グラベルレーサーとしてフルモデルチェンジ キャニオン 新型グレイル [Canyon Grail]

  • URLをコピーしました!

2023年の夏頃から、レース現場で見かけられるようになったキャニオンの「新型グラベルバイク」。
ガーミンアンバウンドグラベル 女子200マイル優勝、そして、2023年のグラベル世界選手権 女子エリートでも優勝と、デビュー前ながら実績を積み上げていた。

そして、ついにというかようやくというか、2023年10月12日に新型「グレイル」として発表。同時に販売が開始された。

目次

グラベルレーサーとして開発

キャニオンは既に、「グレイル」「グリズル」という2種類のグラベルバイクをラインナップしている。

あわせて読みたい
キャニオン グラベルライド試乗会 「グレイル」「グリズル」をじっくり味わう30km キャニオンジャパン主催の「「グリズル」「グレイル」グラベルじっくり試乗会 in 京都(2022/2/23開催)」に参加。キャニオンサービスセンターを起点とした約30kmのライ...

キャニオン初のグラベルバイクであるグレイルは、オンロードも、オフロードも走れるバイクというコンセプトの製品。
グラベルバイク黎明期に登場したこのバイク。最大42cのタイヤに対応するもののジオメトリはエンデュランスロードを基本としており、ヘッド角が立っている。
そのため、本格的なオフロード走行ではステアリングがやや落ち着かない。

また、快適性を高めるために採用された特徴的な2階建てハンドル「ホバーバー」は重たく、空気抵抗も大きいという欠点があった。

あわせて読みたい
グラベルロードで走る夏 キャニオン グレイル購入 先日サイクルモードライド大阪で「うっかり散財してしまった」CANYON GRAIL CF SLがやってきた。 https://skmzlog.com/cycle-mode-osaka-2021/ ついにグラベルロードを...

もう1台のグラベルバイク、グリズルは、よりハードなグラベルライドを想定したキャラクターになっている。
スムーズなグラベルだけでなく、荒れた路面に踏み込むアドベンチャーライド、トレイルライドまでカバーできるスペックで、各所にストレージのための台座を備え、最大50cのワイドタイヤに対応。
モデルによっては、サスペンションフォークやドロッパーシートポストを搭載するものもある。

ジオメトリも安定性重視で、MTBの領域にまで片足を突っ込んだこのバイクは、ポジションがアップライトで、ハンドルの落差を取りづらい

このように、グラベルレースが盛んになってきた昨今にあって、キャニオンにはグラベルレースに適したグラベルバイクが存在しない
実際、2022年のグラベル世界選手権でマチュー・ファンデルプールは軽量ロードバイクであるアルティメットに乗って出走している。

こういった状況を受けて、グラベルレーサーとして開発されたのが、新型グレイルだ。

名前こそグレイルだが実質は別物といえるバイク。ターゲットをグラベルレースに絞り、レースを有利に進められる様々な工夫が凝らされている。

レースバイクであるCFグレイルは、最上位のCFR、そしてCF SLXCF SLという3グレードで展開される。

フレーム設計

グラベルレーサーであるグレイルは、スピードと軽さが追求されている。

昨今のグラベルロードはたいてい45cタイヤに対応しているが、対応タイヤ幅を広くすると各部のクリアランス確保、特にBB周りの設計が難しくなり、チェーンステーを極端に薄くしたり、ドロップさせる必要が出てくる。
これらは重量増や走行性能の悪化につながるため、グラベルレース専用の新型グレイルは、あえて対応タイヤ幅を42cまでとしている。

フレームのチュービングはアルティメットにならったカムテール形状で、派手なエアロ形状ではないものの、空力が意識されている。
シートポストも旧グレイルのリーフスプリング式のものではなく、軽くエアロなD型断面のもの。ただし、カーボンの積層を工夫することで快適性を確保しているという。

バイクの性格を決定するジオメトリも一新された。ヘッドアングルは初代グレイルより1度寝かされた71.5度
さらに、トップチューブが長くステムが短い、現代MTBのようなアウトフロントジオメトリを採用することでホイールベースを延長。オフロードでの安定感を高めている。

専用ハンドル Double Dropバー

新型グレイルには新開発のステム一体型ハンドル「Double Dropバー」が採用される。

グラベルレースのために開発されたこのハンドルは、上ハンがなで肩で、5度のバックスイープも設けられており、さらに下ハン部分は大きくフレア(16度)している。
また、前述したアウトフロントジオメトリのためステム長は60~80mmと短い。ハンドル幅はサイズにより420~460mmだ。

なお、よりレースに適したCP0047 Gravel Cockpit PROが別途用意されており、こちらは幅400mm、ドロップも15mm増やされている。

しかしこのハンドル最大の特徴は「オーバーサイズでワイヤー外装」ということ。
なんでも専用設計にしたがるキャニオンとしては異例とも言える設計だ。

理由はヘッドセットのサイズにある。
新型グレイルのフォークコラムは1-1/8。すなわち従来のオーバーサイズ規格が採用されている。これは、敢えて剛性を落とすことで、振動吸収性を高めるため。

理由はともかく、ユーザーとしては歓迎できるポイントだ。汎用ステム・ハンドルを使えるため、整備性が良いしポジションの自由度も上がる。

CFRとCF SLXに採用されるCP0039ハンドルには、上面に「ギヤグルーブ」という台座が設けられる。

ここにはサイクルコンピュータ台座を付けられるほか、専用のDHバー(エアロバー)をマウントすることも可能。
長距離グラベルレースでしばしば見られる、DHバーを取り付けたスタイルにも対応している。

フェンダーにも対応。なお装着状態で42cタイヤを使用可能

レースのためのストレージ

新型グレイルはレースバイクなので、ストレージは最小限だ。しかし、グラベルレース用に必要なアイテムをスマートに持ち運ぶための工夫が凝らされている。

ダウンチューブ上面のフタを開くと、裏側には専用のマルチツールとTOPEAK製ポンプが固定されている。(CF SLX以上)

さらに、ダウンチューブ内の取っ手を引っ張ると、細長い袋が引きずり出される。
この中にはTPUチューブ、CO2インフレーター、タイヤレバーを収納できる。

このように、通常はサドルバッグやジャージのバックポケットに入れていたアイテムを、フレーム内に収めることができるのだ。

また、新型グレイルには専用のフレームバッグ「LOAD FidLockクイックローダー」が用意される。

いちいち名前をつけるところがキャニオンっぽい。

このバッグ、マグネット固定となっており、ワンタッチで着脱できる。

ガーミンアンバウンドグラベルのような(200マイル=320km)長距離のグラベルレースでは、エイドで補給食を補充することが必須だ。
時間に追われながらバッグに食料を詰め込む、そんなシチュエーションで、新型グレイルならバッグごと交換してすぐに出発できるというわけだ。

また、このバッグには空力改善効果もあり、1.5Wほどのベネフィットがあるという。

この多機能っぷり、もうお腹いっぱいだ。

製品ラインナップ

レースバイクとして開発された新型グレイルは以下3グレードで展開。10月12日より販売される。

  • CFR
  • CF SLX
  • CF SL
最上位のCFR LTD(70台限定)

価格は以下の通り

モデルコンポ重量価格(円)
CF SL 7GRX 610 2x12s9.22kg339,000
CF SL 7 AXSSRAM Rival AXS XPLR9.82kg439,000
CF SL 8GRX 820 1x12s8.74kg379,000
CF SLX 8 Di2GRX Di2 2x11s8.50kg629,000
CF SLX 8 AXSForce AXS XPLR 1x12s8.14kg669,000
CFR Di2GRX Di2 2x11s8.30kg879,000
CFR AXSRed AXS XPLR 1x12s8.04kg1,009,000
CFR LTDRed AXS XPLR 1x12s8.04kg1,260,000
新型グレイル 価格表

CF SLグレードはいろいろオミットされてるので個人的に買うならCF SLX以上。コンポと価格を見比べると、CF SLX 8 AXSあたりが狙い目だろうか…CFRのForce AXSモデルが欲しい

なお、旧グレイルも当面の間併売されるらしい。

つまりキャニオンのグラベルバイクラインナップは

  • 初代グレイル…グラベルツーリング
  • グリズル…アドベンチャー
  • 新型グレイル…グラベルレース

の3本建てとなる。

…車名、変えても良かったんじゃなかろうか。

動画

  • URLをコピーしました!
目次