12/17 関西シクロクロス第5戦 信太山 E1 2位

細くテクニカルなシングルトラックが特徴の信太山。
前日試走では雨で滑りやすいウエットコンディションだったが、一晩でだいぶ乾いてレース当日はウエアが汚れないくらいの路面に。
E1は、これが引退レースとなるシマノのコータプロが一度も先頭を譲らず優勝。2位争いするローカルライダー達は、テクニックを活かして2番手単独で逃げるコッシーを追う展開。思うようにギャップが縮まらずやきもきしたが、レース終盤にやっと捉えてポジションアップ。2位表彰台を獲得した。
要所できっちり踏まないとペースが落ちやすいし、転倒やパンク、チェーントラブルも多い信太山。終始気の抜けないレースだった。

12/17 関西シクロクロス第5戦 信太山 E1

天候:晴れ 6度

コースコンディション:草地~土、セミウエット

リザルト:2位/51名(8周回 +1:21 順位3% フルラップ完走33名)

機材

Ridley X-Night Disc 2号車

  • 前輪: Yoeleo SAT C45 DB PRO / Panaracer Albit + Insert / 1.6bar
  • 後輪: Shimano WH-R8170-C36 / Panaracer CGCX + Insert / 1.6bar

※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準

動画

すくみずログ YouTubeチャンネルでレース動画を公開中

関西CX信太山に参戦

関西CXシリーズも中盤。第5戦の会場は、大阪市立信太山野外活動センター。自然体験や集団宿泊体験、BBQが楽しめる、林間学校で行く類の施設だ。

BBQサイトや森の中のハイキングコースにレイアウトされたコースは、大きな高低差は無いものの、細かい起伏に富んでいる。
広場になっている部分は平坦な草地だが、ハイキングコースには根っこが張り出している箇所が多い。

信太山はスタート位置の都合で、1周2.2kmに対して、1.7kmもの、ほとんど1周するような長いスタートループが設定されている。
スタート後最初のエリアは、平坦なBBQサイトを抜ける草地コーナー。ここを抜けると、関係者駐車場2の脇を通る砂利道に出る。
ここは数少ない「踏むポイント」。しっかりパワーを掛けてスピードに乗せる必要がある。

2連ヘアピンの後は、いよいよシングルトラックに入る。
すり鉢状のえぐるようなコーナー、ハイスピードの下り、そして階段。ブースが並ぶ会場のメインエリアに至るまでの区間は、スピードが乗る故にコーナーの脱出速度がタイムに響いてくる。

ピット1の周辺は根っこが張り出していてライン取りと体重移動に注意。

コース図左側の区間は、比較的低速で細かいアップダウンが多いエリアだ。
ライン取りとギヤ選択、乗るか押すかの判断など、脚よりも腕で差がつく。

ハイスピードで駆け上がるような最終コーナーを抜けるとホームストレート。ここも全力で踏むポイントだ。
スタート位置からコントロールラインまでは1.7kmもあるが、ここから「1周目」が始まる。

メイン会場を抜け、シケインを飛び越えたら「ナイアガラ」と呼ばれる急な下り→上り区間。
下りは根っこが張り出しハンドルを取られやすく、上りは斜度に加えて丸太階段のせいで乗車が難しい。
階段を登り終えるとピット2だ。なお信太山のコースはシングルピット×2だが、ピット1とピット2が隣接しているため、ダブルピットのように使える。

ピットエリア通過後、路面の悪い、細いシングルトラックを抜けるとスタート地点の脇に出る。この直線も頑張るポイントだ。

関西シクロクロス

全体的に、(踏みどころで頑張らないとタイムが落ちる割に)フィジカルで大差をつけられる箇所が少なく、テクニカルな区間の処理でじわじわと車間が開いていくコースだ。
また、転倒やリム打ちパンク、チェーン落ちのリスクが高いため、好成績を収めるためには、ミスをしないことが何より重要となる。

試走とセッティング

レース前日の土曜日は雨だが、萎える気持ちを押して試走に赴く。
当日は渋滞してロクに走れないので、コース攻略をするなら前日しか無い。

雨は小降りだが、路面は完全にウエット。草地もシングルトラックもグリップ感が無くて怖い。

タイヤは前後ともPanaracer Albit。マッド向けのトレッドパターンだが、あまりにも不安なので空気圧を下げた。1.7bar→1.55barくらいに落とすとだいぶ安心感が出た。
リム打ち対策でなるべく空気圧を下げたくないのだが、グリップが優先だ。パンク対策は丁寧な乗り方でカバーしよう。

前日試走のコースコンディションは当日とは異なる。晴れであっても路面の締まり具合が変わってくるし、雨ならなおさらだ。
なので、前日の時点では最速のラインを探すのではなく、いろんな走り方を試して、できるだけ簡単でスムーズで、安全にクリアする方法を見つけておく。

Photo やまーだ

ライン上にある根っこのチェックも重要だ。レーススピードで不用意に突っ込むとパンクの原因になるので、しっかりと位置を把握しておく。

翌日、雨は上がり、日がさすような好天。ただし気温は前日比13度と、大きく下がった。
懸念はコースコンディションの変化だったが、前日から風が強かったため、予想よりも回復。昼試走では、コースはセミウエットだがタイツに泥汚れがつかないくらいになっていた。

この路面変化に伴い、前日試走からタイヤセットを変更。フロントはAlbit、リヤにCGCXという組み合わせで走ることにした。

気温が6度程度だったので、ミレーのメッシュインナーに長袖インナーを重ね着し、その上にワンピース。寒いレースに慣れていないため、意識的に暖かい服装を選択。
グローブは薄手の防風フィルム入り。ただ、ニーウォーマーまでは不要と判断した。

レースレポート

ゼッケン1番。最前列からスタート。

飛び出したのは、このレースを最後に引退し、プロレーサーとしてのキャリアを終えるシマノレーシングの横山航太(コータプロ)。
1コーナーでホールショットを獲ったあと独走体制を築き、一度も先頭を譲ることなく優勝した。

Photo りっつ

さて、関西CXローカルライダーたちは2位争いだ。
レース序盤、コータプロに続く形で2番手についたのはコッシー。今シーズンはさらにフィジカルが向上したことが伺える。明らかに序盤の位置が良い。
しかも、信太山のコースはテクニックのあるコッシー向き。どんどん後続を引き離していく。

私は5番手で1コーナーに入ったが、そこから徐々に順位を上げて3番手に上がる。
号砲から5分半。コースをほぼ1周する長いスタートループを終えて、コントロールライン通過時にコッシーから3秒遅れ。悪くない位置だ。

この後、1周目のハイペースが緩んだコッシーを捕まえて2位浮上…というシナリオを描いていた。
だが、追いつくどころか、逆に背中が離れていく。1周目を終えると、タイムギャップは7秒に開いていた。

Photo マルコマルオ

2周目、コッシーとの差は更に広がり15秒に。やきもきしながら追走を続けていると、Vキャンバー後の階段を登った後に笛木くんが仕掛けてきた。
ここで4位に後退し、数秒離されたものの、再びギャップを詰めて、3周目の同じ場所、階段の上りで抜き返す。

スタートループ+8周回となったレースの中盤は、笛木くんに対するリードを少しずつ稼ぎながら、コッシーを追う。
3周目に最大19秒まで開いたタイムギャップが、5秒/周のペースで詰まり始めた。

Photo やまーだ

そして6周目、一気に差を詰めきり、コッシーの背後についてシングルトラック区間へ。
今回のレースの勝負どころとなっている、階段区間後の飛び乗りでパスした。

追い抜きざま、コッシーは腹筋が攣ったと言っていた。ペースダウンの原因はこれか。
この時点で4番手の笛木くんから10秒以上リードしている。「頑張れ表彰台!」と発破をかける。

コッシーには、今日のレースで3位表彰台に乗っていただかなければならない。
友人としてライバルとして、入賞できるレースではしっかりリザルトを残してほしい…というのももちろんだが、
私が2位、コッシーが3位になることで、関西CXシリーズ総合優勝を争っている笛木くんや村田さんにポイント差をつけられる。という打算もある。

Photo りっつ

ともあれ、やっと2位浮上。ここからレースを作っていこう。

コッシーとの差は5~10秒ほど。振り切ったとはいえないが、プレッシャーを掛けられるほどではない。
しかし最終周回、砂利のストレート手前の芝区間で背後に気配が。シケインでのバニーホップとコーナーワークで数秒のギャップを詰め、再び追いついてきたのだ。今日のレースで、一番肝が冷えた瞬間だった。

もしシングルトラック手前で前に出られてしまうと、テクニックで劣る私にとって大変不味い状況となる。
砂利のストレートに出たら全力でプッシュ。若干視界が暗くなるくらい追い込み、なんとか先行してシングルトラック区間へ入った。

ポジションは守ったものの、依然として気の抜けない状況だ。リスキーなコースで、僅かなリード。そこから残り半周は胃がキリキリした。
無事にノーミス・ノートラブルで最終コーナーを抜けて、後ろを振り返ってようやく安心できた。
コータプロから遅れること1分21秒、2番手でフィニッシュした。

Photo やまーだ

レースを振り返って

コータプロにはひっくり返っても勝てない(コータプロが文字通りひっくり返ったらあるいは…だが)ので、自分の実力を考慮すると、ベストと言えるリザルトだった。

ミスやトラブルでタイムを落としやすい信太山だが、走りも安定していた。
ラップタイムを見ると、2周めから8周目まで、(7周目に崩れたものの)ほぼ一定ペースを刻んでいる。

LAPタイム
05:31
17:26
27:18
37:16
47:16
57:15
67:13
77:23
87:16

課題は数値に現れないテクニックだろう。
コッシーのStravaログを覗きに行くと、細かいセクションの処理で50Wは無駄にしているようだ。
後ろについて走っていても、コーナーの進入や出口でのスムーズさが違う。それなりに長いことシクロクロスやってるけど、上手くならないなぁ…

機材に関しては、タイヤ選択も空気圧もバッチリ。ただ、レース後半はビンディングの泥づまりに苦しんだ。
1周で4箇所も降車箇所がある(シケイン、ナイアガラ、階段、Xコースのシングルトラック)ため、周回を重ねるとシューズ裏やペダルに粘土質の土がまとわりつく。しかも、ペダルの隙間に小石が詰まって、泥抜けをさらに悪化させていた。

ビンディングがハマりづらくなると、飛び乗り後のタイムロスが増える。すると次のセクションまでに速度を乗せられず、連鎖的なミスに繋がる。
タイヤのフィーリングが変わるのを嫌ってバイクは交換しなかったが、この判断が正しかったのかどうかは、後でレースを振り返っても悩むところだ。

Photo やまーだ

さて、関西CXシリーズ 11戦中5戦を終えて表彰台4回。総合ランキングは首位をキープしている。
特に今回は、3位にコッシーが入ったことで、総合ランキング2位の笛木くんや3位の村田さんとのポイント差を広げられた。

総合狙いの基本は「勝てるレースで勝つこと」と「レースを落とさないこと」だ。後半戦も調子を崩さず、ポイントを積み上げていきたい。
応援・撮影・サポートありがとうございました。

次戦は年内最後のレース。関西CX第6戦 ビワコマイアミランド。
今年のクリスマスもマイアミで過ごすことになりそうだ。