OGK KABUTO NB-02を購入し、普段遣いのメガネとして使用している。
しかし、フレーム色(マットクリア)が明るすぎて目立つので、DIYで染色した。
染料の定番 ダイロン マルチ
今回は塗装ではなく、染色、つまり染料に漬け込むことでアイウェアのフレーム色を変える。
表面を塗料でコーティングする塗装と異なり、染色の場合は対象物の表面に色が染み込む。そのため摩擦や変形で剥がれず、表面の風合いも保たれる。
逆に欠点は、部分染めが難しい、対応する素材が限られる、成型色より薄い色には染められないことだ。
今回使う染料は「ダイロン マルチ」
ウェブサイトによれば「70年以上、世界中で愛されるロングセラー商品」だそうだ。
本来は衣類を染めるためのものだが、一部のプラスチック製品も染めることができる。
染められるもの
- 綿
- 麻
- ウール
- シルク
- ナイロン
- レーヨン
染められないもの
- ポリエステル
- アクリル
今回染めるアイウェア OGK KABUTO NB-02は「TR90」というナイロン系の素材なので染色可能。
ナイロン焼結の3Dプリンタ造形物も染めることができる。というか、本記事のアイウェア染色は、コミケで頒布した3Dプリンタ製品と同時に行った。
TPU(熱可塑性ポリウレタン)製のスマホケースもダイロンマルチで染められるようだ。
必要な道具類
染色にあたり必要なものは以下の通り。
- ダイロンマルチ
- ステンレス鍋(アルミ鍋はNG)
- コンロ・電熱器等
- 温度計(60~100度あたりが測定可能なもの)
- 菜箸
ダイロンマルチ
ダイロンマルチは粉末状の染料で、一袋5.8gを1Lの熱湯に溶かして使用する。ただ、液量が十分であれば多少濃い目にするほうが染まりやすい。
同社ラインナップにはより低温で使用可能な「プレミアムダイ」もあるが、こちらではナイロンは染まらないため注意。
ステンレス鍋
鍋はステンレス製にすること。アルミ鍋を使うと染まらないらしい。
(洗えば衛生的には問題ないが)料理用の鍋を使うのは憚られたため、ダイソーで小ぶりなステンレス鍋を買ってきた。
コンロ・電熱器等
真っ黒に染める場合は、40分程度の時間がかかる。この間、染液が冷めてきたら加熱する必要があるため、コンロや電熱器が必要。台所を専有できると都合が良い。
我が家はオール電化だが、安い鍋はIH調理非対応なので、3口コンロの中央上部についているラジエントヒーター(電熱ヒーター)で加熱した。
もちろん、カセットコンロを使ってもいい。
温度計
染色時、液の温度を60~80度程度にキープするために温度計は必須。ただ、正確な温度を測る必要はないので安物で十分だ。
ダイソーで買ってきた天ぷら用の温度計を使用した。
プラスチックを使用した温度計を使う場合、染まる可能性があるので注意。
菜箸
染めムラができないようかき混ぜたり、取り出したりするのに使用する。割り箸でも良い。
なお、作業中は染料が飛び散ることがあるため、汚れてもいい服を着ること。また、できれば薄手のゴム手袋をしたほうが良い。
染色の手順
分解と洗浄
まずは分解。ネジを緩めてノーズパッドを外し、フレームとテンプル(つる)も分離させる。当然だがレンズも外す。ネジ類はなくさないようにきちんと保管しておくこと。
NB-02は耳に当たる部分に滑り止めのラバーがあるが、剥がすのが面倒なのでここはそのまま染めることにした。
分解したら、表面に油分や汚れがあると染めムラの原因になるため、中性洗剤でよく洗浄する。顔の皮脂がつく部分なので、スポンジでこすり洗いするほうが良い。
染料の準備
ステンレス鍋にお湯を沸かして、そこにダイロンマルチを入れてかき混ぜる。一袋5.8gを1Lのお湯に溶かすことになっているが、少ない分には後で足せばいいので、染めるパーツ類がきちんと浸かる程度、700mlほどの液量とした。
温度は80度にするらしいが、今回は電気ケトルで沸かしたお湯を使ったので、最初は液温が90度くらいになっていた。適度に冷ましてから染色開始。
煮込み
染液に染めたいモノを入れて、いよいよ染色開始。ムラにならないように、対象物は完全に浸かるようにする。
このとき、独特の匂いがするため、よく換気したほうが良い。やはり、換気扇が備え付けられた台所で作業するのがベストだ。
染色中は温度計を見ながら、こまめに火加減を調整し、染液の温度を60~80度に保つ。鍋に蓋をしておくと温度が下がりにくくて良い。
TR90の耐熱性は高く、100度程度なら平気みたいだが、変形しても嫌なので70度前後をキープするようにした。
真っ黒ではなく、半透明のスモークにしたかったので、途中何度か引き上げて色味を確認した。
水洗い
だいたい5分ほどで好みの色合いになった。隙間に染液が残らないよう、よく洗浄した。
なお、同時に染色した白色のナイロン樹脂(3Dプリンタ造形品)は、真っ黒になるまで40分ほど煮込む必要があった。
組み立て
洗浄後、眺めてみると良い感じの濃さ。初めての染色作業だったが、染めムラも見当たらなかった。
表面のツヤや質感は以前と変わらない。不思議な感じだ。
完全に乾燥したら組み立て。染色では外形寸法が変わらないため、ヒンジを組んだりレンズをはめ込む時もスムーズ。
塗装だと、こういう可動部分・はめあい部分から塗膜が剥がれてしまうが、そういう心配も無用だ。
廃液の処理
ダイロンマルチには毒物・劇物といった有害な成分は含まれていないため、使用後の染料は下水に流して構わない。
ただ、染料が残っているならば再使用可能なので、ペットボトルなどに移して密封しておくとまた使える。
TPU(熱可塑性ポリウレタン)製のスマホケースも染められるようだ。
まとめ:DIYで好きなカラーに
前から一度やってみたかったプラスチック製品の染色。初挑戦ながらうまくいった。
数日使ってみたが不具合もなく、当然フィット感も以前の通り。職場の人にはメガネを変えたと思われているようだ。
ただ色合いに関しては、部屋の中では期待通りのスモークブラックになったが、明るい直射日光下では少し薄く、若干青みがかって見える。
もう少し煮込んでも良かったかもしれない。
紫外線による退色も多少あるらしいので、気になるようなら再度染め直そうと思う。