自転車のタイヤに書いてある23cや25cといった数値は幅(mm)を示しているが、リムの幅が変わればタイヤの幅も変わる。
旧ETRTOで幅26mm(26-622)のグラベルキングをいろんな幅のリムに履かせて、実測値を測ってみた。
ETRTO規格
自転車のタイヤサイズは、インチだのミリだの、WOだのHEだの大変ややこしいため、製品にはETRTO(エトルト)規格に従ったタイヤサイズが併記されている。
ETRTO規格のタイヤサイズは
幅[mm]-ビード座直径[mm]
で表記され、ロードバイクの700x25cであれば25-622、ブロンプトンの16×1.5インチタイヤは35-349と表される。
リム幅が変わるとタイヤ幅も変わってしまうため、従来のETRTO規格ではリム内幅15mmを基準としてタイヤ幅を決めていたが、リムのワイド化に伴いETRTO規格が改定された。
新ETRTO規格(ETRTO STANDARDS MANUAL 2021以降)では25c, 28cタイヤのリム幅の基準が19mmとなっている。
とはいえ、既存モデルの金型を全部作り直すわけにもいかないので、各タイヤメーカーは新製品から順次新ETRTO規格に対応している状況で、現在は新旧の規格が混在している。
リム幅とタイヤ幅を実測
用意したタイヤはパナレーサー グラベルキング(700x26c)。
このタイヤは旧ETRTO規格で設計されており、内幅15mmのリムで26mm程度の幅となる。
なお、テストに使用したタイヤは1500kmほど走行しており、若干サイズが膨らんでいる。
用意したホイール
手元にあった、以下3本のホイールで実測した。
- スピナジー XAERO LITE PBO (13c)
- フルクラム レーシング1 (15c)
- パワータップ AMP50 (17c)
測定方法
まずリムの内幅(ビードフックの一番出っ張った場所)をノギスで実測し、タイヤを組み付け後、タイヤ外幅を測る。
タイヤの空気圧で幅が若干変わるため、すべてのリムで内圧6barに統一した。
リム幅とタイヤ幅の関係は「リム幅2mmでタイヤ幅が1mm変わる」と言われるが、実際に測って確かめてみよう。
スピナジー XAERO LITE PBO (13c)
まずは一番リム幅が狭いスピナジーから。繊維スポークを使用した個性的なホイールだが、古いモデルなのでリムも狭い。
アルミリムで、PBOスポークのニップルを収めるためニップルホールは大きい。なおジョイント部は溶接されている。
リムの内幅を実測したところ、13.2mmだった。
タイヤを取り付け、6barでの外幅は25.4mm。
フルクラム レーシング1 (15c)
次はフルクラムのレーシング1。2012年頃購入したもの。なおTwo-way-fit仕様なのでチューブレス対応。
レーシングゼロとの違いはハブだけだったと思う。
リムの内幅は実測15.6mmとちょっと広め。
タイヤを組んだところ、6barで26.6mm幅になった。
パワータップ AMP50 (17c)
最後は、今回用意したホイールの中ではリム幅が最も広いパワータップの完組ホイール、AMP50。
ビードフック付きのカーボンクリンチャーリムで、内幅は実測16.9mmだったが、写真を撮り忘れた…
レーシング1よりリム幅が広いので、タイヤ幅も相応に広がると思ったが、意外にもレー1と同じ26.6mm幅だった。
まとめ
測定結果をまとめると以下のようになる。
ホイール | リム幅実測 | タイヤ幅実測 |
スピナジー XAERO LITE PBO (13c) | 13.3mm | 25.4mm |
フルクラム レーシング1 (15c) | 15.6mm | 26.6mm |
パワータップ AMP50 (17c) | 16.9mm | 26.6mm |
13cのスピナジーから15cのレー1の間では、たしかに「リム幅2mm:タイヤ幅1mm」の法則が成り立っている。
だが、レー1とパワータップを比べると、リム幅が違うのにタイヤ幅が同一だった。
予想だが、ビードフックの形状が影響しているのではないだろうか。
結局、「リム幅2mm:タイヤ幅1mm」はあくまでも目安で、フレームの許容するギリギリの太さのタイヤを履かせる場合など、クリアランスがシビアな場合は結局実際に嵌めてみないとわからない。
ちなみに、私のバイクは前後輪ともクリアランスが2mmくらい。コーナーでホイールがたわんだら擦りそうだ…