【レビュー】GARMIN Edge840 Solar ~トレーニング用品からガジェットへ ガーミンの立ち位置を示すGPSサイクルコンピュータ~

GARMIN Edge 840 Solar

ガーミン製GPSサイクルコンピュータの新型機。バッテリーライフ強化やソーラー充電、高精度GPSなど、ハードウェア面では4年分の進化が感じられるが、ディスプレイの視認性が改善されていない点は残念。
ソフトウェアはリッチなインターフェースになり、単なるトレーニングデバイスから、スマートウォッチ的な高機能ガジェットに変化したという印象を受けた。

評価 ★★★★☆

購入価格 74800円

長所 -Pros-

  • バッテリー駆動時間
  • 操作感の良いタッチパネル

短所 -Cons-

  • 視認性が低いディスプレイ
  • 実用に耐えないパワーガイド機能

Edge 840 Solarを購入

ガーミンのGPSサイクルコンピューター Edge 540/840は、シリーズのメインストリームにあたる製品。

従来機種のEdge 530/830から数えて4年ぶりのモデルチェンジで、主な変更点は以下の通りだ。

  • タッチパネル搭載(Edge 840)
  • ソーラー充電対応(Solarモデル)
  • バッテリー駆動時間増加
  • GPS精度向上
  • USB Type-C充電端子
  • パワーメーター連携機能(「リアルタイムスタミナ」「パワーガイド」)

詳細スペックや製品ラインナップ、価格については別記事で解説している。

ガーミン自腹アンバサダーとしてシリーズ内の「全部入り」モデルであるEdge 840 Solarを発売日(2023/4/20)に購入し、1ヶ月半ほど使用したので、
今まで使用していたEdge 530と比較しつつ、使用感を中心にレビューする。

fenix 7S Sapphire Dual Power, Forerunner 955, Forerunner 965, そしてEdge 840 Solarと1ヶ月ペースで立て続けに購入

ハードウェア

横幅が広がったボディ

まずは外観。購入したEdge 840 SolarとEdge 530を並べると、縦と厚みはほぼ同じだが、横幅が6mmほど増加しており、並べると一回り大きく感じる。
ディスプレイは2.6インチ 246×332ドットで変更無いので「ベゼル」が増えた形になる。

Edge 840 SolarとEdge 530の実測寸法

540/840のボタン配置は530と同じで、左側面に電源と上下ボタン、右側面にOKとバックボタン、下部にスタートとラップボタンが備わる。
タッチパネル操作のEdge 830では側面のボタンが省略されていたが、Edge 540/840では筐体は共通タッチパネル搭載の840でも物理ボタンで全ての操作が行える


重量に関しては、Edge 530→Edge 540で4.5gほどの増量。
540/840ファミリーの中では、タッチなしソーラー無しのEdge 540が80.3gに対して、タッチ・ソーラー搭載のEdge 840 Solarは88.9gと、8.6gほど重くなっている。

 Edge 540Edge 540 SolarEdge 840Edge 840 SolarEdge 530Edge 830
ソーラー –
本体サイズ57.8 x 85.1 x 19.6 mm(公称)
58.1 x 85.2 x 19.7(実測)
50 x 82 x 20 mm(公称)
51.8 x 85.8 x 20.2(実測)
画面サイズ2.6インチ
246 x 322
2.6インチ
246 x 322
重量80.3g84.9g84.8g88.9g75.8g79.1g
稼働時間26時間32時間26時間32時間20時間20時間
バッテリーセーブモード42時間60時間42時間60時間データなしデータなし
メモリ16GB32GBデータなしデータなし
価格(本体のみ)¥54,800¥69,800¥74,800¥52,800
価格(セット)¥69,800¥74,800¥64,780¥74,800
Edgeシリーズ スペック比較表

ところで、Edgeシリーズはしばしばマウントのツメ折れが問題になる(私は折れたことはないが…)が、Edge 840 Solarはこの部分が2本の小ねじで固定された別パーツになっており、取り外せる仕様となっていた。

視認性が低いカラー液晶ディスプレイ

Edge 540/840のディスプレイは2.6インチ 246×332ドットで、530/830シリーズとスペック上の変更は無い。ただ、パネル自体は異なる製品のようだ。

左から、840Solar、530、130Plus

最も不満を感じるのがこのディスプレイだ。カラー液晶は視認性が劣りがちだが、全体的にコントラストが低く視認性が悪い。特に薄暗い場所ではひと目で表示内容を読み取れない。
530と比較すると、視認性はほぼ同じ。バックライト輝度については、530は明るすぎたが840は暗すぎる(輝度自動調整の場合)。

Edge 130 Plusのモノクロ液晶と比べると差は歴然(写真では伝わりづらいが…)。カラー液晶は背景が暗く、黒い文字も薄く感じられる

530→840で、フォントサイズがやや大きくなった点は改善と言える。

バックライト点灯中(左が840Solar、右が530)

起動時間

電源オフからの起動時間は、

  • Edge 530:15秒
  • Edge 840 Solar:13秒

と、高速化されたが体感上の差はあまり感じない。

むしろ、スリープ状態から数秒で復帰できるEdge 530に対して、後述の不具合対策のため、いちいち電源オフにしなければならないEdge 840 Solarのほうが実質の起動時間は長い。

音量

Edge 530に比べて、Edge 840 Solarの音量は大きくなった

走行中でもアラート音を聞き取りやすいが、ソフトウェアがリッチになったせいで、

  • 一時停止・再開
  • ナビゲーション
  • クライムプロ
  • 急カーブ警告
  • 水分補給アラート
  • カロリー補給アラート
  • スマートフォン通知

などなど、お節介通知が山のように届く。集中して走っているときはかなり鬱陶しいので、必要ないアラートはオフにしよう。

特に急カーブ警告。そんなもの見りゃわかるし、通知音に気を取られて逆に危ない。

タッチパネル前提のインターフェース設計

Edge 540はボタン操作のみだが、Edge 840はタッチパネルが搭載され、画面タッチによる操作が行える

最近のガーミン製品はサイクルコンピュータ、スマートウォッチともに、上位機種を中心にタッチパネルを搭載している。濡れた手でも誤作動が少ないようチューニングされているが、そこはアウトドア用製品で実績あるガーミン。汗や雨がかかる環境、あるいは水中での利用を前提に、タッチパネルを無効化しても物理ボタンですべての操作を行えるような設計になっている。
Edge 840の場合、タッチパネルは本体左上の電源ボタンメニューよりオンオフ切り替え可能だ。(タッチ無効時でも、ライド中の画面遷移は左右スワイプで行える)

ただ、本機のユーザーインターフェースは明らかにタッチパネル操作が前提になっている
画面デザインはタッチ操作向きだし、地図の操作やライド保存後のアクティビティ確認画面、ウィジェットの操作など、タッチ&スワイプが使えないと非常に操作しづらい

速度やパワー・心拍数など、データを表示するだけのデバイスを求めているならEdge 540で十分だが、
ガーミンならではの機能を活用したいなら、絶対にタッチパネル付きのEdge 840を選ぶべきだ。

ホーム画面とウィジェット機能

GPSロガーとしての性格が強かった従来製品に対して、540/840/1040シリーズはスマートウォッチ的なソフトウェアになった。
ホーム画面では前回のライドや最近のトレーニング履歴を確認できる。

リッチになったホーム画面(左が840Solar、右が530)

また、新たにウィジェット機能も導入された。画面を上から下にスワイプすることで、スマートフォンのコントロールセンターのようなウィジェットが展開され、センサー接続やディスプレイ輝度を設定できるほか、スマートフォンへの通知確認、天気予報のチェック、音楽の再生・停止(リモコンとして動作)等が行える。

画面の種類やメニューの階層を理解するまで少し時間がかかった。シンプルなGPSサイクルコンピュータを求めていた人は戸惑うかもしれない。

地図表示

タッチ操作により、地図の拡大縮小やスクロールが直感的に行える。 

Edge 530では(スクロールが面倒で)ほとんど使わなかった地図機能だが、Edge 840では広域表示で全体のルートを俯瞰したり詳細表示で曲がり角をチェックしたり、状況に応じた地図操作が行いやすくなった。

ハイコントラスト表示の地図

また、地図の配色にハイコントラストというオプションが追加され、道路の視認性が改善された。

夜間に黒背景の反転表示にならない不具合…というか仕様があるそう(参考)だが、私は白背景でしか仕様しないため、この点は無評価。

ワークアウトサマリー

ライドを終えてログを保存すると、内容が表示されるが、Edge 530よりかなり充実しており、画面をスクロールすることで各種データを詳細に確認できる。

ただ、読み込みに多少時間がかかるうえ、OKボタンを2度押さないとホーム画面に戻れないため、若干のストレスがある。

表示データ項目の設定

従来機種では面倒だったトレーニングページの項目設定が直感的に行える。

長押しタップ→もう一度タップすると項目編集が可能。長押し後、他の項目をタップすると位置を入れ替えることもできる。

また、表示項目はGarmin Connectアプリ上でも設定できるようになった。

タッチパネルは あと一歩

タッチパネル自体はよくチューニングされており、スマートフォンのようになめらかに操作できる。

とはいえ、ソフトウェアの作り込みに惜しい点が見られる。

夜間、バックライトを点灯させるために画面をタップすると、メニュー画面が現れて項目が隠れてしまう。
また、前述の通り表示データ項目はタップ&ホールドで場所の入れ替えや項目変更を行えるが、走行中はこれを不意に操作してしまうことがある。
特に、静電式タッチパネルが誤作動しやすい雨天時はストレスが溜まる

ひょっとして明るい部屋で、ローラー台の上でしかテストしていないのだろうか?
画面タップ時はバックライトONのみ、データ項目編集は編集画面でのみ可能にするなど、ソフトウェアアップデートでの改善を望みたい。

GPS機能の強化

高精度GPSに対応

Edge 840は複数の衛星情報を利用するGNSSマルチバンドモードに対応し、山間部やビルの影といった場所でも高い位置精度を得られるようになった。

一部のデバイスでは2周波数帯の信号を受信できるマルチGNSS*マルチバンド機能が搭載され、位置情報の精度をこれまで以上に向上させることができます。

GNSS* :Global Navigation Satellite System(全地球衛星測位システム)

GNSSマルチバンド機能があるデバイスを他のモデルと比べてどのようなメリットがありますか?:

  • 2周波数帯を受信できるマルチバンド機能で、より安全で連続的な軌跡を記録できます。干渉が多い環境(例えばビルが乱立する都市部など)でデバイスを使用する際に、位置情報の精度が向上します。
  • 2周波数帯を受信することにより障害物に反射した信号を検出(および除去)するので、1周波数帯受信機種よりも位置情報の精度が向上します。(※下図参照)
  • 大気の影響(電離層エラーなど)によって生じる誤差を考慮し、修正します。
  • 理想的な条件でデバイスを使用した場合、他の機種の位置情報の精度は約±3m以内ですが、2周波数帯を受信できる本機能を活用することで、約±2m以内の精度を実現します。
Garmin

実用上、精度の差がどの程度あるのか確かめるため、

  • Edge 530:GPS+GLONASS(マルチGNSS相当)
  • Edge 840 Solar:マルチGNSSマルチバンド

に設定し、山間の下り区間でログを比較した。

なお、ガーミン装着位置による精度への影響を取り除くため、2台のEdgeは自作のデュアルガーミンマウントに並列に固定した。

ベースにはアルミ鍛造で非常に剛性が高い、CATEYEのアウトフロントブラケット OF-200を使用している。

以下の図はログの一部を抜き出したものだが、概ね道路をトレースしているEdge 840 Solarに対して、Edge 530は丸で囲った箇所で道路を外れてしまっている

ただ、マルチGNSSマルチバンドモードはバッテリー消費量が多いので、多少の誤差を許容するならマルチGNSSモード、またはGPSモードを使用するほうが良さそうだ。

Edge 840 Solarの公称駆動時間(バックライト輝度 自動)

  • マルチGNSSマルチバンド…24時間
  • マルチGNSS…28時間
  • GPS…29時間

高度補正機能

Edge 540/840シリーズでは、内蔵地図の標高データを利用して高度補正を行う機能が実装された。
スタートボタンを押すと、現在地の高度に補正される。

ただし、ガーミンの高度は気圧と温度センサーの測定値より計算されているため、空調の効いた部屋からガーミンを出した直後など、本体が外気温に馴染んでいないと温度変化に伴って高度も変化してしまう。

パワーメーターも温度変化で影響を受ける場合があるので、特に真夏や真冬はライド前にバイクを外に出して、10分くらい外気温に慣らすのがおすすめだ。

ロングバッテリーライフとソーラー充電

前世代のEdge 530は、バッテリーライフが20時間(GPSモード)だったが、Edge 540/840は、高精度だが消費電力の多いGNSSマルチバンドモードで26時間使用可能。
さらに、Solarモデルでは、消費電力の一部をソーラー発電で賄うことで、最大32時間のバッテリーライフを実現している。

※75000ルクス(晴天)下において

日をまたぐようなスーパーロングライドはもちろんのこと、普段の使用でもこまめな充電が不要となり使い勝手が向上した。
毎日自転車に乗る人でも、週1回充電すれば十分。充電回数が減ることで、リチウムイオンバッテリーの劣化も抑制できる

消費電力はGPSモードとバックライト輝度によって大きく上下する(詳細は検証記事を参照)が、概ねカタログ値通りの動作時間が得られる。

なお、充電端子はようやくUSB Type-Cとなった
端子は本体下部にあるが、蓋の嵌合がゆるく外れやすい。

パワーメーター連携機能

Edge 540/840/1040には、ホビーサイクリストの間でも一般的になってきたパワーメータと連携し、より効率的に走るための機能

  • リアルタイムスタミナ
  • パワーガイド

が搭載されている。

同機能はfenix 7シリーズforerunner 955/965でも利用可能である。

リアルタイムスタミナ

現在の残りスタミナをリアルタイムに表示できる機能で、

  • スタミナ無酸素運動で減少し、レストで回復する。
  • 潜在的なスタミナスタミナ回復の上限で、サイクリングを続けると徐々に下がっていく

の2種類が表示される。

Edgeシリーズの場合は、推定走行距離も表示される。何度かライドを行うことで、スタミナや推定距離はより正確に計算されるという。

スタミナおよび潜在的スタミナが0にならないよう走行ペースを調整することで、サイクリング終盤まで体力を温存できるというわけ。

下図はローラー台でのワークアウトの例だが、VO2MAX域のインターバルでスタミナが消費され、FTPを下回る区間では回復していることが読み取れる。
また、潜在的スタミナ自体はワークアウトの進行に伴ってどんどん下がっている。

ワークアウト開始時と比較し、終了時の潜在的スタミナは半分ほどになっているため、体力的には同じメニューをもう一度繰り返すことは可能だが、その場合、L4→L5→L6と段階的にパワーが増す最後の区間でスタミナを使い果たし、ワークアウト完遂できないだろう、と予想できる。

パワーガイド

パワーガイド機能は、予め作成したコース(15km~400km)に対して、最適な走行パワーを表示してくれる機能。

パワーガイドはデバイス上、またはガーミンコネクト上で作成可能。勾配に合わせて区間を自動分割し、区間ごとのターゲットパワーを設定してくれる。

「エフォートレベル」のスライダーを左右に動かすことで、追い込み具合を調整可能

パワーガイドを設定したコースを読み込むと、トレーニングページにパワーガイド画面が自動追加される。

画面上端には区間の残り距離が、その下には左から

  • 3秒平均パワー
  • ガイドパワー
  • 区間平均パワー

が並ぶ。

ガイドパワーをオーバーしている時は、3秒平均パワーが赤字でハイライトされる。

その下にはパワーガイドの推移グラフやマップが表示されている。

パワーガイド画面

さて、パワーガイド機能を普段の練習コースで実際に使ってみたのだが、正直実用レベルとは言い難かった

まず、ガイドパワーの設定が不適当だ。
エフォートレベルを上限付近に設定したので、上り区間ではVO2MAX域下限付近でのペダリングを要求され、かなり追い込まれる。108%FTPで5分踏まされて死ぬかと思った。
一方で、平坦区間はかなりヌルく、L2ゾーンだし、下り区間では頻繁に0Wになる。こんな極端に上りだけ頑張る走り方が効率的とは言い難い

139Wって…

さらに、区間中の勾配変化には対応できないことや、GPSや標高マップの誤差、トンネルの影響もある。

実際のサイクリングを、パワートレーニング的な走り方に落とし込むアイディアは悪くなかったが、現状ではオモチャにすらならないという評価だ。

たとえば、FTPをもとに上り区間の継続時間を推定し、それこそリアルタイムスタミナを加味してペース配分(例えば短い上りはハイパワーで、長い登りは低めのパワーで)できるようになれば有用な機能になるかもしれない。今後の開発に期待したい。

初回購入特典(不具合情報)

「初回購入特典」こと、ガーミン新製品の不具合について。

充電端子の蓋

前述したが充電端子の蓋の嵌合が甘い。
走行中の振動で蓋が外れ、充電端子がむき出しになっていることが何度もあった。

これで水没した場合は保証が効くんだろうか。

ハングアップ(フリーズ)

定番のハングアップは設定中に2~3度あり、強制的に再起動された。

一方で、(最長160kmほどのサイクリングでしかテストしていないが)ログ記録中の不具合は無かった。

数100km・数10時間以上におよぶ長距離・長時間駆動時の検証はランドヌールに任せよう…

スリープ復帰後のペアリング障害

Edge x30系以降の機種では、電源ボタンを短押しするとスリープに移行し、次回素早く起動できる。
しかしEdge 840 Solarはスリープ解除後、パワーメーター等のセンサーと再ペアリングできないことがある。この状態になると、本体の再起動が必要になる。
2023/06現在、何度かのソフトウェアアップデートを経ても直っていない。

幸い、電源オフからの起動時間もさして長くないのでスリープ機能は使用せず、長時間の休憩時にはEdge 840の電源をオフにする運用を行っている。

バッテリードレイン(異常消耗)

走行中、タッチ・ボタン操作のレスポンスが悪化することがあった。
バッテリーの消耗ペースも異常だった(30分で10%以上)ため、ソフトウェアが暴走していたのかもしれない。

電源オフを試みたが、途中ハングアップしたため、長押しで強制電源オフ。
再起動後は症状が解消された。

ガーミンのソフトウェアは数多くの不具合を抱えているが、再起動で直るのは美点で、流石アウトドアGPS機器メーカーと思える。

アビオニクス(航空機用)製品がフライト中にハングアップした場合も、再起動で直るんだろうか。

まとめ:4年分の進化と、立ち位置の変化

4年ぶりの新製品となったEdge 840 Solar。バッテリー駆動時間が伸びたり、高精度GPSが利用できるようになったりと、ハードウェアの進化は実感できた。
ただ、使い勝手に直結する液晶ディスプレイの視認性に改善が見られなかった点は残念だ。

ソフトウェア面については評価が難しい。なんとなく、GPSサイクルコンピュータ市場での立ち位置の変化が感じられた。

従来のGarmin Edgeシリーズはトレーニングデバイスの側面が強くGPS他各種データの表示と記録に加えて、地図表示やルートナビが行える程度の製品だった。
しかし今作(x40世代)は、スマートウォッチ的な、リッチなインターフェースになった。

Edge 840 Solarに触れた第一印象は、辛辣な言い方だが「GPSサイクルコンピュータに、余計な機能を山盛り載せてきたな」というものだった。

ガジェットオタクのオモチャとしてはそれでいいかもしれないが、シリアスサイクリストのトレーニングデバイスとしては、もっとシンプルであってほしいというのが個人的な見解だ。
ガーミンコネクト上で確認できるデータを、わざわざEdgeの小さな画面上で見る必要もない。

ややこしいガジェットオタクにとって、無用な高機能化はクールじゃないのだ。

ただ、現在はWahoo、Bryton、iGPsportsなど、ガーミン以外にも多くの選択肢がある。より安価な他社製品との差別化のためには高機能化が必要だった、という事情もなんとなく察することができる。

ガーミンタワーは今後も高くなるはず…

私がガーミン製品を選ぶ理由は、ガーミンコネクト上で「ライフログ」と「ライドログ」を統合管理できるからなので、今後もガーミンウォッチ・Edgeシリーズともに新製品を買い続けると思う(新製品になるほど取得できるデータが増えるし…)が、
今後高機能化・高価格化の路線に進むであろうガーミンは、一般サイクリスト層にどこまで受け入れられるだろうか。

P.S. リアルタイムスタミナは結構楽しめたが、パワーガイド機能はお粗末に過ぎる。高機能路線で差別化するなら、ちゃんと作ってほしい。