初会場で2日連続開催の関西シクロクロス 二色の浜。
2日目は関西CXシリーズ最終戦が行われた。初日のJCXでは好成績を残せたが、長い砂浜を走ったダメージは想像以上だった。
スタートで出遅れ、パックからちぎれ、ズルズルとポジションを落とし続ける苦しいレースとなった。
また、このレースをもって関西CXシリーズは終了。全11戦の合計で最多ポイントを獲得し、関西CXで総合優勝を果たした。
2/12 関西シクロクロス第11戦 二色の浜 E1
天候:晴れ 12度
コースコンディション:砂、ドライ
リザルト:9位/72名(8周回 +5:10 順位12% フルラップ完走42名)
機材
Ridley X-Night Disc 2号車
- 前輪: Shimano WH-R8170-C36 / Panaracer CGCX + Insert / 1.5bar
- 後輪: Shimano WH-R8170-C36 / Panaracer CGCX + Insert / 1.5bar
※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準
動画
すくみずログ YouTubeチャンネルでレース動画を公開中
2日連日のシクロクロス
関西国際空港を臨む「二色の浜海水浴場」で行われるシクロクロス2連戦。
初日の2/11(日)はJCXレース、2日目の2/12(月祝)は関西CX最終戦が開催された。
コースは2日間同じ。海岸沿いに走る阪神高速の高架を境に、陸側は松林を縫うコーナリング区間、海側の砂浜はサンドエリアとなっている。
ところで「二色の浜」という名前は、青い松と白い砂浜に由来するらしい。ある意味名前通りの、青と白のコントラストがハッキリしたコースレイアウトになっている。
このコース最大のポイントはやはり長い砂浜区間。乗車は難しく、特に後半は国内トップ層の選手でもランを強いられる。
砂区間では、乗車できる区間でミスしたり、ランのペースを維持出来ないと簡単に10秒変わる。ちょっとしたリードは簡単に奪われるし、パックから千切れるのも一瞬だ。
初日のAJOCC JCXレースでは全国から選手が集まる中で好成績を収めることができたものの、普段走り慣れていない脚で砂浜を走り続けたせいで、足腰には計り知れないダメージが…
試走とセッティング
1日目の夜は、普段は面倒くさがっているマッサージやストレッチでリカバリーに専念。プロテインをガブガブ飲んで寝たのだが、そのおかげかレース当日朝は思ったほど脚が重くない。
これは今日もイケるのではないか?と期待しつつ準備して、会場へ。
土曜の前日試走、日曜日のレースと、既に嫌というほど走っているコースだが、昼試走の時間になると、準備運動がてら路面チェックのためコースイン。
夜に少し雨が降ったが路面への影響は皆無で、昨日と同じ深い砂。むしろ、午前のカテゴリで踏み荒らされ、より走りにくくなっている。
JCXレースでは轍をトレースして気持ちよく抜けられた砂のコーナーも、深い砂場と化していた。
バイクセッティングは昨日と同じく前後CGCX 1.5bar。
風が冷たいが気温は昨日より暖かい12度。ウエアはメッシュインナー+半袖インナー+ワンピース。グローブは夏用ロングフィンガーを選択した。
身体のほうは、試走では特に何も感じなかったが、ウォーミングアップ中にスプリントしたとき、脚の重さが気になった。
既に今シーズンの関西CX総合優勝は確定しているとはいえ、最終戦は良い形で終えたい。果たしてどこまで走れるだろうか。
レースレポート
時間ギリギリに招集に向かったところコースを横断するのに手間取り、微妙に遅刻したが1列目に並ぶ。
優勝候補は副島達海か横山航太。大きなトラブルがなければ、どちらかが優勝し、もう片方が2位だろう。この2人にはフィジカルでもテクニックでも大きな実力差があり、正直勝負にならない。
なので、狙うは3位表彰台だ
定刻13:30にスタート。反応は悪くなかったはずだが、舗装路のスタートダッシュで出遅れる。これは、踏めていないぞ…
10番手あたりで松林区間へ。集団が縦1列に伸びるので、先頭が遠く感じる。
ただ、ここで攻めてもオーバーテイクは難しく、焦ってミスするリスクのほうが大きい。
上がるならコース後半の砂区間だ。
砂浜に降りてサンドセクションに入ると、脚が重い。
それでも第2パックの先頭、3番手まで上がって1周目を終えた。
このまま走りきれば3位表彰台…だが、そんなに甘くはなかった。
数名のパックで展開する3周目、砂浜のランでひとり遅れる。必死に走っているのにペースが上がらない。
昨日のレースで負ったダメージは想像以上。
ピークパワーが出ず、スピードを乗せられないので砂に埋まり失速。昨日より早い段階でランを強いられる。
結果として、余計に脚と体力を消耗していく。
足さばきも悪く、タイヤに当てたりペダルにぶつけたり、自分のくるぶしを蹴飛ばしたりして、身体のそこら中に擦り傷を作る。
最も海側の長い砂区間をラン中、だんだんうつむいて気が遠くなったところで、くるぶしの傷に蹴りを入れた痛みで我に返る…というのを何度も繰り返した。
単独7位で走っていたが、後続に追いつかれては抜かれ、8位、9位と、ズルズルとポジションを落としていく。
そして最終周回。集中力も体力も既に限界。なんでもない場所で砂にタイヤをとられて転倒し、杭にバイクを引っ掛けたり、満身創痍の状態だったが、
後方から迫る2名からはなんとか逃げ切り、9番手でフィニッシュ。
レースを振り返って
初日のダメージは想像以上で、落ちていくだけのひどいレースだった。
砂でのバイクコントロールが上手くない私はスピードを乗せないと乗車できないが、脚がスカスカで進入速度を稼げない。
結果、すぐに失速してバイクを降りることになるが、普段ランをしないので、遅いうえに疲労を上積みしていく。
ただでさえタフな砂のレースを2連戦したダメージは大きく、レース翌日は階段の上り下りすらままならない状態。
当分の間、砂浜は見たくない。
タフすぎるコースと開催日程はともかく、会場の雰囲気は非常に良かった。
高速道路の高架下のブースエリアは普段より多く、地元のお祭りかというような賑わいっぷりだった。
コースも見渡せるので、観戦・応援もしやすい。海の向こうに関空と、淡路島を臨むロケーションも最高だ。
駐車場がやや離れた位置にあるのは難点だし、公園を利用する地元住民の理解も必要だろうが、今後定番会場になってほしい。
2023-24シーズン 関西CX総合優勝
すべてのレースが終わったあとは、2023-24シーズン 関西シクロクロス シリーズ総合ランキングの表彰式。
昨年10月から2月にかけて開催された全11戦で1350ポイントを稼いだ私は、2位に264ポイント差で総合優勝することができた。
私がシクロクロスに初出場したのが2009年の2月 桂川。その翌年2009-10シーズンから本格的に参戦するようになった。
「カテゴリー1」に上がり、それなりに経験を積んで成績が出るようになってきたここ10年弱は、関西CXの総合優勝を第一目標として毎年レース活動をしていたが、2017-18シーズン以来6年ぶり、2度目のチャンピオンだ。
2位には後輩の笛木君が(3位村田さんとは2ポイントという僅差で)入り、京大サイクリング部OBでワンツーを獲得した。
今シーズンは夏場ロードで走り込み、良い状態でシーズンイン。全日本狙いの選手が遠征で不在のシリーズ戦序盤は、優勝した第2戦 美山を筆頭にほとんど毎レース表彰台に登り、ポイントを積み上げた。
勝てるレースでしっかりポイントを稼ぎ、笛木くんや村田さんにリードした状態で迎えたシーズン後半は、たつーみや横山コータはじめ強豪選手が参戦するようになり表彰台こそ縁遠くなったが、自分なりのベストを尽くせた。
だが、ライバルの笛木くんや村田さんも表彰台に絡める実力を持っている。私を含めた3名はシクロクロス選手としてほぼ互角と言っても良い。
では、彼らに対してリードできた理由は何か?それは「レースを落とさなかった」からだ。
たとえ優勝しても、次のレースで後方に沈めば帳消し。仮に欠場(DNS)やリタイア(DNF)で0ポイントとなれば、せっかく積み上げたリードが台無しになってしまう。
特に関西は毎週末レースが開催されるため、疲労も溜まりがちだし、バイクの消耗も激しい。そのため今年は
- 「怪我をしない」
- 「体調を崩さない」
- 「機材を壊さない」
の「3ない運動」を強く意識してレースに臨んだ。
年々回復力が低下してくる年頃でもあるし、シーズン終盤は練習量を絞って、回復にあてる時間を十分にとった。
結果的に、シーズンを通して調子を維持することができたと思う。
さて、関西CXが終わって、ちょうど良い区切りだと思うので、各方面の方々にお礼を言っておきたい。
まずは、36隊のチームメイトと、チーム員じゃないのに助けてくれた皆様。毎週末、レース会場に拠点を設営し、レース中はピットに入り、万全のサポートをしてくれたお陰でレースに集中できました。今年の勝因をさらにもう一つ挙げるならば、それはチーム力だったと思います。
晴れの日はもちろん、雨の日も寒い日もコースを走り回ってくれたフォトグラファーの皆様。大量に撮影いただいた写真のチェックと選定は、週明けの楽しみでありながらも、地味に重労働でした。
…それにしても、なんでレース中に1回だけしたミスをバッチリ押さえてるんだよ。嗅覚バケモンかよ。
コース脇から声を張り上げて応援してくれた皆様。脚と心拍を限界まで追い込んだ選手に投げかけられる、容赦のない激励の言葉は、背中を押すと同時に全身の筋繊維を傷つけました。
自分も選手だからこそわかる、一番キツい場所で応援するのは勘弁してくれ。
何より、毎週末顔を合わせ、この健康と財布に悪い勝負に最後まで付き合ってくれたみんな。
競争相手がいなければレースはできない。実力が拮抗したライバルがいるというのは、実はすごく幸せなことなのかもしれない。
これからも本気の勝負ができる関係でいられるように、また、最終周回でタイヤを滑らせたり脚を攣ったりしてくれるように、パック内でプレッシャーを掛けながら祈っています。
最後に、この素晴らしいレースを毎年開催してくれている、関西シクロクロス実行委員会とボランティアの皆様。
全国のレースに遠征することもあるけど、カンクロの運営が一番だし、カンクロの雰囲気が一番だと思ってます。
シーズン前にはちょっと憂鬱になり、シーズンが終わると心底ホッとする。それでも参戦をやめられないのは、もう手遅れ…もとい人生の一部になっているからかもしれません。
なんか漏れがあったら本当に申し訳ないけど、とにかく皆様、本当にありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。
…と締めたのだが、関西CXの「シリーズ戦」が終わっただけで今季CXシーズンはもう少し続く。
次戦は関西CX くろんどクロス、その翌週は東海CX 豊田に参戦します。