ロードバイクで落車し、全身数カ所に擦過傷を負ったので、これ幸いと各種湿潤療法のテストを行った。
※傷口そのものの写真は無いが、傷の上にフィルム貼った写真はあるので、グロいのが苦手な方は閲覧注意。
注意:傷が深い場合は病院へ
湿潤療法は、傷口からの汁(滲出液)を留めて傷を湿潤状態に保つことで、カサブタを作らず、早く綺麗に治す方法。
擦過傷(スリキズ)のような浅く広範囲の傷には効果的だ。
ただし、傷が深い場合や汚れが酷い場合、動物に噛まれた場合は化膿や感染症の恐れがある。怪我の状態によっては病院を受診すべきだ。
湿潤療法の比較テスト
落車した傷口は土や砂利によって汚れているため、まずは大量の流水で洗い、傷口に砂利がめり込んでいる場合は歯ブラシ等で掻き出す。クソ痛いので落車ハイになっている間にさっさとやってしまおう。
細胞組織を殺してしまうので、消毒液は使わないほうが良いらしい。今回は念のため病院を受診したが、傷の周囲の皮膚のみ消毒を行っていた。
ここからが湿潤療法のスタート。今回は
- 食品用ラップ
- ハイドロコロイド材
- フィルムドレッシング
- 吸収パッド+フィルムドレッシング
の4パターンのドレッシング材(創傷被覆材)について、
- 傷口の保護
- 滲出液の保持
- 作業性
- コスト
を比較評価した。
なお、怪我の箇所が足りず、各部位で傷の深さも異なるため、同時比較していない点は留意願いたい。
①食品用ラップ
傷口の保護 | ★☆☆☆☆ |
滲出液の保持 | ★☆☆☆☆ |
作業性 | ★☆☆☆☆ |
コスト | ★★★★★ |
湿潤療法を指して「ラップ療法」と言うくらいにメジャーなのが食品用ラップ。
大抵の家庭に常備してあり、食品用なのでそれなりに清潔。なんといっても圧倒的なコストの安さが魅力のドレッシング材(創傷被覆材)だ。
ただし、傷口の保護という点ではイマイチ。薄く破れやすい上、滲出液を保持することもできないため、端から漏れ出して周囲を汚す。
傷口のサイズに合わせて切ったり折ったりして、テープで固定して、液漏れ対策のためガーゼやティッシュで覆って…と、処置も非常に面倒だ。
ラップを通して傷口がよく見えるので、乗り物図鑑の透視図とか好きなタイプの人にとっては結構楽しい。大変グロいので写真は無し。
②ハイドロコロイド材
傷口の保護 | ★★★★★ |
滲出液の保持 | ★★★☆☆ |
作業性 | ★★★★★ |
コスト | ★☆☆☆☆ |
滲出液を吸収して膨れるタイプのドレッシング材。「キズパワーパッド」がメジャーだが、切って使えるロール状の製品も販売されている。
傷口への貼り付けが簡単で、クッション性に優れるため保護効果も高い。
一方で、滲出液の保持は過度に期待してはいけない。受傷直後など、汁が多いときは吸収量オーバーでパッド全体がゲル化し、端から漏れ出す。
特に手や関節のような、圧力がかかる部位はゲルが漏れやすい。
コストも高いため、あまり広範囲の傷には向かない印象。面積が小さく、(湿潤療法ができる範囲で)深い傷に有効か。
③フィルムドレッシング
傷口の保護 | ★☆☆☆☆ |
滲出液の保持 | ★★☆☆☆ |
作業性 | ★★★☆☆ |
コスト | ★★★☆☆ |
ごく薄い粘着フィルム材。食品用ラップより作業性が良くコストもそれほど高くないため、個人的にお気に入りのドレッシング材。
ロール状のフィルムを好きな長さに切り、剥離紙を剥がして傷口に貼り付け、コシを保つための保護フィルムを剥がすと極薄のフィルムが皮膚にぴったりと密着する。全面が粘着剤になっているが、傷口の部分は滲出液があるのでくっつかない。
滲出液はフィルムの下に溜まって水ぶくれのようになってくるが、ある段階でテープのシワを通じて漏れ出し、決壊する。
敢えて決壊ポイントを作っておき、そこに吸収用のガーゼやティッシュを貼っておくというテクニックがある。
フィルムは皮膚に密着するため、ラップよりも傷口がより鮮明に見える。乗り物図鑑の透視図とか好きなタイプの人にとってはかなり楽しい。
数社から販売されているが、3Mのテガダームがイチオシ。
④吸収パッド+フィルムドレッシング
傷口の保護 | ★★★★☆ |
滲出液の保持 | ★★★★★ |
作業性 | ★★★☆☆ |
コスト | ★☆☆☆☆ |
Twitterで情報提供いただいた品。吸収性に優れたパッドで、今回はフィルムドレッシングと組み合わせて使用する。
購入したのはプラスモイスト ヘモスタパッドという製品。フィルムに不織布が貼り付けられた構造で、不織布側を傷に当てて使用する。
吸収パッドにはアルギン酸カルシウムが使用されており、滲出液や血液を吸収し、傷口を適度な湿潤状態に保つ。
傷口に合わせて切ったパッドを貼り付け、その上からフィルムドレッシングで覆うことで、滲出液を吸収し、外部への漏出を防ぐことができる。
パッドの厚みの分、保護効果もプラスされる。
液漏れ対策と作業性の面で個人的にはこれがベストの方法だが、吸収パッドとドレッシングフィルム両方が必要なため、コスト的にはやや厳しいか。
比較レビュー途中で治ってしまった…
自分の体を実験台にあれこれ比較している間に1週間ほど経ち、すっかり治ってしまった。もっといろいろ試したかったのだが。
もう一度転ぶわけにもいかないので、今回の比較レビューはここまでとしておく。
なお、最も感触が良かった ④吸収パッド+フィルムドレッシング について、1週間近く貼りっぱなしにして、この間普通にシャワーも浴びていたが、剥がれたり破れることはなかった。