第2回 限界ニュータウン探訪ライド② 北摂ローズタウン ~北摂ニュータウンの最高峰(物理)には何があるのか~

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「密」を避けた限界ニュータウン探訪ライド 北摂バードタウン・北摂ローズタウン編。
①では弁天の里をスタートして、北摂バードタウンを北に抜けて京都府道733号に出た

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今度は北摂ローズタウンにアプローチする。

目次

ルートとマップ

前編では弁天の里をスタートし、西側から北摂バードタウンへ。町内を散策した後、北東のr733へと抜けた。

後編ではユヤ谷を登り、東側から北摂ローズタウンにアプローチ。府境に沿ったニュータウン郡で最高峰の場所まで登った後、
南側に下って、ゴール地点の農産物直売所 見山の郷に向かう。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: hokusetsu-newtown-1024x758.jpg
電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成

④ユヤ谷

京都府道733号線は2車線の快走路で、なかなかに気持ちの良いツーリングコース。
狭路や急勾配や、舗装の剥がれたような道路ばかり走ってきたので、余計に快適に感じる。

舗装状況も良い2車線の快走路

1.5kmほど走り「アジュールコートテニスクラブ」のテニスコートが見えてきたら程なく右折する。
西側から行くと下りでスピードが出るので、行きすぎないように注意。

つい最近まで道路工事が行われていたようだが、タイミングよく開通していた。

つい最近まで通行止めだった

「湯谷」の看板に従って、道を登り始める。

味わい深い看板

ここからローズタウンまでは本格的な上り区間で、獲得標高は250m、平均勾配は9~10%

序盤は山の中といった雰囲気だが、2連続のつづら折れを抜けて少し行くと視界が開ける。

視界が開け ユヤ谷を登っていく

左手には谷沿いに棚田が広がる。棚田と言っても綺麗に区画整理されているし、軽トラックが難なく走れる畦道というか、作業道も整備されている。
農林水産省では「傾斜度が20分の1(5%)以上の水田」を棚田と定義しているらしいので、これを棚田と呼べるかどうかは微妙なラインかもしれない。

整備された水田

ほどなく、ローズタウンへの分岐が現れる。
右手に行くと湯谷の集落に入る。
つまりローズタウンは、旧来の集落を越え、さらに山奥を切り開いて開発したと言える。

進むと砂利道になる。工事中に見えるが、入り口の工事看板で示されて場所はここだろうか。
砂利が柔らかく、ロードタイヤが沈み込むため走りがやや重い。勾配も相まって脚を削られる。

⑤北摂ローズタウン

舗装の傷んだ道をさらに上ると、遠くに建物が見えてくる。ユヤ谷で見た日本家屋ではなく、昭和後期の住宅。
最後に13%オーバーの激坂が待ち受けていたが、なんとかローズタウンにたどり着いた。

少なくとも町の入口は人が住んでいる気配がするし、山の上ということを除けば、普通の住宅街に見える。

しかし、山の斜面に造成された住宅地へ向かう道に入ると、道路が崩落していて面食らった。
車止めが置いてあるが、テープで区切られていない部分も今にも崩れそうで、あまり長居したくない…

割と豪快に崩れている

町の奥に進むと空き家や空き地が目立ってくる。
斜面沿いの分譲地は、コンクリートの擁壁と階段が緑に覆われている。買い手がつかなかったのかもしれない。

階段だった場所は深いブッシュになっている

格安という言葉には弱いが、ここに住んだとして、コストパフォーマンスはどうだろうか…

格安…

北摂ローズタウンは、府境沿いのニュータウンのなかで最も高い位置にある。
さらに進み、ニュータウンの最高地点を目指す。

ついにたどり着いた最高標高地点は、標高595m。ニュータウン入り口は520mほどだったので、同じ地区内で70m以上も登ったことになる。

すぐそばの民家?の庭には、無線のアンテナが高く伸びていた。

アンテナがそびえ立つ

ローズタウンの裏手にある湯谷ヶ岳の標高は622m。なるほど確かに、ここならかなり遠くとも交信できそうだ。
アマチュア無線が趣味の人にとってはうってつけの場所と言える。

高い場所に住むと都合の良い趣味として天体観測を思いついたが、京都・大阪という都市に挟まれているので夜も明るく、あまり星は見えないかなぁ…

電子地形図25000(国土地理院)を加工して作成

崩落した道や空き地もあったもののローズタウンは全体的に綺麗だった。商店や病院が無いため、車が必須なのは変わらないが。

⑥見山の郷

ローズタウンを後にしたら、残る行程は下りのみ。

周囲が開けてきたら、じきに大阪府道109号線に出る。

片側一車線のr109をひたすら走り、下りきった頃に目的地である農産物直売所「de愛・ほっこり 見山の郷」に到着。

アイスを食べて一休みしたのち、帰路についた。

山奥のニュータウンでの生活

今回のサイクリングで、ローズタウンへと行く途中に「湯谷」集落を通った。
湯谷とローズタウンの間は距離にして1km、車なら数分で行けるが、暮らし方には結構な違いがあると思った。

湯谷には旧来の日本家屋が並び、寺や神社もあることから、古くからあった集落だと伺える。
おそらく農業を主な収入源として、小さなコミュニティの単位で半ば自給自足で暮らしてきたのではないだろうか。

祖父母の家も、それなりの田舎で、最寄りのコンビニまで5km、JRの特急が停まる街まで出るには20kmといったところ。
周囲には農家も多く、田舎特有の、地域内の結びつきの強さもあった。私が小さい頃などはお米を買った記憶もないし…

一方、ニュータウンは人工的に(というとおかしな言い方だが)新たに作った住宅地で、住人は外部からばらばらにやってくる。
当然ながら、古くからの集落のように密接なコミュニティは出来上がっていない。商店や病院といったインフラもなく、頼れる人もいない状況。しばらくは生活が大変だったのではないかと想像できる。

そして、マイホームを求めてニュータウンに家を建てるのは主に子育て世代。農業なり商店なりをやっている人は敢えて引っ越してこないはずなので、大半は会社に働きに出ることになる。
となると問題は交通アクセス。何度も触れたように公共交通機関でのアクセスは絶望的なので、ニュータウン外への移動には自家用車が必須。
ただ、大阪にせよ京都にせよ、自動車通勤しやすい環境とは言い難い。
いっそもっと田舎であれば、クルマでドアtoドアな通勤ができたかもしれないのに、半端に街の近くにあるせいで、通勤のハードルが上がっているように感じた。

大阪と京都の府境に沿ったニュータウン郡は、会社に出勤して働き、必要なモノは店で買う「都会型」ともいえる生活を送るには過酷に思える土地だった。
造成当時から空き地は目立ったし、今ではさらに住民が減少している。あと20~30年もすればゴーストタウンとなってしまうのだろうか。

もともと興味本位で訪れたのだが、バブルの熱狂のさなかに夢のマイホームを買い求めたものの、周辺環境はいっこうに便利にならず、人は離れ土地も暴落した住民を思うと、しんみりしてしまうのであった。

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