昼でも点けようデイライト ライトの常時点灯で事故のリスクを大幅に低減

車道を走る乗り物の中では最も小さく弱い自転車だが、日中でもライトを点灯することで、被視認性が2.4倍向上し、事故に遭う確率が33%減少するという。
総合バイクメーカーのトレックは、サイクリストがより安全に走れるよう、デイライト習慣の浸透に取り組んでいる。

この度トレックの「デイライトアンバサダー」に就任しました。今後、本サイトやSNSを通じてデイライトの普及啓蒙を図っていきます。

安全性を高めるデイライト

ここ数年、昼間でもLEDライトを点灯させて走るクルマを見ることが多くなった。
あれはデイタイムランニングライト(DRL:昼間走行灯)という、明るい時間帯専用のライト。ヨーロッパ(EU)では2011年より、新たに販売する自動車への装備と昼間の常時点灯が義務化された。

一般的に、ライトの役割は以下のふたつ。

  1. 進行方向を照らし、道路状況を把握すること
  2. 他の乗り物に対して、存在をアピールすること

夜道を照らす通常のヘッドライトが1.を重視しているのに対して、被視認性を高めるためのデイタイムランニングライトは、2.に特化した昼間専用のライトというわけ。
もちろん、ヘッドライトを昼間点灯しても被視認性を高める効果は得られる。

日本では、2016年に改正された保安基準でDRLが認められた

ところで、灯火装置としてのデイタイムランニングライトをデイライトと略す一方、「ヘッドライトの昼間点灯」をデイライトと言ったりもする。
ちょっと混乱するので、本記事ではデイライト=ヘッドライトの昼間点灯として扱う。

さて、デイライトの有効性は1970年代から認識され、自車のライトを点灯することは、明るい昼間であっても被視認性を高める効果があることが実証されている。
オートバイは1998年からヘッドライトの常時点灯が義務化されているし、電車やバス・トラックも常時点灯があたりまえ。ステルス戦闘機ですら離着陸時はライトを点ける。

しかし、自転車は未だに「夜の無灯火運転はやめよう」とか言っているレベルで、10歩くらい遅れている。

サイクリストの安全に取り組むトレック

総合バイクメーカーのトレックは、単に自転車を販売するだけではなく、より安全にサイクリングを楽しむための取り組みを行っている。

例えば、従来のヘルメットより大幅に安全性を高めた「WaveCel」ヘルメット。
実際の転倒状況において、頭部への衝撃を軽減し、脳震盪を起こすリスクを低減させるという。

デイライトに普及もこういった取り組みのひとつ。
トレックによると、明るい日中であってもライトを点灯することで「無灯火と比べて被視認性が2.4倍向上し、事故に遭う確率が33%減少する」という。

とはいえ前述のように、昼間ライトを点灯する習慣はサイクリストの間に浸透していない。

トレックは、安全性を高めるデイライト習慣を浸透させるため、2021年3月にデイライトアンバサダーの募集を行った。
これは、ボントレガーブランドのライトをサイクリストに提供し、SNSを通じてデイライトの啓蒙を図るというもの。

2021年8月に募集されたデイライトアンバサダー第2弾に応募し、抽選の結果アンバサダーに選出された。

デイライトとしての使用方法に対応したライト

私個人の話をすると、デイライトの有効性は承知していて、薄暗い峠道では対向車へのアピールのためライトを点灯しているが、
明るい場所では、夜間走行に備えてバッテリーを温存するため、また、充放電サイクルバッテリーの劣化を防ぐために、ライトを消して走っている。

デイライトアンバサダーに支給されるのはBontrager Ion Comp R/Flare R City Bike Light Set

充電式ヘッドライトのIon Comp Rと、充電式テールライトのFlare R Cityのセットとなっており、
どちらもデイライトとして使用するための点灯モードを備える

明るい日中で被視認性を高めるためには明るく光る必要があるが、その一方で電池寿命も重要。
ドライバーが気づきやすい点滅パターンと、集光させる光学系の設計で、十分な被視認距離を確保しつつ、日中を通したサイクリングに耐えるランタイムを確保している。

ボントレガーのIon Comp Rと、同クラスのライトでは定番のキャットアイ VOLT800を比較してみると、下表のようになる。

Bontrager Ion Comp RCATEYE VOLT 800
重量135g140g
バッテリーリチウムイオン電池 2600mAhリチウムイオン電池 3.6V 3600mAh
充電時間6.5時間5~9時間
明るさとランタイム700lm:1.5時間
500lm:3時間
300lm:6時間
300lmデイフラッシュ:19時間
200lmナイトフラッシュ:9時間
ハイ 800lm:2時間
ミドル 400lm:3.5時間
ロー 200lm:8時間
デイタイムハイパーコンスタント:7.5時間
点滅:100時間
防水性能IPX4IPX4

VOLT800は普段使っているが、ハイモードは峠の下り限定で、普段はミドルかローで運用している。

点灯モードは明るさとランタイムに若干差があるものの、夜間の使い勝手はほぼ同じに思える。
ただし、Ion Comp Rの「デイフラッシュ」は19時間使えるのに対して、VOLT800の「デイタイムハイパーコンスタント」モードは7.5時間しか持たない。

ロングライドに出かけて朝から走り続け、夕方暗くなってきたとき、Ion Comp Rは十分なバッテリーが残っているが、VOLT800はもう電池切れかもしれない。
となると、VOLT800をデイライトとして運用する場合は100時間持つ点滅モードを使うことになるが、省エネな分、十分な被視認性が得られるかわからない。

ライトそのものとして大きな優劣があるわけではないが、Ion Comp Rはデイフラッシュの発光パターンを煮詰め、明るさとバッテリーライフのバランスを取っているようだ。

テールライトのFlare R Cityも同様の工夫がなされているが、こちらはバッテリー容量が少なく、ランタイムが少し心もとない。
なお、周囲の明るさに応じてデイモードとナイトモードを自動切り替えできるようになっている(オンオフ可)。

Flare R Cityの点灯モード

活動内容について

サイクリングを楽しむ上で、潜在的な事故のリスクは避けられないが、対処できる限りリスクは減らすべきだ。

まずは自分からデイライト習慣をつけ、本サイトやSNSを通じて情報発信していきたい。