Insta360 GO2 64GB
360度カメラブランドInsta360が販売する超小型・超軽量アクションカメラ。
充電ケースに入れた状態で難なくポケットに入るサイズだが、1440Pの高画質で撮影できて手ブレ補正も優秀。
カメラ背面はマグネットが内蔵され、付属のマウントでPOV撮影、車載動画撮影、定点撮影が行える。本体の小ささも相まって、工夫次第でいろんな映像が撮影できる。
評価 ★★★★☆
購入価格 38000円
長所 -Pros-
- 小型軽量で、あらゆる場所にマウントできる
- 高画質と優秀な手ブレ補正
- 簡単に編集し、その場でシェアできる
短所 -Cons-
- 本体のみだとバッテリーライフが短い(20分)
- マイクが風に弱い
ライド動画を撮るならアクションカメラ
サイクリングやツーリングで走りに行った時、スマートフォンのカメラで写真を撮る人は多いと思う。
最近のスマホは画質もかなり良くなり、景色や自分のバイクを綺麗に撮れるようになった。
だが、ライド中の動画撮影となるとスマホでは少し厳しい。片手運転で撮れなくもないが、ハイスピードで巡航したり、MTBでシングルトラックを駆け下りるような、動画として面白い映像を撮りながら走るのはあまりにも危険。
多分、横着して崖下にスマホを落とした奴は、世界中にけっこういると思う。
さて、こういうダイナミックな映像を撮るなら、やっぱりアクションカメラが最適。
GoProを元祖とするアクションカメラは、スポーツ選手やレーシングカーなど、激しく動くモノに取り付けて撮影することが前提。小型軽量で頑丈だし、手ブレ補正もよく効く。
シクロクロスレースでは、ハンドルにGoProを取り付けて車載動画を撮っている。
GoProは持ってるし、何なら360度カメラのInsta360 ONE X2も持ってるんだけど、ちょっと違った使い方ができるかな?と思って、超小型のアクションカメラ Insta360 GO2(64GB)を購入した。
Insta360の小型アクションカメラ
Insta360は、全天球を撮影できる360度カメラで有名になった中国企業「嵐ビジョン」のブランド。
創業は2014年と新しく、中華ハイテク企業の常として、「中国のシリコンバレー」こと深センに本拠地を構えている。
同社の製品はユニークで、魚眼レンズを表裏に2つ配置して全天球を撮影できる360度カメラ「ONE X2」を筆頭に、
GoProスタイルのアクションカメラながら、カメラモジュールを交換し、4K広角カメラ、1インチセンサーの高画質カメラ、360度カメラとして使える「ONE R」などがラインナップされている。
本品「Go2」は超小型ウエアラブルカメラ「Go」の後継機種で、親指サイズはそのまま、画質や駆動時間を大幅にスペックアップした製品。
Go2の特長は以下の通り。小型軽量なので気軽に持ち運べるし、その小ささを活かして他のアクションカメラでは不可能な撮影ができる。
Insta360 Go2の特長
- 親指サイズで26.5gの超小型・超軽量
- あらゆる場所にマウント可能
- サイズから想像できない高画質と手ブレ補正
- リモコンや三脚にもなる3in1の充電ケース
超小型・超軽量
Insta360 Go2本体は、サイズが親指大の52.9mm x 23.6mm x 20.7mmで、重量はわずか26.5g
完全ワイヤレスイヤホンのような充電ケース(63.5g)を含めても90g。
これだけ小く軽ければ、ジャージのバックポケットに忍ばせておいても負担にならない。(ただし充電ケースは防水ではないので注意)
この小ささが本製品最大の利点。次に紹介するマウントを使用して、普通のアクションカメラでは不可能な映像を撮ることができる。
マグネット固定の多彩なマウント
Insta360 Go2本体にはマグネットが内蔵され、充電ケースや各種マウントとは磁力でくっつくようになっている。
付属のマウントは3種類。
- 磁気ストラップ
- 簡易クリップ
- ピボットスタンド
これらを組み合わせるだけでかなり自由度の高い撮影ができる。
磁気ストラップ
最も活躍するのが磁気ストラップ。ネックレスのように首から掛け、磁力でカメラを貼り付ける。
服の下にストラップを忍ばせることで、胸の位置にカメラを固定できる。なお、ストラップの長さは調整可能。
軽量で邪魔にならないし、周囲に圧迫感も与えない。
街歩きでも、サイクリングでも、あるいはドライブでも、気軽にPOV(一人称映像)を撮れる。
これがGoProだとチェストマウントハーネスを使う必要があり、かなりイカつい感じになる。人前ではちょっと使いづらい。
固定力に不安感を覚えるが、意外と強固にくっついている。
ロードバイクでヒルクライムして、下りもかっ飛ばしてみたが全然大丈夫だった。
ただし、MTBでトレイルライドしていて、転んだりしたら外れてどこかに飛んでいきそうだ…
簡易クリップ
ヘッドバンドや帽子のツバに固定するためのマウント。カメラの角度はカチカチと15度刻みで調整できる。
サイクルキャップでも試してみたが、ツバは剛性が低く、揺れてしまい綺麗に撮れなかった。
ツバがしっかりしたベースボールキャップ向けかな。
ピボットスタンド
向きを自在に変えられるスタンド。台座部分のカバーを外すと粘着剤がついていて、いろんな場所に貼り付けることができる。
粘着剤は水洗いすることで何度でも使用可能。
関節は摩擦で止まっているだけだが、カメラ自体が軽いのでそうそうズレることはない。
長期間にわたって使い込んだら緩くなってきそうではあるが…
さて、定点カメラとして使うのもいいが、このコンパクトさを活かすなら、やはりフレームやフォークに貼り付けて車載動画。
カメラ自体が小さいので、ペダリングやハンドリングの邪魔にならない。
広角なので、ハンドルやタイヤもしっかり映り込んで臨場感が出る。
車載動画は単調になりがちだが、カメラの向きを変えることで飽きのこない映像を撮影できる。
ぱっと思いつくだけでこれだけのカメラアングル。応用次第でいろんな事に使えそう。
MTBのサスペンションがストロークしたり、タイヤが潰れる様子を撮るのも面白いと思う。
なお、マウントの粘着力は強く振動で外れる気配はなかったが、念の為リピートタイで補強している。
そのまま貼り付け
Insta360 Go2自体に磁石が内蔵されているので、鉄製のガードレールやポールにくっつけて、定点カメラとして使うことができる。
まぁ、セットして、撮影して、カメラを回収して…と、撮影の段取りが若干面倒ではあるが。
マウントアダプターバンドルでGoPro台座に取り付け
付属マウントだけでも十分ではあるが、別売のマウントアダプターバンドルを使用すれば、GoPro台座や三脚に取り付けることもできる。
このセットには粘着マウントベースも付属する。
一応買ってみたが、GoProマウントがあるならGoProをぶら下げたほうが高音質高画質で長時間撮影できるわけで、正直あまり出番は無い…
撮影機能
撮影操作はシンプルで、本体ボディと一体になったボタンをクリックすると電源が入り、撮影が始まる。
シングルクリック、ダブルクリック等に撮影モードを割り当てることも可能(スマホアプリで設定)。
前作Insta360 GoはSNS前提の画質で、1080p 25fpsと少々物足りない解像度だったが、
本品Go2は最大 1440p (2560✕1440) 50fpsで撮影可能。
センサーサイズは1/2.3インチで、他のアクションカメラや安価なコンデジと同程度。
画質は飛び抜けて良くはないが、1世代前のスマートフォン程度には撮れる。
街頭のない真っ暗な道でも、思ったよりちゃんと映る。
また、手ブレ補正も通常のアクションカメラ並で、FlowState手ブレ補正機能を有効にすると、振動する自転車に車載しても殆ど揺れを感じない映像が撮影できる。
この小型カメラに、フルサイズミラーレスのようなシネマティックな映像美を期待する人はいないと思うが、
それでも、サイズを考えると十分に高画質だと感じた。
Pro動画
本品の(タイムラプスやスローモーションを除く通常の)動画モードは「動画」と「Pro動画」の2種類ある。
「動画」は1080pなり1440pの動画を保存するのに対し、Pro動画では魚眼レンズで撮影した正方形の映像をそのまま保存する。
これをInsta360アプリ(Android/iOS)、あるいはInsta360 Studio(PC)に読み込むことで、
- アスペクト比設定(9:16 / 16:9 / 1:1)
- 画角設定(広角・狭角+α)
- カメラアングル微調整
- 手ブレ補正オンオフ
- 水平維持(カメラが傾いても映像の水平を維持する)オンオフ
が行える。
アスペクト比設定とカメラアングル微調整は非常に便利なので、
ひと手間かかるが絶対にこのモードで撮影したほうが良い。
マイクは残念
映像が予想以上なのに対して、音声は残念。
GoProは本体各所にいくつもマイクがあり、ノイズキャンセリング処理を施すことで高速走行時にも風切り音が入らずクリアに録音できるが、
Insta360 Go2はマイクが1個しかなく、風切り音低減機能は一応あるものの殆ど役に立たない。
(というか、GoProが頭一つ飛び抜けて優秀)
ちょっと風が吹くだけでボフボフ言うし、自転車で入ると音声はほぼ使い物にならないといって良い。
外部マイクには対応していないので、音声が必要なら別撮りする必要があるが、
手軽に撮影・編集できるというこのカメラの利点がスポイルされるので、私は割り切ってすっぱり諦めている。
バッテリーライフ
小さいから仕方ないのだが、バッテリーの持ちも悪い。
本体のみでは、FlowState手ブレ補正機能をオンにするとわずか20分。オフでも30分しか持たない。
充電ケースに入れた状態では、それぞれ110分/150分撮影できる。
長回しで撮影する使い方には向いておらず、要所要所で短い動画を撮影して、普段はケース内で充電するスタイルで運用する必要がある。
バッテリー容量 | 210mAh(カメラ本体) 1,100mAh(充電ケース) |
撮影時間 | カメラ単体:20分間 (FlowState手ブレ補正) / 30分間(ベーシック手ブレ補正) ケース併用:110分間(FlowState手ブレ補正) / 150分間(ベーシック手ブレ補正) |
充電時間 | カメラ:約35分間(充電ケースにて) 充電ケース:約65分間(USB-C) |
バッテリーライフの短さは本家も認識しているようで、給電撮影をするためのUSBパワーマウントというオプションも用意されている。
3in1の充電ケース
完全ワイヤレスイヤホンのような充電ケースは
- 充電器
- ワイヤレスリモコン
- テーブル三脚
という3つの機能を持っている。
充電器
前述のようにInsta360 Go2内蔵バッテリーは20分程度しか持たないので、撮影時以外は充電ケースのなかで休ませておく必要がある。
本体バッテリーが枯渇した状態で充電ケースにセットすると、35分間でフル充電できる。ケース内蔵のバッテリーはUSB-C経由で充電し、65分で満タンになる。
ワイヤレスリモコン
ケースを開くと、有機ELディスプレイとボタンが2個ついており、撮影操作や撮影モード切り替え、設定が行える。
カメラとの接続はワイヤレスなので、リモコンとして使うことも可能。固定したカメラを離れた場所から操作できる。
テーブル三脚
ケース背面には昆虫の翅のような脚がついており、展開するとテーブル三脚になる。
飯食ってるところを自撮りするくらいの使いみちしか思いつかないが、最低限の重量増で機能をプラスしている点は良い。
なお底面には三脚穴も備えられているので、三脚や自撮り棒を取り付けることも可能。
Insta360アプリで即時編集
Insta360製品はソフトウェアの出来が非常に良く、撮影した動画を高速に読み出し、直感的に編集して書き出すことができる。
特筆すべきは読み出しの速さ。ストリーミングしながら順次処理しているのか、ワイヤレス接続なのに読み出しが異様に速い。
撮影した動画をその場ですぐ確認できるし、不要な部分のトリミングや、アスペクト比・画角変更(PRO動画の場合)もサクサク。
GoProのアプリがあまりにも酷く、MicroSDカード引っこ抜いてカードリーダーで読み込むのが一番速いのとは対照的。
Insta360なら、動画を撮ったその場で簡単に編集して、TwitterやInstagramでシェアできる。
以下の動画は、編集に10分もかかっていない。(ネックストラップにカメラを固定するシーンのみスマホで撮影)
ちなみにシクロクロスの前日試走動画は毎週レース会場でアップロードしているのだが、
GoProで撮った動画ファイルをスマホに保存した後、Insta360アプリで再エンコード(ファイルサイズ削減のため)してからYouTubeにアップしている。
まとめ:サイクリングのお供に気軽に持ち運んで、気軽に撮れる
カメラというのは、大きく、重く(そして高価に)なるほど性能が向上し、より高画質の写真なり動画が撮れるものだが、その代償として持ち運び自体が負担になる。
数10万円のカメラを持っていても、撮影機会が訪れた時に持っていなければ意味がない。
アクションカメラも同じことがいえて、GoProというのは案外面倒くさい。
バイクにつけっぱなしで撮った車載動画は数分で飽きるし、かといって、自撮り棒を持って、チェストマウントハーネスを着込んで…となるとどんどん荷物が増えてしまい、「サイクリング中に撮影」ではなく、「撮影のためのサイクリング」となりがち。
その点Insta360 Go2は「今日は撮影するぞ!」と気合を入れなくても、バッグの隅っこ、あるいはジャージのバックポケットに忍ばせておけるサイズ。
磁気ストラップを首にかけ、余裕があればピボットスタンドもポケットに入れておけば、車載動画はもちろん、POV撮影も、定点撮影も一通りできる。
GoProと比べて画質はやや劣るし、音質は勝負にすらならないが、それでも小型軽量というメリットがカメラを持ち出して、撮影するハードルを大幅に引き下げている。
実は明確な利用目的がないまま、オモチャのつもりで買ったのだが、上記の理由で使い勝手が予想外に良く、日常的に撮った動画をSNSに投稿し、承認欲求を満たすのに一役買っている。
なおInsta360 Go2には32GBモデルと64GBモデルがあるが、結構すぐにストレージが埋まるので64GBモデルがおすすめ。