2021年最後のレースはくろんど池。
池の外周と林間を組み合わせたコースは、木の根で滑ったりパンクしやすく、バイク捌きのテクニックが試される。
パンクや転倒で大きくタイムを失ったもののトラブル頻発のサバイバルレースを耐え抜き、2位表彰台を獲得した。
12/26 関西シクロクロス第7戦 くろんど池
コースコンディション:土+ダート、ほぼドライ~セミウエット
リザルト:2位/32名(10周回 +3:24 順位6% フルラップ完走15名)
機材
Ridley X-Night Disc 1号車
- 前輪: ITLAB CX / Panaracer CGCX + Insert / 1.7bar
- 後輪: ITLAB CX / Panaracer ALBIT + Insert / 1.7bar
Ridley X-Night Disc 2号車
- 前輪: Mavic Allroad SL / Panaracer ALBIT / 1.8bar
- 後輪: Mavic Allroad SL / Panaracer CGCX / 1.8bar
※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準
動画
すくみずログ YouTubeチャンネルでレース動画を公開中
テクニカルなコースが人気の「くろんど池」
くろんど池は、奈良県生駒市と大阪府交野市の境に位置する行楽地。紅葉の名所としても有名で、学校遠足の定番スポットでもあるらしい。
シクロクロッサー的には、MTBトレイル的なシングルトラックと長い階段に苦しめられるシクロクロスの名所である。
なお漢字で書くと「黒添池」。読めない。
コースは、池の外周のフラットダートを走りつつ、ところどころで林間に分け入るようなレイアウト。
山の中に分け入る林間セクションは太い木の根が張り出していて、スリップやパンクのリスクが高い。
林間セクションに限って言えば、先週の信太山に比べてスピード域は低いものの、バイクに掛かる衝撃は大きい。
上り下りがあるうえライン取りもシビアで、丸太階段の脇や木の根の間にタイヤを通す、トレイルライド的テクニックが求められる。
一方で、池の外周沿いのフラットダートでは素早く加速し、スピードに乗せる必要がある。
高速巡航から超低速のタイトコーナーまで、速度変化が大きいコースと言える。
こういったテクニカルコースでは、レースになるとスピード域が上がり、バイクへの衝撃も増大する。
そのため、試走では問題なかった場所でパンクやチェーン落ちを喫したり、転倒することがある。
昨年はチェーン落ちが頻発し、村田さんとの優勝争いに破れて悔しい思いをした。
アクセスもよくコースも面白いくろんど池だが、駐車場が少ないという難点がある。
特に今年は、数箇所ある駐車場のひとつが工事で使用できなかったため、募集人数がかなり制限され、C1やM1はエントリー開始後数分で定員が埋まってしまった。
試走とセッティング
全日本選手権も終わりシーズンも後半ということで、来季に向けて新機材のテストを行う時期になった。
今回はチューブレスタイヤ+タイヤインサートという組み合わせを試してみる。
タイヤインサートとは、タイヤの内側に仕込んで使用する、ドーナツ状に成形された発泡フォーム。
インサートを入れることで、リム打ちやタイヤのヨレを抑えつつも、タイヤの空気圧を下げてグリップを稼ぐことができる。
また、仮にパンクした場合でもインサートがタイヤの形を保ってくれるので、ピットまで自走することが可能。できれば試したくないけど。
今回は、カーボンフックレスリムにパナレーサーのチューブレスタイヤ(フロントCGCX・リヤALBIT)とインサートを組み付けた。
シーラントもパナレーサーのシールスマートを使用。
最大のお気に入りポイントは、シーラント特有のアンモニア臭がしないこと。
深夜2時にビード上げ中、部屋に盛大に撒き散らしたが、ほんのりミントの香りが広がっただけで済んだ。
これがス○ンズなら、だいぶ不幸な思いをしていたと思う。
前日試走では、いつもどおりの1.8barで走り出すが、もうちょっと下げられる気がしたので1.7barに落とす。
コーナーでヨレる感じもないし、これでレースを走ってみることにした。
コースはほぼ例年通りのレイアウトだが、テクニカルな場所では、
- 安定して走りやすいライン
- Aラインが塞がったときに使うライン
- ここぞというときに取っておくライン
なんかを意識しつつ、Aライン、Bライン、Cライン…と、いくつかのラインを開拓しておく。
そしてAライン攻略が疎かになる…
前日は試走時間ギリギリまで走った。
さてレース当日。昼の試走時間は11時頃からなので、10時15分頃に会場へ。しかし、駐車場が満車で結構待たされる。
メイン会場から池を挟んで反対側の駐車場になってしまったが、昼試走には間に合った。
それにしても寒い。今季のレースで一番の冷え込みだと思う。
昼試走は路面コンディションのチェック。
午前のレースで路面状況は変わり、走りやすくなったり、逆に走りにくくなったりしている箇所をチェックしながら3周ほど走った。
会場をうろついたり、車の中で暖を取っているともうレース前。
ウォーミングアップは、先日購入したFeedback SportsのPortable Bike Trainerを使用。
前輪固定のローラー台の元祖ともいえる製品で、会場でよく見かけるミノウラFG220より高価だが、速度に応じて抵抗が増える仕組みのため、より高い負荷を掛けられる。
シクロクロスのスタート直後に掛かるスプリントに対応するため、ウォーミングアップでも短い高強度インターバルを行い、心拍を上げておく。
レース中の平均心拍くらいまで上げておけば安心だが、今日は寒さに凍えていたら時間がなくなり、そこまで追い込めなかった。
ウエアは、薄手の半袖インナーに長袖ワンピース、グローブは薄手だが防風素材の冬用。レッグウォーマーを着けようかと思ったが、時間がなかったので生足で走ることにした。だいたいいつも時間ギリギリ。
レースレポート
ようやくゼッケンが2番になった。なお1番は連戦連勝の副島達海。
ホームストレートの道幅が狭いため今日は1列5名のグリッドだが、2番なので大体好きなところに位置取りできる。
ちょっと時間が押して、定刻の3分遅れでスタート。時間押してるならレッグウォーマー履く時間あったじゃん…!と思っても後の祭り。
クリートキャッチは一発で決まったが、みんな意外としっかりもがいていて僅かに遅れる。
岸君、たつーみ、村田さんに次いで4番手に位置。
マキノのときも思ったけど、岸君って舗装路のスタートが速いよね。
さて、村田さんの後ろに入ってしまったのは、信太山に続くやらかし。
たつーみのスピードについていけないのか、それとも敢えてついていかないのか、どうしても車間が開く。
私としては序盤だけでも食らいついてリードを稼ぎたいので、中切れされると困る。
最初の林間セクションに入り、階段の左右を登る場所。すかさずイン側のBラインで抜きに掛かったが失敗。
池の外周路に出たときは、すでにたつーみが独走体制。
村田さんを抜いて、2番手の岸君の後ろにつく。
舗装路に出たところで岸くんをパスして2番手に上がる。
すでに数秒差がついているのでたつーみを捕まえるのは難しいが、2位パックができる前に抜け出したい。
長い階段の担ぎで差をつけ、コントロールライン通過時には後続に10秒ほどのリードを築いた。
2周目も単独で展開。堀川コータと戸谷さんが上がってきたが、15秒ほどのギャップを保っている。
追われる側、そして単独のこちらが不利な気もするが、この展開からパックになるのは勿体ない。ペースを落とさないようプッシュし続ける。
しかし3周目の途中、池のすぐそばに降りてから階段を登る場所、その先の下りで根っこに後輪をヒット。
タイヤインサートを入れているのでリム打ちに強いぜ…!というフラグをきっちり回収してパンク。
インサートのおかげでタイヤは形を保っており、パンクしたチューブラータイヤよりも随分走りやすいが、やはりスピードは乗らないしコーナーもヨレヨレ。
パンクした場所も悪く、ピットまで1km以上ある。
手負いのバイクで高速ダートやシングルトラックをこなす間にどんどん遅れ、コータと戸谷さんにも追い抜かれる。
ピットに飛び込んだときにはタイムを30~40秒失っていた。
2号車に乗り換えて仕切り直し。パンクで単独2位の座を失ったのは手痛いが、村田・岸パックには7秒ほどの猶予がある。
ここから逃げつつ、可能ならば3位パックに追いつきたい。
だが2号車も調子がいまいち。後輪の空気圧が少し足りていないのか、コーナーでヨレる。
ギャップではたまにリムを打つ感触もあるが、こちらはインサートを入れていないので、パンクするとそこで終了だ。
スローパンク気味なのかだんだん抜けてきている気もするし、とても前を追える状況ではない。
村田さんとの差も詰まりはじめ、いよいよ不味い。
5周目。ピット近くを通る時、1号車のホイールを交換してるのが見えた。ギリギリ間に合ったようでピットイン。再び1号車でコースに戻る。
後で知ったが、西沢さんのホイールだったらしい。ありがとうございます。
11sのバイクに12sカセットなのでガチャガチャ言うが、ギヤがうまく合うところを探りつつ走る。
それでもタイヤが万全なので、ラップタイムは先程より10秒以上縮んだ。
10周回のレースはすでに後半、先行する2位パックには1分近い差をあけられ、表彰台は難しい。
でも、バイクも直してもらえたし、この先も何があるかわからない。タイムアタックと思ってラップを刻んでいく。
…と、7周目の外周路でバイクを押している岩井ジャージが見えた。戸谷さん、パンクでリタイア。
これで3位浮上。ありがとう代車、ありがとう代輪、ありがとうピットスタッフ…
ピット前を通る時、岩井の人に戸谷さんパンクの旨を伝え、そして…コーナーで前輪からスリップダウン。
すぐに復帰し、身体のほうも擦過傷だけで済んだが、バイクの変速がおかしい。
シフトスイッチを押しても、ディスプレイユニットがピーピー言ってディレイラーが反応しない。と思ったら、たまに変速することもある。
触っているうちにトップ固定になってしまい、加速でもたついている間に村田・岸パックも近づいてくる。
走りながらトラブルの内容を考える。電気系統はまず壊れないだろうし、エンドを曲げたなら、ギヤはズレるが変速自体はするはず。
で、ピンときた。脱臼だ。
Di2のリヤディレイラーにはRDプロテクション機能という仕組みがあり、強い力が加わるとモーターとパンタグラフをつなぐ関節が脱臼し、内部メカの破損を防ぐようになっている。
復旧方法は、ディスプレイユニットまたはジャンクションAのボタンを5秒以上長押しすること。
ただ、オフロードレース中に長押しは難しい(振動でボタンを押す手が離れてしまう)ので、力技で復旧させる。
池の外周で村田・岸パックに追い抜かれたが、焦らず、変速ボタンを適当に押しながら、右足の踵でリヤディレイラーを軽く蹴飛ばす。
幼少の頃、自転車の二人乗り中に後輪スポークに足を巻き込まれた記憶がフラッシュバックして変な汗が出たが、何度かトライして関節が入った。
ここから巻き返し。コーナーセクションに入る前の舗装路で村田さんを、階段担ぎ手前の上りで岸くんをかわす。
階段を全力で駆け上がる。ここを先頭で下り始められれば、振り切れる自信があった。
そして9周目、順調にリードを築き、3位単独に。
…と、堀川コータがリタイアしたという実況や、コース脇からの声が聞こえる。は?池に落ちた?
状況が飲み込めないが、順位がまた繰り上がって2位浮上。後続パックとの差も十分に開いた。
後輪パンクやサブバイク不調、スリップダウンからのディレイラー機能不全など、いろいろトラブルに見舞われたが、諦めず走ってたら報われることもたまにあるんだなぁ…と思いながら、最終周回はバイクを壊さないよう丁寧に走る。
そして、残り半周というところで、唐突に電子音。
…GoProが寒さに音を上げてシャットダウンした。
今日どんだけ寒いねん…と思いながらフィニッシュ。
レースを振り返って
優勝したたつーみには3分24秒という大差をつけられているうえ、上位が脱落したことによるタナボタではあるが、2位表彰台を獲得。
2週連続の表彰台で、今年の年末年始は気分良く過ごせそうだ。
レースを投げずに走って本当によかった。
今日のレース、みんなそれぞれトラブルに悩まされ、表彰台圏内にいた面々は以下のような状況だったようだ。
- 1位 たつーみ:変速不良+空気圧ミス
- 2位 すくみず:1パンク+1スローパンク+1スリップダウン
- 3位 村田さん:ノートラブル
- 4位 岸くん:前転
- DNF 戸谷さん:3位→パンク
- DNF コータ:2位→池ポチャ
トラブルなく走りきった村田さんは流石。
コータはラップ選手を抜くときに落ちたらしい…話を聞くだけで寒そうだ。
2021年中はシーズンインから11レース、9週連続のハードな日々を乗り切った。
年が明けて、次週1/2は流石に休みで、その次、1/9は関西シクロクロス第8戦 希望が丘に参戦します。
応援・撮影・サポートありがとうございました。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。