【レビュー】アピデュラ ツールパック ~薄く丈夫な防水生地を採用 シンプルで軽量な小型サドルバッグ~

APIDURA EXPEDITION TOOL PACK

バイクパッキング用バッグをラインナップするアピデュラの小型サドルバッグ。
予備チューブや工具を収納できる容量0.5Lのバッグは、同社の防水生地を溶着して作られており、シンプルな造りも相まって重量40gと軽量。

本品は、APIDURA製品の輸入販売を行うオルタナティブバイシクルズ様より提供いただきました。

長所 -Pros-

  • 高品質な素材とよく考えられた造り
  • 薄い防水生地で、濡れても保水しない

短所 -Cons-

  • 防水生地だが、シャワーで下から水を掛けるとフラップの隙間から浸水する
  • 中身を取り出す際はストラップを緩める必要があり、頻繁な出し入れには向かない

アピデュラの小型サドルバッグ

アピデュラは大型サドルバッグやフレームバッグ等を専門とするイギリスのメーカー。
前後キャリア無しに、軽量なバッグを直接バイクに取り付けるバイクパッキングスタイルを定着させたパイオニアと言っても良い。

ツールパックは、そんなアピデュラのラインナップ中では最小クラスのサドルバッグ。
容量は0.5Lで、携帯工具やチューブなど、ライドに必要な最低限の装備を収めるのにぴったりのサイズ。

ツールパックの寸法(APIDURA

0.5L程度のサドルバッグは多くのメーカーが販売しているが、アピデュラ製品は他社に比べて非常にシンプルな造りとなっている。

防水生地を袋状に溶着したバッグは、メッセンジャーバッグのようにベルクロのフラップで閉じる構造
ジッパーを使わないため砂の噛み込みに強く、隙間から水も染み込みにくい。

最初は「おいおいマジックテープかよ」と思ったが、シンプル故に軽量で、信頼性も高い。

サドルへの固定は、ストラップ1本でサドルレールに巻きつける方式。
後部には六角形の反射材と、テールライト用のループを備える。

シンプルな構造

薄く丈夫な防水素材

アピデュラ エクスペディションシリーズの魅力は、使用されている素材にある。

バッグに使用されているラミネート加工の3レイヤー防水生地はアピデュラ専用に開発されたもので、薄くハリがあり、擦り傷や引き裂きに対する強度にも優れる
生地同士は溶着されているので縫い目から水が染み込むことはない。
また、サドルやシートピラーと接触する部分はコーティングされ、強度と摩擦力を高めている。

サドルレールに固定するためのストラップは薄手だがハイパロンゴムで補強されており、摩耗しにくくなっている。

高品質な素材を使用

フラップやストラップを固定するベルクロはフックが細かく、厚みが出にくい。細かい点だが、こういうところがバッグ全体の品質を高めている。
アピデュラのバッグは、製品を見て、手にとって、そして使ってみて「あ、ここ安っぽいな」と思うところがない。実際安くないけど。

メンテナンスに関して、バッグが汚れたときは薄めた石鹸水で手洗いし、自然乾燥するように推奨されている。特に、ハイパロンゴムは有機溶剤に弱いため、パーツクリーナー等が付着しないように注意

容量の目安

表記されている容量が同じであっても、サドルバッグによって収納できる容量には差がある
例えば、ハードタイプのバッグはどうしてもデッドスペースができるので、実容量は少なくなる。

アピデュラのツールパックは、全体的に直方体に近い形状で開口部も大きいため、見た目より多くの物を収納できる。

このバッグはキャニオンのグラベルロード グレイルで使用している。

以上の物を収納してギチギチという感じ。チューブが容量の大半を占めているので、25c前後のロードチューブならだいぶ余裕ができると思う。

人里離れたグラベルを走るには最低限の構成だが、パンクとチェーン切れに対応できれば立ち往生はしないだろう。
ロードサービス付きの自転車保険(au損保)に入ってるので、道路に辿り着けたらなんとか家に帰れる。

ベルクロ固定のフラップ

バッグの口はメッセンジャーバッグのようなフラップになっており、ベルクロで固定する方式。
ジッパーに比べて砂の噛み込みや水の染み込みに強く、軽量と謳われているが、
正直、勝手に開いたり隙間から中身がこぼれ落ちないのか不安な構造。

実際にバイクに取り付けてみると、フラップをストラップで押さえる構造なので乗車中に開いてくることはなさそう。

ただし、そのまま閉じるとフラップの折り返し部に隙間ができる。余った部分を内側に畳み込むと隙間が減らせ、見た目の収まりは良くなるが、どっちみち完全に隙間を塞ぐことはできない
タイヤから跳ね上げる水の大部分は防御できるが、雨の中を長時間走り続けたらバッグ内が濡れる可能性があるので、濡れて困るものはビニール袋に入れておくほうが良い。

シャワーで水をかけたところ、僅かではあるがフラップの隙間から水が侵入した

では防水生地の採用が無意味か?というと、生地自体が保水しないため重くなりにくいというメリットはある。
ただ、雨水の侵入を完全に防げないのであれば、中に水が溜まらないように水抜き穴が欲しかった

ストラップでサドルに固定

容量0.5Lクラスのサドルバッグはサドルレールとシートピラーの2点にベルクロを巻くするものも多いが、
ツールパックは、1本のストラップでサドルレールとバッグを束ねるように固定する。

サドルレールやシートピラーの形状によってはガタつきやすいので、バッグがしっかり固定できる位置を探る必要がある。

ストラップ1本でバッグを固定

うまく位置が決まればバッグはサドル下に収まり、乗車中に揺れたりガチャガチャ鳴ることはない。
ただ、中身はストラップでバッグごと締め付けられているので、収納したツールを取り出すときは一旦バッグを外す必要がある。
頻繁に出し入れする物の収納には向かない

サドル下に隠れるサイズ

まとめ:軽量コンパクトで、高品質なサドルバッグ

デザインも主張しすぎないのでバイクに合わせやすいし、ロードバイク、MTB、グラベルロード、どんなバイクにも使えるサドルバッグ。

アピデュラのバッグ類は(後発の類似品に比べて)やや高価な印象があるものの、品質の良い材料を使っているし、細かい部分までよく考えられていて使い勝手が良い
ベルクロの位置、ジッパーの向きに至るまで、十分にテストされていることが伺える。

ツールパックについてはベルクロのフラップが不安だったが、ストラップで押さえる造りになっているため不意に開いたり、中身がこぼれることもなかった
固定ストラップはバッグごと中身を締め付けるので、きちんと取り付けたらツール類が不快なガタツキ音を生じることもない。

シンプルなフラップゆえ防水性があと一歩という点と、中身を頻繁に出し入れしにくい点はマイナスだが、
軽量でサドル下にコンパクトに収まるツールパックには「できればバイクにつけたくない余計な付加物」のイメージが無い。

手を出しにくい価格ではあるが、それに見合った満足度は得られると思う。

同シリーズのフレームバッグも取り付けると統一感がある

APIDURA ツールパック(Altanative bicycles)