Garmin Vector J ペダル型パワーメーター

Garmin製のペダル型パワーメーター。左右独立のパワー測定ができ、Garmin Edgeシリーズを使えばペダリングトルクの解析も可能で、ペダリングフォーム改善やバイクポジション調整に役立つ。一方、取り付けが面倒で、クリートが限定されるなど運用上不便な点が多い。

評価 ★★★☆☆

価格 50000円(中古)

長所 -Pros-

  • 左右独立でのパワー測定
  • プラットフォームオフセットとペダリングトルク分析

短所 -Cons-

  • ポッドとチェーンの干渉
  • きちんと組み付けないと精度が出ない
  • クリートがLOOK互換規格
  • ペダルは消耗品で、破損もしやすい

ペダルにパワーメーターを内蔵したGarmin Vectorシリーズは現在3代目のVector3まで発売されているが、今回レビューするのは初代Vector。

いっぱい持っているパワーメーターの測定値を比較するにあたって、ペダル位置でもパワー測定したかったので購入した。

ペダル型パワーメーターの取り付け

取り付けは少々手間がかかる。既存のペダルを取り外して、かわりにVectorを締め付けるのだけど、初代Vectorはペダル本体と計測ポッドが別体式になっているので、

  • ペダル本体
  • 計測ポッド
  • ペダルワッシャー(1~2枚)
  • クランク
  • ポッドの通信ケーブル

の順に取り付ける必要がある。

ペダルワッシャーはできるだけ少なくしたいところだけど、今回入手したVectorはコネクタ部の厚みがあるラージサイズで、アウタートップ時にコネクタとチェーンが干渉してしまう。

ペダルワッシャーを2mm入れて、軽く当たるか当たらないかという具合。ローラー用だしこれでいいか…

ラージサイズのポッドはコネクタの厚みがあり、アウタートップでチェーンとコネクタが干渉してしまう。

ペダル軸にパワーメーターを内蔵するVectorは六角レンチで取り付けできないので、15mmのペダルレンチを使う。計測ポッドはクランクを水平にしたとき、真下の位置にする。

本締めは40Nmに対応するトルクレンチと、15mm幅で薄型のクローフットレンチが必要。規定トルクは34-40Nm。

規定トルクで締まっていることに加え、ペダルとクランクのネジがうまく馴染んでいないとパワーの測定値が安定しないので、以下の手順がおすすめ。

  • 規定トルク(34-40Nm)でペダルを締め付ける
  • 何度か全力スプリントを行い、ペダルの座りを安定させる
  • トルクレンチでペダルの増締めを行う

Garmin Vectorの初期設定とキャリブレーション

キャリブレーションは、Garminのサイクルコンピュータ上から行う。

Vectorの電池を交換したり、コネクタを抜き差しすると、Vectorとペアリングされたサイクルコンピュータには以下のような表示が出る。

OKを選択すると、80~90rpmでペダリングするよう指示されるので、言われるように乗車状態でペダルを回す。これで、クランク位置が検出されるらしい。

次に、クランク長を設定する。デフォルトは172.5mmになっているので、各人のクランクに合わせて設定値を変更。

最後にゼロキャリブレーション。ペダルに触れず、バイクを静止させた状態でキャリブレーションを実行し、ゼロ点を補正する。

キャリブレーション後、僅かなトルク値が検出されるのは正常らしい。

これで初期設定は終了。

Garmin Vector独自の測定項目:サイクリングダイナミクス

Vectorはサイクリングダイナミクスというペダリング解析機能に対応しており、通常のパワー(とケイデンス)測定に加えて、以下のような項目を測定できる。

  • 左右バランス
  • パワーフェーズ
  • プラットフォームセンターオフセット

サイクリングダイナミクスは、対応するGarmin Edge上でリアルタイムに確認できるし、Garmin connectで振り返ることもできる。

左右バランス

Garmin Vectorは左右独立のパワーメーターなので、片側測定のパワーメーターに比べて精度の点で優れるうえ、左右のペダリングバランスが測定できる。

Garmin Connect上で時系列の左右バランスを確認できる

パワーフェーズ

パワーフェーズとは、クランクのどの位置でペダルを踏み込んでいるか、という情報。パイオニアのペダリングモニタでのペダリング解析と似たようなもの。

基本的には、早く踏み始め遅く踏み終わる、トルクをかけている区間が長いペダリングのほうがスムーズに駆動力を伝えられているということなんだと思う。

ペダリングのフォームやバイクのポジションで多少変化するので、ポジション調整のヒントになるかもしれない。

Garmin Connectより、パワーフェーズの解説
平均のパワーフェーズ。左右でペダリングがやや異なることがわかる。
時系列データでも確認できる。

プラットフォームセンターオフセット

プラットフォームセンターオフセットは、ペダル中心に対してどれくらいずれた位置を踏んでいるか、という情報。

計測ポッドとチェーンが干渉する関係でペダルワッシャーを多めに入れ、広がったQファクターをクリート左右位置で調整しているので、プラットフォームオフセットは左右とも大きなマイナスの値になっている。

取り付け上の都合がなければ、ペダルのQファクターやクリート位置調整の目安になるはず。

パワー測定値の比較

以下のようなZWIFTカスタムワークアウトを作成し、Garmin Vector、Quarq Riken、Saris H3で比較測定を行った。

  • ウォーミングアップ 10分~
  • パワーメーターのゼロ点キャリブレーション
  • 160W 3分 80-85rpm
  • 240W 3分80-85rpm
  • 320W 3分80-85rpm
  • レスト 1分
  • 2セット×
    • 400W 1分 80-85rpm + レスト 1分
  • 2セット×
    • 480W 30秒 100rpm~ + レスト 1分
  • 2セット×
    • 560W 20秒 100rpm~ + レスト 1分

ギヤは39x17Tに固定した。

時系列のグラフと、各パワーゾーンでの平均パワーを以下のグラフに示す。

時系列グラフ
各ゾーンでの平均パワー

480W、560WのゾーンでVectorとRikenが高い値になっているのは、Saris H3の癖が原因。

ペダル測定のVectorとクランクスパイダー測定のRikenがほぼ同じ傾向を示している。これくらいの差であれば、混ぜてトレーニングしても問題なさそう。

まとめ: ペダリング解析は魅力だが、使い勝手に難あり

Garmin Vectorは、あんまり人に勧められないというのが僕の感想。

サイクリングダイナミクス機能で、トルク解析やプラットフォームオフセット値の確認ができる点は他のパワーメーターにない利点だが、取り付けの面倒さや、落車で破損する可能性、使用に伴い損耗することを考慮すると、ちょっと手を出しづらい。

また、クリートはLOOK規格で、しかも計測ポッド干渉の都合でクリートポジションもVectorを取り付けたバイク専用になっている。

以上の点を理解した上で、パワーメーターの測定値を比較するために購入したんだけど、サイクリングダイナミクス機能がどうしても欲しい、という人でなければ購入はおすすめしない。今どき、他にも良いパワーメーターがたくさんあるので。