ペダル型パワーメーター Assioma Duoの癖を調べるため、測定値の比較を行った。
今回は実走トレーニングライドにて、Assioma Duoに加えて、Pioneer ペダリングモニタPM910とパワータップG3のログを同時に記録。ログを比較した。
ライド内容
Garminを3台用意し(Edge530、Edge130 Plus、fenix6s)、PowerTap G3、Assioma Duo、Pioneer PM910それぞれとペアリング。同時にログを記録した。
帰宅後ログをExcelにまとめ、練習区間のうち1時間を抜き出してパワーデータを重ねたのが以下のグラフ。
パイオニアのペダリングモニタPM910はAnt+モードで使用しているが、平均パワーが202.7Wと、だいぶ低めに出ている。
なお、練習前には外気温に十分慣らし、キャリブレーションを行っている。
では、様々なシチュエーションでパワーを比較していきたい。
①ターゲット320W 緩い上り
アウターギヤで十分踏める勾配1%ほどの上り区間で、FTPの若干下である320Wほどをターゲットにして走行した部分を切り出した。なおケイデンスは平均90rpmほど。
- PM910: 310.5W
- Assioma: 318.1W
- PT G3: 324.4W
ペダリングモニタPM910の測定値が低いのはともかく、300W台前半では、Assiomaよりパワータップのほうが高めの値になっていることに注目。
②ターゲット370W 緩い上り
勾配2%の上りをVO2MAX域で踏んだ。ケイデンスは勾配のぶん少し下がって86rpmほど。
- PM910: 357W
- Assioma: 367.6W
- PT G3: 367.8W
これくらいのパワーになると、Assiomaとパワータップの測定値が揃う。
③ターゲット250W 緩い上り
では低めのパワーではどうか、ということで、1%ほどの上りをケイデンス60台でだらだらと。
- PM910: 244.1W
- Assioma: 254.6W
- PT G3: 253.5W
ペダリングモニタが10Wほど低いのは相変わらず。
Assiomaとパワータップの平均パワー差は1Wくらい。
④1分500W
勾配9.4%の坂をシッティング500Wでよじ登る。ケイデンスは平均83rpm。
- PM910: 496.3W
- Assioma: 514.8W
- PT G3: 521.6W
グラフを見ると、後半パワータップの測定値が上下している。チェーンを経由するためパワータップは、もしかするとフレームのたわみの影響を受けているのかもしれない。
⑤激坂ダンシング
平均勾配10.5%の坂をずっとダンシングで登った。ギヤは39×23や25Tで、ケイデンスは53と低い
- PM910: 294.9W
- Assioma: 308.9W
- PT G3: 301.6W
通常はパワータップが高めのワット数をはじき出す300Wちょっとの領域だが、ダンシングの場合はAssiomaのほうが高い測定値となる。
小さいインナーリングを使うことに伴う伝達効率の影響かと思ったけど、インナーローと、最も効率的なアウター14Tを比べても差はたかだか0.5W程度なので、誤差かな…
おそらく、体重を利用したダンシング特有のペダリングが原因だろう。
⑥高速ペダリング
最後に、5%の下りストレートで最高速チャレンジ。ケイデンスは平均120rpmで、ピークパワー700W。
- PM910: 579.6W
- Assioma: 605.6W
- PT G3: 607.8W
後半、ペダリングモニタが全然パワーを拾えてない。ちゃんとケイデンスマグネットもついてるのに。
まとめ
各シチュエーションの平均パワーをまとめると、以下の表のようになる。
①320W | ②370W | ③250W | ④500W | ⑤ダンシング | ⑥高回転 | |
PM910 | 310.5 | 357.0 | 244.1 | 496.3 | 294.9 | 579.6 |
Assioma | 318.1 | 367.6 | 254.6 | 514.8 | 308.9 | 605.6 |
PowerTap | 324.4 | 367.8 | 253.5 | 521.6 | 301.6 | 607.8 |
大半のシチュエーションにおいて、Assioma DuoとPowerTap G3の測定値は良く一致している一方で、ペダリングモニタは常に低いパワー値を示し続けた。
以前から、ペダリングモニタをAnt+モードで使用すると、踏んだ割に測定値が低いという印象を持っていたが、
今回、パワータップにAssiomaを加えて3者で比較したことで、パワータップが上振れしているのではなく、ペダリングモニタが下振れしていることがわかった。
もちろん、パワータップとAssiomaが揃って上振れしている可能性もありうるのだが、別のテストでAssiomaとInfocrank、Vectorがある程度近い測定値を取ることを確認している。
今後、Assioma DuoとPowerTap G3と一緒に測定することで、精度が未知のクランク式パワーメーター(例えば中華パワメなど…)の精度評価や校正ができるのではないか、と考えている。