関西CXシリーズ屈指のテクニカルコースで行われた関西CX第2戦。全日本上位を狙う強豪選手は幕張のJCXに遠征しているため、E1出走者の顔ぶれはローカルメンバーのみ。今日勝たなかったらいつ勝つんだ?というレースだ。
昨年より窮屈なレイアウトになったコースは、スピードが出ず、決定的な勝負どころがない。そのため先頭パックはペースが上がらず、チャンスを探り合う展開となった。
転倒により一時パックから遅れたりもしたが、レース終盤に復帰。残り半周、先頭に出た村田さんの転倒により再び順位が入れ替わり、1位でフィニッシュ。関西CXで久々の優勝となった。
11/4 関西シクロクロス第2戦 美山向山 E1
天候:晴れ 26度
コースコンディション:晴天、ドライ、草地、土
リザルト:1位/50名(8周回 58:40 順位2% フルラップ完走43名)
機材
Ridley X-Night Disc 2号車
- 前輪: Shimano WH-R8170-C36 / Panaracer CGCX + Insert / 1.7bar
- 後輪: Shimano WH-R8170-C36 / Panaracer CGCX + Insert / 1.7bar
※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準
動画
すくみずログ YouTubeチャンネルでレース動画を公開中
レース会場
関西シクロクロス第2戦の舞台は美山向山。京都市内からは車で1時間ほど、大野ダムのダム湖周辺に位置する会場だ。
例年は紅葉の時期に重なることが多いのだが、今年は暖かいため、まだ見頃は先だった。
美山といえば、地元 向山集落の方による出店も楽しみの一つ。近くにコンビニも無い場所だが、会場内のホスピタリティは高い。
今回も、ゆずカレーや向山焼きをいただいた。
HiMaWaRiのアイスも絶品。暑かったこともあり、レース前後で2個も食べた。
コースとセッティング
美山のコースは、関西CXシリーズ戦の中でも特にテクニカルな部類に入る。大野ダム付近のCX/MTB常設コースと、隣接するパターゴルフ場を組み合わせたレイアウト。
パターゴルフ場の芝エリアは、グリップはそれなりに安定しているものの起伏があり、スムーズなライン取りが重要となる。
一方、山側の常設コースは高低差があり、急勾配や根っこをクリアするためのパワーや体重移動といった、MTB的な乗り方が重要となってくる。
フルパワーで加速できる場所が少ないため、フィジカルで押し切ることは難しく、ひとつひとつのセクションの捌き方でタイムを稼ぐ、あるいはワンミスでタイムを失うようなコースとなっている。
今回は特に陰湿なレイアウトで、「速度を落とす」「リズムを崩す」「自然なラインを通さない」が徹底されていた。
前日試走も含めてかなり周回したが、最後までしっくりこなかったコーナーがいくつもあった。
一方で、フィジカル的には非常にラクなコースだった。低速コーナーに挟まれた短い直線は、踏むメリットに乏しい。
昨年は踏みっぱなしだった上り区間も、今年は途中の根っ子コーナーがタイトになったおかげで脚を休められた。
路面状況が良かったのでタイヤはドライ寄りのCGCX TLC。空気圧は前後とも1.7barに設定した。
また、レース当日は気温26℃。11月としては非常に暑く、全国各地で観測史上最高気温を更新するような陽気だった。
この気温だと脱水が心配なので、急遽ボトルをお借りして出走した。
栄さんありがとうございました…
レースレポート
前週の東北CXわたりでAJOCCポイントを稼いだため、ゼッケンは1番。中央やや右寄りのグリッドに入る。
スタート後、KUCC後輩の笛木くんが飛び出す。同じくKUCC先輩の松井さん、私でKUCC OBパックを形成。
なおこの3名全員が東北CXわたりに出場している。
レース序盤に形成された先頭パックは、私、村田さん、斉藤さん、そして藤川さん。
コースはテクニカルだが、E1のレーススピードに対してコーナーがタイトすぎて平均速度が低く、差がつきにくい。
美山のアタックポイントは山岳エリアの上り区間くらいだが、前述のように、中腹にある根っ子コーナーが難化した結果、ここで脚を休められるようになった。
コース最高地点に至るエキスパートコースの上りで仕掛け、僅かな差をつけたとしても下りでリセットされてしまう。
踏んでも無駄に消耗するばかりでタイムを稼げないため、先頭パックのスピードは穏やか。お互いに仕掛けるチャンスを伺っているような状態だ。
こういう展開では、脚を温存すること以前に、メカトラブルや転倒を起こさないことが重要。
…なのだが、3周目に入ってすぐ、芝セクションのキャンバー直後、右に180度ターンする場所の逆バンクですっ転ぶ。
幸い、少し抜け出したタイミングだったので、村田さん、斉藤さんの後方につく形で3位復帰。
後ろには藤川さん。前3人を監視するようにずっと4番手をキープしている。去年の美山でもずっと背後にいたっけな…
藤川さんはベテランのMTB選手。テクニックもあるし、レース序盤から終盤までムラのない安定した走りをするのが怖いところだ。
先頭3名の順位は頻繁に入れ替わる。
パック3番手はペースアップに対応できなかったり、前走者のミスに巻き込まれたりするため、できれば避けたい。
考えることはみな同じようで、ちょっとした隙を見つけては前に上がろうとする。
そうこうするうち、6周目に2コケ目。芝キャンバーの入り口でスリップダウンした。
怪我はなかったが、Di2のシフトスイッチに土が詰まり、シフトダウンできなくなってしまった。
走りながらスイッチをガチャガチャしてなんとか復旧したが、その間ペースが落ちてしまい、先行した村田さん、斉藤さんから5秒ほど遅れる。
とはいえ、今回のコースでこれくらいのギャップなら十分追いつけるはずだ。
狙い通り、1周かけて先頭パックに復帰した7周目、上り区間で先頭に出てアタック。ペースを上げて振り落としにかかった。
しかし、やはり多少の差は低速コーナーで吸収されてしまう。
最終周回も先頭は私が牽引する。村田さん、斉藤さんとの3名パックは崩れず、このまま混戦状態でゴール勝負にもつれ込みそうだ。
この状況で絶対的に有利な先頭をキープしたかったが、シケインの後、上りで少し失速してしまったところを突かれて村田さんを前に出してしまう。
正直、やられた…と思ったが、その直後、土手を登った先の左コーナーで村田さん転倒。これをかわしてトップに。
最後の芝セクション、後方からは斉藤さんが猛追してくる。しかし、ここで焦って転んだら台無しなので、むしろ慎重にコーナーを処理していく。
だいぶ差を詰められたが、滑りやすい最終コーナーを丁寧に立ち上がる。美山のコースは最終コーナーからコントロールラインまでの距離が短いため、ここで先行していればまず大丈夫なはずだ。
逆転を狙ってハードプッシュした斉藤さんが背後でスライディングするの気配を感じつつフィニッシュ。久々の関西CX優勝となった。
レースを振り返って
強豪選手が幕張JCXに遠征したため、関西ローカルメンバー内での争いになった美山。
関西CX総合ランキングのためにも、優勝を狙っていた。
結果的には展開に救われたが、狙ったレースで勝てて一安心だ。
レースを振り返ると、バイクコントロールに気を使うものの、フィジカル的には非常にイージーだった。
今年のコースレイアウトはE1のスピードに対してタイトすぎる印象があった。低速のコーナーと短い直線では平均速度が上がらず、フィジカルの差がラップタイムに繋がりづらい。
いつも追い込まれる山側の上り区間も、途中にコーナーの減速が挟まれたおかげで、いったん脚を回復させ、余裕を持って登り切れた。
同レベルの選手間ではコーナリングで築ける差も僅かなので、パワーとテクニックで勝負をするのではなく、パックで程々のペースを保ちながら、誰かがミスするのを待つ、という戦略がベストだったと思う。
実際、レース展開が動いたのは誰かが転んだ時だった。
表彰台の3名のうち、誰が勝ってもおかしくないレースだった。
次週は関西CXはレースなし…なので、東海CX初戦 おおが城山公園に遠征します。
応援・撮影・サポートありがとうございました。