パワートレーニングの基礎 筋肉へのエネルギー供給 ~有酸素運動と無酸素運動~

ZWIFTのワークアウトの強度は、FTPを基準としたパワーゾーンで管理されている。
ここでは、パワーゾーンとも深く関係している、運動強度に応じた筋肉へのエネルギー供給機構について解説する。

有酸素運動・無酸素運動での筋肉へのエネルギー供給

筋トレやダイエット関連の書籍やウェブサイトで、無酸素運動と有酸素運動、速筋と遅筋といった単語は耳にしたことがあると思う。

筋肉には、筋収縮が速く瞬発力がある速筋持久力に優れた遅筋があるが、どちらもATPという物質をエネルギーにして収縮する。
ATPは筋肉中に殆ど貯蔵できないため、運動中はATPを合成して筋肉に供給し続けなければならない。
速筋を使う無酸素運動ではリン酸系または解糖系、遅筋を使う有酸素運動では有酸素系というメカニズムでATPを合成している。

  • 無酸素運動…速筋
    1. リン酸系…リン酸を分解してエネルギーとする。(10秒以内のスプリント)
    2. 解糖系…グリコーゲンを分解してエネルギーとする。このとき乳酸を生成。(1分程度の運動)
  • 有酸素運動…遅筋
    • 有酸素系…糖、脂肪、そして乳酸を原料にエネルギーを得る。(長時間継続できる)

参考:ATPを産生するメカニズム

リン酸系

リン酸系はATP-PCr系とも言われ、筋肉中のクレアチンリン酸を分解してATPを合成する。最大限の運動を維持できるのは10秒程度だが、30秒の休憩で70%に、3~5分でほぼ完全に回復するという。
自転車競技では短いアタックやスプリントをする時に働く。

解糖系

解糖系ではグリコーゲンを分解し、ATPと乳酸を生成する。急激に筋肉が疲労するため、持続時間は30秒~1分程度。
副産物である乳酸はかつて疲労物質と言われていたが、それ自身は疲労物質ではない(乳酸濃度から筋肉疲労の具合がわかるので、指標としては有効)。
乳酸は、有酸素運動のエネルギー源として再利用される。

フルマラソンやロードレースなど、長時間の持久性運動で体内のグリコーゲンが枯渇した場合は、運動後10時間で60%程度回復するが、完全回復には48時間かかるとされる。

有酸素系

有酸素系では、脂肪を分解して、細胞のミトコンドリア内でATPを合成する。反応が複雑でエネルギー供給が遅いが、長時間にわたって大量のエネルギーを供給できるため、もっぱら持久性の運動で活躍する。
反応には酸素が必要なため、最大酸素摂取量(VO2MAX)が有酸素運動能力を決定する。

低強度であっても解糖系は働いているが、生成された乳酸は有酸素系によって分解されている。
有酸素運動能力を高めることで乳酸の処理能力も向上するため、高強度インターバル耐性も向上する。

エネルギー供給機構とZWIFTパワーゾーンの対応

ZWIFTのパワーゾーンとエネルギー供給機構を対応させると、下表のようになる。
パワーゾーンとエネルギー供給機構の対応を参考にワークアウトを選ぶことで、自分の伸ばしたい能力を伸ばすことができる。

パワーゾーン内容FTP比主なエネルギー供給機構備考
L1 (Z1)アクティブリカバリー~59%有酸素系血行を促進し回復
L2 (Z2)エンデュランス60~75%有酸素系
L3 (Z3)テンポ76~89%有酸素系乳酸の生成速度<分解速度
L4 (Z4)LT:乳酸閾値90~104%有酸素系乳酸系乳酸の生成速度≒分解速度
L5 (Z5)VO2MAX105~118%有酸素系乳酸系有酸素系がフル回転
乳酸の生成速度>分解速度
L6 (Z6)AC:無酸素運動能力119%~乳酸系リン酸系大量に乳酸生成
無酸素運動能力の限界

参考書籍

ZWIFTとパワートレーニング

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