MINOURA UP ROLLER
幅200mmの三本ローラー。コンパクトに収納・持ち運びできるが、それなりのスキルと集中力を要求される。
評価 ★★★☆☆
価格 10000円(中古)
長所 -Pros-
- 軽量コンパクトなので、レース会場でのウォーミングアップ用として実用的
- 難しい三本ローラーに乗れるんだぜ、と自慢できる
短所 -Cons-
- 普段使いにするには流石にちょっと狭すぎる
- 持病の割れる赤キャップ
ペダリングのトレーニング
固定ローラーに乗れないという人はまさかいないと思うけれど、スムーズなペダリングとバランス感覚がなければ三本ローラーには乗れない。固定ローラーがパワートレーニングのためのツールなら、三本ローラーはペダリングを鍛える道具と言える。
3本のローラーの上で自転車を漕ぐのは不安定で、実走では無視できるような、ペダリングに伴う前後左右のブレが顕著に現れる。三本ローラーに安定して乗れるようになったら、実走ではバイクを驚くほどまっすぐ、スムーズに走らせることができると思う。
三本ローラーの大半には固定ローラーのような負荷装置が無く、タイヤの転がり抵抗のみで負荷を発生させている。乗ること自体にも集中力が必要なので、限界まで追い込むような高強度のトレーニングにはあまり向いていない。固定ローラーと三本ローラーを比較してどちらがおすすめか?というものではなく、トレーニングの目的に応じて使い分けようという話。
軽量コンパクトな三本ローラー
さて、三本ローラーはレース前のウォーミングアップには意外と向いている。退屈しないし、全身でバランスを取るので身体も温まりやすい。固定ローラーのように、バイクを脱着するような手間も不要。高負荷は不得手だが、ウォーミングアップでは特に問題にならない。
アップローラーはその名の通り、レース会場でのウォーミングアップに主眼をおいた製品である。あるいは、こんな狭いローラー作ったら面白そうだし、乗れたらカッコいいだろ!というノリかもしれないけど。なんにせよコンパクトさはかなりのもので、マツダ・ロードスターの貧弱なトランクルームにも余裕で収まる。
ベースになっているのは、これも3つ折りでコンパクトになるのが特長のモッズローラー(MoZ-Roller)。この製品に使われている415mm幅のローラーを半分以下に切り詰めたのが、アップローラーというわけ。ゴムなどの消耗品やオプション部品は当然モッズローラー用が使用できる。
アップローラーは万人向けではないためか限定生産で、いつでも手に入るわけではない。2020年5月に再販されたがすでに品切れの店も多く、入手方法は在庫品を探すか、中古を購入するかのいずれかになる。僕はというと、再販前のタイミングだったこともあり、中古で購入した。
さて、手元に届いてみると確かに小さい。本体サイズは、
- 収納時: L520×W325×H215mm
- 展開時: L1310×W325×H110mm
ということになっている。幅が狭いというのはやはり使い勝手がよく、狭い自転車部屋にも難なく設置できた。
昇降用のステップは無くてもいいが、前輪の脱落防止ガードは、よほどバランス感覚に自信がある人以外はつけておいたほうが良いと思う。
幅狭三本ローラーの乗り方
さてアップローラー、所詮は幅が狭いだけなので、三本ローラーに乗れるなら誰でも乗れる。しかしながら、より繊細なバランスが要求される。
一番難しいのは乗り出し時。速度が上がるまでは左右にふらつくので、無理せずなにかに掴まりながら回し始めて、落ち着いてから手を離すのが安全。
回し始めると、もう普通の三本ローラーと全く同じだけど、左右のマージンが少ないので集中していないと端に寄っていって脱落防止ガードに前輪を擦る。
三本ローラー全般に言えるけどうまく回すコツは、
- 腕に力を入れない
- よそ見せず前を見る
- 一定のトルクでペダリングする
- 重めのギヤで速度を出す
といったところ。
アップローラー・モッズローラーのローラー修理
ローラーにクラック発生
ところで、購入時から妙に音がうるさく、ビリビリという騒音がしていた。最初はこんなものかと思っていたけど、よくよく見るとローラー両端の赤いカップ部品にクラックが入っていた。
乗車時の負荷と、圧入されたベアリングの応力で割れてしまったのだろう。この症状、モッズローラーではよくあることで、根本的にはローラー部を交換するしかないのだけれど、交換用ローラーは1本5000円といかんせん高い。そもそもアップローラー用の交換用ローラーは簡単に手に入らないので、修理することにした。
ローラーASSYの分解と接着
注意!
ローラーは予め重量バランスが調整されているので、どのローラーとどのキャップがどの位置で組み合わさっているか、予めマジック等で目印をつけておくこと。
用意する工具は以下の通り。
- 17mmスパナ×2本
- 10mmソケットレンチ(スパナでもいいけど…)
- パーツクリーナー
- ゴム系接着剤(セメダイン スーパーXとか)
分解は、目に見えるボルト・ナットを片っ端から緩めるだけ。ローラーASSYはアルミの筒と両端のキャップ、シャフトで構成されているが、片側のナットを全部緩めたらスポンと外れる。多分、製造時は接着されていたんだろうけど、ここが剥がれてガタついて、騒音の発生源になっていたんだと思う。
バラしたらついでに、ベアリングが死んでないかチェック。今回は全部スムーズに回っていた。あとは、筒と赤いキャップが接する面に薄くゴム系接着剤を塗り、接着後、元通り組み立てるだけ。このとき、3本のローラーの位置を入れ替えると良い。
結果はというと、騒音は劇的に改善されて、快適に三本ローラーを回せるようになった。
とはいえ、先人たちのブログを見ると再発するらしい。すでにパーツ間にガタが出ていることを考慮して弾性のある接着剤を使ったんだけど、うーん、いつまで持つかな。