OGK KABUTO VOLZZA
最上位モデルIZANAGIのフィット感を備えた普及モデル。充実した調整機構を持ち頭にフィットする。
限られたコストの中で一定のベンチレーション性能も確保されているが、重量は若干重い。
評価 ★★★★☆
購入価格 15000円
長所 -Pros-
- 調整機構が充実しており、頭にフィットする
短所 -Cons-
- 重量がやや重い
最近はAERO-R1やFLAIRを使っていたが、またまたOGKのヘルメットを購入した。
上位モデルのフィット感を備えた普及モデル VOLZZA(ヴォルツァ)
日本国内の公式なレースであればJCF(日本自転車競技連盟)公認のヘルメットを着用する必要がある。
JCFのステッカーが貼られたヘルメットは、製品価格によらず一定の安全基準を満たしているが、
高価なヘルメットは快適―すなわち軽く、涼しく、フィット感にも優れる。
VOLZZA(ヴォルツァ)は、上位モデルIZANAGIのフィット感を限られたコストで実現した普及モデル。
最大の目玉はBOAダイヤルの採用で、従来のダイヤル式アジャスターに比べ締め付け具合を細かく調整できる。
ヘッドレストの調整機構も充実していて、個々人で違う頭の形にフィットするようになっている。
は通常のインナーパッドに加え、ベンチレーションから虫が侵入しにくいA.I.ネットも付属する。
A.I.ネットはベンチレーションから髪の毛が飛び出さないというメリットもある。
他に、消臭繊維MOFFが採用されたあご紐は撥水機能も備えていたりと、快適性に関わる部分はIZANAGIと同じスペックになっている。
高いフィット感を実現するBOAダイヤルや充実した調整機構
サイズはS/M(55-58cm)とL/LX(59-61cm)の2種類。
私の頭は周長57cm。METやGIROのヘルメットはLサイズでないと側頭部が痛いのだが、ここ数年のOGKはサイズが大きめになっており、R1やFLAIRと同様、S/Mサイズがちょうどだった。
海外製品は幅を合わせると前後がぶかぶかになることもあるが、OGKは頭の丸いアジア人によくフィットする。
セミフローティング構造
VOLZZA最大の特徴であるフィット感。
本品は帽体から独立させたバンドで頭部を締め付けるセミフローティング構造で、個々人で異なる頭の形状に対して均一にフィットするように設計されている。
裏側から見ると、おでこ側の樹脂パーツとヘッドレストがBOAのワイヤーで繋がっている様子がわかる。
フィット感を高めるための調整機構も充実している。
- 締め付け…BOAダイヤル(KBF-2アジャスター)
- ヘッドレストの幅…2段階
- ヘッドレストの高さ…8段階
BOAダイヤル
締め具合はBOAダイヤルで調整できる。OGKがKBF-2と呼ぶこのアジャスターは、従来のダイヤル式アジャスターに比べてノッチが細かい。
ダイヤルは時計回りに回すと締まり、反時計回りに回すと緩む。なお、シューズのようにダイヤルを引っ張っても全開放されない構造。
BOAダイヤルの魅力はその機能性に加えて充実した保証体制。使用状況を問わずヘルメットの寿命までBOA社の保証が受けられるはず。
なお、頭の大きさにあわせて、BOAのワイヤーを掛ける位置を2種類から選択できる。
ヘッドレストの幅
ヘッドレストにはパッドの類は無いが、樹脂パーツの柔軟性が高く、後頭部によくフィットする。
さらに、BOAダイヤル基部の樹脂パーツをずらすことでヘッドレストの幅を調整できるようになっている。
私は幅を広く設定したほうが着用感が良かったが、頭が小さい人は狭いほうが良いのかも。
ヘッドレストの高さ
ヘッドレストは頭頂部の台座から伸びており、取り付け穴を替えることで高さを8段階で調整できる。
ヘッドレストと穴の方向に引っ張れば抜けて、好みの位置にパチっとはめる。
後頭部側の穴につけると被りが深く、逆に、進行方向側の穴につけるほど被りが浅くなる。
このように、調整機構が充実しており、頭の形状に合うようになっている。
ヘルメット購入時は時間をかけて調整するほうだが、ヘッドレストの高さをストラップの長さを少し触っただけで満足行くフィット感が得られた。
ポニテ対応
ヘッドレストの位置を最も下げると、帽体とアジャスターの間にはポニーテールが通るスペースができ、女性サイクリストにも優しい。
風で髪の毛バッサバサになるからお勧めしないけど。
ポニーテールの男性サイクリストは…帰って。
なお駐輪時はこの部分をブラケットのツノに突っ込んでおくと安定する。
なるべく開口部を確保したベンチレーション
走行風を取り込むベンチレーションホールを多くするほど涼しくなる、少ない部材で強度を確保するためコストがかかる。
そのため、ベンチレーションを重視したヘルメットは高価になるし、逆に安いヘルメットは暑い。
フラッグシップモデルのIZANAGIは、プレート状の構造材を使うことで、大きな開口部を実現しつつ強度を確保している。
VOLZZAはコストを抑えるためIZANAGIのような構造にはなっていないが、小さめのベンチレーションをなるべく多く設けるとともに、開口部を斜めにすることで風が通りやすいように工夫されている。
低価格帯ヘルメットでは省略されがちな後頭部のベンチレーションも充実。
また、後頭部には再帰反射テープが貼られて夜間の被視認性が高まっている。
ただ、実走した際の涼しさは、悪くはないが取り立てて褒めるほどでもない。
そりゃ風通よりも空力を重視したAERO-R1と比べるとずっと涼しいが、FLAIRや、その前に使っていたOGKのSTEAIR(ステアー)と同等に感じた。
重量は価格なり
ヘルメットの重量は、快適性に大きく影響するが、ヘルメットとしての頭部保護性能を満たしながら軽量化するのは難しく、当然製品価格に跳ね返ってくる。
また、穴が多いほうが軽そうなイメージに反して、ベンチレーションホールが多いほど、強度を補うために重たくなる。
実例を挙げると、開口部が少ないAERO-R1が205g(S/Mサイズ)であるのに対して、ベンチレーションを追加したAERO-V1は220g(S/Mサイズ)と、1割ほど重たくなっている。
VOLZZAはベンチレーション重視の設計に加えて、コストも制限されているため、軽量化はあまり重視していないようだ。
S/Mサイズの参考重量は235g。実測重量は若干重く、244gだった。
サイズ | 重量 |
S/M(55-58cm) | 公称 235g (実測 244g) |
L/XL(59-61cm) | 公称 250g |
ヘルメットとしての保護性能を満たしながら軽量化するにはコストがかかるため、
上位モデルに比べるとやや重いのは仕方ないところ。
ただ、OGKのラインナップ中で最軽量のFLAIRは176g。比べると頭の重さが全然違う。
FLAIRは実売価格で3000円ほど高いが、フィット感が問題ないなら(FLAIRは軽量化のため、あご紐の調整機構がオミットされている)、こちらのほうが満足できると思う。
空力性能は平凡?
空気抵抗については、OGKの商品紹介でも特に触れられていない。
ヘルメットの空気抵抗は、ざっくりベンチレーションの数と前方投影面積で決まるはず。
最小限のベンチレーションと、ちょっと不安になる薄さのAERO-R1に比べると、空気抵抗は通常のロード用ヘルメットと大差なさそうに思える。
まとめ:中価格帯の定番になりうるコストパフォーマンスモデル
「この価格帯にしては」と前置きをしなくても、フィット感の良さが群を抜いているヘルメット。
最上位モデルと同等の調整機構を持ち、被りの深さや締めつけ具合を納得行くまで調整できる。
ベンチレーションも同価格帯のヘルメットの中では優れている。
重量こそ若干重いがコストパフォーマンスは高く、支払った金額以上に満足できる製品だった。
まぁ、でも、本音を言うと私はFLAIRのほうが好きかなぁ…