昨年の雪辱を晴らすべく、今年も富士ヒルに参戦。
今回は富士ヒルのメインスポンサーBIORACERのプロジェクト、DREAM TEAMの一員として参加する。
6/1 第21回 Mt.富士ヒルクライム 第3ウェーブ
天候:晴れ 10度
コースコンディション:ドライ
リザルト:1時間8分31秒 年代別(35-39)44位
機材
Cannondale SuperSix EVO Hi-MOD
- 前輪: Nepest NOVA45 / Panaracer AGILEST FAST TLR 28c / 4.9bar
- 後輪: Nepest NOVA45 / Panaracer AGILEST FAST TLR 28c / 4.9bar
※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準
BIORACER DREAM TEAMで富士ヒルにリベンジ
昨年、初めて出場したMt.富士ヒルクライム。
1万人近い参加者が集まる、日本最大級のサイクルイベント「富士ヒル」を一度体験してみようと出場したレースだったが、目標にしていたゴールドリング(完走タイム65分切り)には届かず、リベンジを誓った。

そして、シクロクロスシーズンを挟んで1年。今年も富士ヒルがやってきた。
今回は、大会のメインスポンサーであるBIORACER(ビオレーサー)が主催するプロジェクト「DREAM TEAM」の一員として参加する。
このプロジェクトは、「個々のサイクリストが自らの夢に向かって挑戦する姿を応援し、その過程を共有することで、サイクリングの魅力を広める」ことを目的としており、2025年で5回目の開催となる。
メンバーは応募者の中からBIORACERによって選考される。
昨年の大会時、富士ヒル特化型YouTuberことなすぴー氏がメンバーとして参加している姿に刺激を受け、応募を決意。幸運にも選考を通過し、チームの一員として富士ヒルに挑むこととなった。
メンバーは全国バラバラの場所にいるので、普段はDiscord上でDREAM TEAMのメンバーやOBと交流したり、ZWIFTのMEET UPでオンライン練習会を行ったりした。
4月末には顔合わせを兼ねた富士ヒル試走会にも参加し、大会への準備を進めていった。
ヒルクライム対策は…
さて、目標があるからには、きっちり対策を立ててトレーニングしなければいけないのだが、あまり練習期間を取れない事情がある。
2月中旬まではシクロクロスが毎週あって、身体はボロボロ。3月頭にシーズンが終わっても、3月下旬~4月上旬はほぼ強制的にレストとなる。
気持ちと身体をリセットして、本格的にヒルクライムに向けた練習を始めたのは4月下旬になってからだった。
週末は六甲山に何度か通って615六甲朝練に混ぜてもらいつつ、平日は地元の峠を登る。
今からフィジカルは上げられないので、ヒルクライムの踏み方、ペーシングのコツを身体に覚えさせる感じ。
最終的にFTPは、上がっていないけど下がってもいない、昨年同等の水準まで持っていけた。
フィジカル以外でタイムを削る
実走のペーシング
富士ヒルの距離は計測区間で24km、獲得標高は1255m。普段なかなか経験することのない1000アップ以上のヒルクライムだ。

こうした長丁場で重要になってくるのがペーシングだ。FTPを超えて無酸素運動が活発になると、急速に疲労が蓄積される。
溜まった疲労は回復させなければならないが、ヒルクライムレースで脚を緩めると大幅なタイムロスになる。つまり「踏みすぎ」は命取りだ。

したがって、FTPスレスレで踏み続ける必要があるが、ローラー台でのトレーニングと違い、実走には様々な外的要素がある。
勾配の変化や周囲の選手のペース、他には路面状況や風向きによっては、一時的にFTPを上回っても踏むべきシチュエーションは存在する。
高地効果
また、富士ヒルは高い標高で競技が行われ、スタート地点が標高1050m、ゴール地点は2305mに達する。
空気が薄い状況では有酸素運動能力は低下する。
スタート時で有酸素運動能力≒FTPは平時の6%減、レースが進行すると徐々にパフォーマンスは下がり、ゴール地点では15%減となってしまうという。
この下がり幅には±5%程度の個人差があるらしいが、「普段のパワーはオーバーペース」「一定ペースはオーバーペース」を意識しないと一巻の終わりだ。
計測開始地点の標高は1051m。すでにこの時点で有酸素運動能力は低地に比べて6%低下しています。そこから一合目(1405m)では8%、二合目(1596m)で9%…と順調にパフォーマンスは低下し、ゴール地点(2305m)ではなんと15%低下します。
なぜベストを尽くせないのか ヒルクライムと高地効果の不都合な関係
ドラフティング
富士ヒルは勾配が緩く、ゴールド~シルバー上位の選手は平均時速が20km/hを超える。
そのため、他の選手の後ろにつき、ドラフティングを利用することで脚を温存できる。
数名の選手でトレインを組み、協調して先頭交代しつつ走ることで、単独よりずっと速いタイムを記録できるというわけ。
(順位を争う選抜カテゴリとは異なり)一般カテゴリの本質は「タイムアタック」。複数名で力を合わせることには何のデメリットもない。
富士ヒルにおいて、実力が拮抗した参加者は敵ではなく仲間だ(選抜除く)。
史上最強のペース配分表
タイムを出すためにはペーシングが最重要。そこで今年も「富士ヒル特化型YouTuber」ことなすぴー氏が作成したペース配分表のお世話になる。
これは、目標タイムに対して、1kmごと、5kmごと、◯合目ごとの区間タイムを算出できるもの。
距離や獲得標高で単純計算したペース配分表とは異なり、勾配の変化による加減速までを考慮してシミュレーションされており、精度の高さがウリだ。
目標タイムを65分に設定し、◯合目の想定通過タイムをステムに貼り付けた。
本番のレース中は、ゴールド達成ペースからの余裕or遅れ、体感的な辛さ、トレインの状況などから、どう動くか判断する。
機材の軽量化
バイクのほうはだいぶ進化した。
バイクは昨年と同じCannondale SuperSix EVO Hi-MODだが、ホイールをNepestのカーボンスポークホイールNOVA45に変更。
さらに、ELILEE X310カーボンクランクやYOELEOの超軽量サドルなどを組み付けた。
直前にPanaracer AGILEST FAST TLRに履き替える。ここは重量よりも転がり抵抗を重視。

サイクルコンピューターとボトルを除いて、重量は実測6.935kg
持って軽いし走っても軽い。機材で言い訳はできない。

また、ウエアもBIORACERから支給されたEPIC フルブリーズ ロードレースエアロスーツを着用。
通気性と伸縮性に優れており「まるで全裸」と錯覚するほどの抜群の着心地だ。
なお177cm/68kgでサイズはS。海外サイズのため大きめなことに加え、伸縮性があるので小さめになる。

レーススタートまで
2024年は大阪の自宅から会場まで一人で地獄のロングドライブだったが、今年はクルマを乗り換えたので3名での乗り合い遠征。
土曜日早朝に出発、近くに住むやまーだ氏を拾い、途中でなすぴー氏をピックアップして、ハイオクをガンガン燃やしながら富士山へ向かう。

会場付近はあいにくの雨だったが、EXPO会場には人も多く、展示・物販ブースはどこも盛況だった。

ステージでのトークイベントも終えて、物販ブースを一通りチェックしたら、いよいよレースに向けた準備だ。

風呂で移動疲れを癒やして、吉田うどんで腹を膨らませたら、宿へ。
すっかり定宿になった「やべー宿」にチェックイン。
友達の実家のような、居心地の良さと悪さを感じつつ、9時過ぎに就寝した。

翌日。バチクソ熟睡して3時に起床。いつもならまだ起きている時間だ。
朝食を食べて、4時に宿を出発。駐車場についたらバイクを降ろして、ローラーをセットアップ。
アップして、身支度を整えて、5時45分頃に招集場所へ。

参加者が1万人近い富士ヒルでは、スタートが7グループに分けられている。今回は第3スタート。選抜を除く一般カテゴリでは一番早い出走グループだ。各グループでも200名ほどの集団に分けて数分間隔で出走するため、なるべく前の方に並び、6時40分のスタートを待つ。

レースレポート
いよいよスタート。615六甲朝練、カズさん他、ゴールドを狙うメンバーで集団を作った。
スタートから1.3kmほどは談笑しつつ隊列を整え、計測ラインを越えるタイミングで踏み始める。

序盤は勾配のきつい区間が続くため、踏みすぎないようにペースを抑える。
スタートから5.5km、1合目を通過したタイミングで目標タイムから50秒の遅れ。
脚には余裕を感じるが、ここから抜け出すほど遅くもない程度。もう少しトレインに留まることにする。

ローテーションを回しながら、2合目を目標1分遅れで通過。
1→2合目はほぼオンタイムとはいえ、このままペースが上がらなければゴールド達成は危うい。
3合目でもペースが上がらないようであれば抜け出す判断が必要かもしれない。
2~3合目の中間地点あたりで、元気な選手が上がって前を引き始める。一緒にローテーションを回しつつ、少しペースが上がった気がしたが、3合目でも1分遅れ。
じゃあ前に出るか?と思ったが、この後、ついていくのがだんだんキツくなってきた。
そして、スタートから15km地点でついにトレインから脱落。

脚も気持ちもいっぱいいっぱいでペースがガクンと落ちるが、やまーだからジェルを貰ったことを思い出した。
吸ってしばらくしたら元気になってきたので、再び踏み始める。

山岳スプリットエリアの勾配に苦しみつつも、周囲の選手と即席トレインを組んで進む。
4合目を過ぎた緩斜面区間、2つ目のトンネルに入るくらいのタイミングで65分を回ってしまったがペースを緩めず、最後の上りでは出し切ってフィニッシュ。

レースを振り返って
1時間8分31秒。力は出し切ったものの、昨年より1分半ほど遅い結果となってしまった。
今年は風が悪かったようで、周囲では、昨年よりタイムが落ちた選手が多かった。
特に、既にパフォーマンスが仕上がった選手ほどその傾向が強かったように思う。
とはいえ、昨年より大幅にタイムを伸ばした選手も、ゴールドリングを獲得した選手も大勢いる。
ゴールドにふさわしい実力が無かったことは受け止めなければならない。

ここで撤退するのは後味が悪すぎるので、たぶん来年もスバルラインを登るんだと思う。
うーん、やめられない。
