうだに)、福井側は林道 上根来線(かみねごろ)といい、ピークは標高820mほど。
2003年に未舗装林道として開通した林道は徐々に舗装工事が進み、2020年、ついに全線が舗装化された。
走行ルート
今回のライドでは「道の駅 くつき新本陣」をスタートし、おにゅう峠を滋賀側から福井に抜ける。
目的地は若狭瓜割名水公園の「瓜割の滝」とした。
バイク
今回もキャニオン グレイルで出発。おにゅう峠の路面は荒れてそうだったので、振動吸収性が欲しかった。
もっとも、この後の行程にグラベルを組み込んでいたのが主な理由だが…
タイヤはパナレーサーのグラベルキングSS。センタースリックなので舗装路でもよく転がる。ただ、舗装路の峠の下りをガンガン飛ばしてたらサイドノブが少々傷んできた。
道の駅 くつき新本陣
スタート地点は「道の駅 くつき新本陣」
朝ごはんは農産物直売所で売ってた鯖寿司。2切れ200円と安いのに、鯖が肉厚でおいしい。
糖分補給のため、くず餅も平らげる。
道の駅をスタートして、国道367号線 鯖街道を北上。
2kmほど進んだ先の分岐を左折して、県道23号に入る。
道幅は狭いが、ほとんど車の通らない道を緩く登っていく。
8月とは思えないほど涼しかったが、小雨が降り出した。濡れるほどではないのでそのまま走り続ける。
最後にやや勾配がきつくなり、小さなピークを越えて少し下るとT字路の分岐。右に曲がると小入谷(おにゅうだに)集落に入る。国道を外れてからここまで20kmほど。
小入谷集落から林道小入谷線へ
小入谷集落は平坦な道沿いに、ぽつぽつと民家が点在している。
とはいえ、コンビニはもちろん自販機も見当たらないので、補給食や飲み物は多めに持っておくべきだ。
集落を抜けると林道小入谷線の起点。ここから本格的な上り区間が始まる。
始点からピークまでは距離5.6km 獲得標高は360m。平均勾配6.5%で「標高800mクラスの林道」からイメージするほどの坂ではない。
連日雨が続いた後で、何なら今も霧雨が降っているが、滋賀側は路面の落下物も少なく走りやすかった。
標高を稼ぐにつれて景色が開け、山々が見渡せるようになってくる。
ヘアピンカーブの途中におにゅう峠のピークが表れる。
おにゅう峠から林道上根来線へ
おにゅう峠のピークは道幅の広いヘアピンカーブになっており、真ん中には滋賀県と福井県の境界が走っている。
最後まで未舗装だった峠の福井側も工事され、真新しいアスファルトになっていた。
また、この境目は中央分水嶺でもある。境界を挟んで福井側に降った雨は日本海側に、滋賀側に降った雨は太平洋側に流れ込む。
この日の気温は麓からピークまでずっと21~22度の範囲に収まっており、山頂も快適だった。
遠くに見える日本海を眺めつつしばらく休憩。
福井側の下りは、舗装はそこそこ綺麗だが湿っており、握りこぶし大の落石がゴロゴロ落ちている。しかもガードレールがない場所も多い。
落石を避けつつ、車が通った轍をトレース。段差もあるし、避けきれない小石を踏むこともあるが、タイヤの太さに助けられて下っていく。
滋賀から登った場合、福井側のほうが標高差が大きい。ヘアピンコーナーが続くとブレーキを多用するので、軽い力で安定した制動力を引き出せるディスクブレーキがありがたい。
ワインディングを抜けて川沿いに出ると勾配が緩む。
道はやがて2車線に。
快走路をスイスイ走り、国道27号線に当たったら右折。
ここからは交通量が多く、大型トラックもよく通るため走りにくい。しかも向かい風で余計にしんどかった。
5km少々走ると、目的地の「若狭瓜割名水公園 瓜割の滝」に到着する。
若狭瓜割名水公園 瓜割の滝
瓜割の滝は、一年を通して温度の低い水が湧き出している泉で、その名前は夏場でも浸けておいた瓜が割れるほど冷たい事に由来する。
湧き水はミネラルが豊富で、名水百選に選ばれているという。
冷たい湧き水を飲んで回復した後は、道の駅熊川宿へ移動して昼食、午後からは未舗装林道のグラベルライドに臨む。
おにゅう峠を走るにあたって
人里を離れて冒険気分が味わえ、交通量やコースプロフィールという点で初心者でも走りやすいおにゅう峠だが、
- 補給ポイントが無いこと
- 道路上の落石
- 下りコーナー
については注意が必要だと感じた。
まず補給について。朽木の道の駅をスタート後、小浜市内までコンビニは無い。
山の中では自販機も無いため、水や補給食は多めに持っていく必要がある。
次に落石について。福井側の下りにはこぶし大の石が転がっていた。パンクで済めば良い方で、タイヤをバーストさせて自走不能になるリスクもある。
スピードを出すと見落とすこともあるので、安全マージンを十分に取りたい(自戒の意味も込めて)。
パンクやチェーントラブルの対策も十分にしておきたい。
また、下りはスピードが出るうえ、深いコーナーもある。ガードレールが無い場所も多いため、オーバースピードで曲がりきれなかったり、転倒すると最悪崖から落ちる。
今回はほとんど車を見なかったが、紅葉の時期はそこそこ賑わうらしいので、対向車が来ても対処できるペースにすべき(自戒の意味も込めて)。