ハイカーブの度付きアイウェア製作 RUDY FOTONYK

ルディの自転車向けアイウェア フォトニックで度付きのアイウェアを製作。
ハイカーブのサングラスを度付きにするにはノウハウが必要なため、経験豊富な専門店を利用。耐衝撃性に優れるレンズをなのでクラッシュ時にも割れにくく、コントラストを高める特殊なカラーで路面状況の視認性を高める。

評価 ★★★★☆

購入価格 60000円(アイウェア2万円+レンズ4万円)

長所 -Pros-

  • 広い視界と高い安全性
  • 特定波長をカットし、路面状況を見やすいレンズカラー

短所 -Cons-

  • 非常に高価
  • 違和感なく使うためにはかなりの調整が必要

ルディ・フォトニックについて

数年間使った度付きアイウェア(PARIS MIKI SP FIT 602)がくたびれてきたので、新たに作ることにした。

なんとなくコンタクトレンズが嫌でメガネ派なので、今回も度付きレンズ。
まつ毛が長いのでインナーフレームは最初から除外し、サングラスのレンズそのものを度付きにする。

ベースのアイウェアを選ぶ条件としては

  • 度付きにしやすい2眼タイプ
  • 低い鼻に合わせてノーズパッドを調整可能なこと
  • 完全に振り返らなくても後方を確認しやすいよう、横方向の視界が広いこと
手で曲げて調整可能なノーズパッド

以上の条件に当てはまるよう、視界が広いハーフリムタイプのアイウェアを探していたが、
スポーツ用度付きアイウェア専門ショップ 眼’zの井上氏からの

「MTBやシクロクロスで使うなら、レンズで顔を怪我しないよう枠があるほうが良い」

というアドバイスを踏まえて、ルディ・フォトニックに決めた。
フォトニックはハーフリムタイプながらレンズ周囲に軟質素材のバンパーを備え、視界の広さと安全性を両立している。

レンズベンチレーション・オープン

また、レンズ自体は僅かに上下に動いて2ポジションで固定できる。これによってベンチレーションホールを開閉し、状況に応じてレンズの通気性を高めたり、風の巻き込みを防いだりできる。ほぼ開けっ放しだけど。

ベンチレーション・クローズ

視力検査

アイウェアのレンズには湾曲の度合いを示すレンズカーブという数値があり、これが大きいほど強く湾曲している。
通常のメガネは2カーブ程度だが、スポーツ用のサングラスは6~8カーブ。レンズが顔の側面近くまで回り込むことで眼球を光や異物から保護し、風の巻き込みを抑えている。

度付きにする際に問題となるのが、このレンズカーブ。通常のメガネであれば、眼科やメガネ屋さんで測定した視力と瞳孔間距離に従ってレンズを作るだけで目に合ったメガネになるが、
ハイカーブレンズはレンズが顔の向きに対してレンズの光軸が斜めになるため、度数を補正してやらねばならない。

今回は、スポーツ用の度付きアイウェアを専門にし、経験が豊富な大阪の眼’zにて製作。
自転車のレースというシビアな状況で使うものだし、高価な買い物でもあるので、製作や調整に信頼が置ける実績あるショップを選んだ。

前述の通り、レンズを傾けて使用するスポーツサングラスでは、通常のメガネと同じような見え方にするためには度数を補正する必要がある。
眼’zではスポーツサングラスの見え方を再現できる特殊な視力測定器具を使用して度数を設定する。視力測定だけで1時間程度かかるが、ここをきちんとしないとメガネとして使い物にならない。

ハイカーブレンズの見え方は普通のメガネとはちょっと違うので、クラクラして酔ったり、遠近感が狂ったりするが、度数の設定と調整によって違和感を最小限に抑えることができる。

高機能レンズ

レンズも何種類かあるが、今回は自転車競技に使うということで、耐衝撃性が高く、割れて怪我をする心配の少ないNXT素材のレンズを使用。また、オフロードレースで路面状況を確認しやすくするため、ICRX SPORTI NXT HCD PLUS55 という製品を選んだ。

このレンズは、透過率57%と明るいが、500nm付近の波長を選択的にカットすることで、カラーコントラストを高める効果がある。有名所でいうと、オークリーのPRIZM TRAILと同様の機能を持っている。

薄いピンク色のレンズ
色の三原色を区別しにくくなる500nm付近の波長をカット

霧や雨や曇天などのように色コントラストが低い条件のもとで解像度がアップするよう設計されています。悪天候時のスキー、街中、森や田畑に囲まれた場所でのドライビング、サイクリングに適し、また日陰から日向へなど強力な光の変化に対しても眼のスムーズな適応を容易にします。

http://www.ic-j.co.jp/lens/icrx/item/sporti/nxtplus55/

実際に使ってみると、スマートフォンで撮影し補正された写真のような、鮮やかな視界になる。視界が赤みがかるので、真昼でも夕方のように感じる。

機能的にはメーカーが主張する通り、舗装路の継ぎ目、トレイルでの路面の起伏などが見やすく、スピードを出していても対応できる。また、スキー場で行われるMTBレースで、明るいゲレンデから薄暗いシングルトラックに入る、またその逆のシチュエーションでも、確かに順応しやすい

レンズの透過率は57%と高めなので、昼間であれば薄暗い場所でもしっかり見える。薄暮でもクリアレンズより見やすいくらいだが、絶対的に光量が足りない真っ暗な状況では見えにくい。なお、夜間の自動車の運転は不可とされている。

良いことづくめのようだが、PCの画面を見ると、コントラストが高すぎて眩しく感じる。デスクワークに使う人はいないと思うけど。

ハイカーブ度付きレンズの製作

レンズは加工場に送られ、アイウェアの形状に合わせて切削される。出来上がった品物は、ため息が出るような仕上がり。
アイウェアとの勘合部分はもちろん、ベンチレーションホールまで再現されている。

あぁ…そりゃ高いわ

少し試行錯誤があったが、度数が強めなことと、見え方の好みの問題で、レンズは5カーブにした。

頭の形状に合わせたフィッティング

アイウェアを購入し、レンズを製作したが、まだ出来上がりではない。最後に、フィッティングという最も重要な工程が残っている。
頭の形、顔の形、見え方の好みに合わせて、フレームを曲げ直して形状を合わせていく。

眼球がレンズの中心に来るのは前提として、顔とレンズの隙間が適正かつ一定になるように、そのうえで、激しい運動でもアイウェアがズレず、また、締め付けすぎて痛みが出ないように、絶妙な調整を行う。

納得行くまで何度も再調整してもらい、ほぼ違和感のない見え方を実現しながらも、顔にカチッとハマるような掛け心地のアイウェアが完成。

イタリア製のとんがったフレームを丸い頭と平たい顔にあわせて曲げ直し

まとめ: アイウェアでパフォーマンスを上げる

ハイカーブならではの視界の広さ、レンズカラーによる路面の見やすさは効果絶大で、特に、薄暗い森の中ではハッキリとアドバンテージを感じられる

また、レンズにはベンチレーションホールも開けてあるし、まつ毛がレンズに触れないよう、顔との隙間を少し多めに確保してることもあり、曇りにくい。

ハイカーブレンズ特有の視界の違和感や景色の色付きは慣れれば気にならず、掛け心地も良いのでレース後にメガネに戻し忘れて、帰宅中に気づいたりするくらい。レースだけではなく、トレーニングや長時間のサイクリングにも活躍している。