コロナウイルス感染症が猛威を振るう状況で三密を避けた行動が叫ばれるなか「じゃあ人気の無さそうな場所に行こう」ということで、都市部から離れた山中に造成された限界ニュータウン「茨木台ニュータウン」を訪れた。
茨木台ニュータウン
大阪府茨木市と京都府亀岡市の境目に位置する茨木台ニュータウン。
標高は500m。北摂のマチュピチュといえば聞こえがいいが、とんでもない。
地価が高騰したバブルの頃に造成されたが、ニュータウンとは名ばかりで、電車も通っていなければ学校も無い。
さらに、後述の通り大型車が進入不可で最寄りバス停まで1.5kmという、公共交通機関からは隔絶された環境にある。
最寄りのバス停まで20分、そこからバスに乗り、食料品や日用品が揃う街まで1時間、大阪市内への通勤となると、さらに30分はかかる。
大阪や京都へなんとか通勤可能で、まだ地価が上がっていない場所だったため、作ってしまったニュータウン。
バブルのさなかは地価が上がり続けていて「今すぐ家を買わないとマイホームは一生手に入らない」という雰囲気があったという。
なお「茨木」と名がついているが、実際の住所は京都府亀岡市。千葉のディズニーランドかな?
ルートマップ
新名神高速道路 茨木千提寺IC方面から府道43号線を北上し、見山郵便局付近の、府道109号線への分岐がスタート地点。ここを起点にしてぐるっと時計回りに周るルートを設定した。
ニュータウンへのアプローチ
今回はロードバイクではなく、ブロックタイヤを履いたシクロクロスで出発。
道中で短いグラベルライドを楽しみつつ、スタート地点の分岐へ。
府道43号線は程よい勾配のくねくねした道で、ロードバイクやオートバイにとっては格好のツーリングコースとなっている。
分岐を左に曲がって府道109号線に入ったら、2車線の緩い上り。
「青空市」の看板が見えたら「青少年野外活動センター」への案内に従って右折し、急勾配の坂道を登る。
2段構えのゲート
ニュータウンへの入り口には2重のゲートが設けられており、ここで外界と隔絶されるような雰囲気が醸し出されている。
1段目:青少年野外活動センターへのゲート
見立ダムニュータウンまでの道は青少年野外活動センターの敷地のため、無関係な車が通行しないようにゲートが設置されている。
車止めが何本か生えているだけなので遠目にはわかりにくいが、近づいてみると2車線道路を塞いでいることがわかる。
ただし、左側には普通車1台が通れるくらいの隙間があいていて、茨木台の住民はここを通って出入りしている。
ただ、5ナンバーのコンパクトカーならともかく、車幅1800mmを超えるような最近の乗用車は神経を使いそう。
救急車とか、工事のトラックとかはどうするんだろう。
2段目:茨木台へのゲート
1つ目のゲートを抜けて少し走ると野外活動センターの門が見えてくる。
分岐を右折すると茨木台ニュータウンに向かうが、ここから先の道路は茨木台の自治会が所有する私道のため、さらにゲートが設置されている。
ちょうど地元住民のスズキ・スイフトが通っていったが、結構ギリギリだった。
右折しながらのアプローチなので、車体が長い車だと内輪差で擦りそう…
北摂のマチュピチュへ
ゲートを抜けたあと、センターラインのない林道のような道を登ると茨木台ニュータウンに至る。
まず目に飛び込んでくるのは、コンビニエンスストアー「高田屋」
店先に自販機が2台ほど置いてあったが、営業している様子はなかった。
茨木台ニュータウンには(チェーンの)コンビニもなければ、スーパーも、病院も学校も無い(軽く散策してみたところ、酒屋さんはあった)。
ニュータウンというよりも、山間の集落というイメージがしっくりくる。
ただ、町並みは普通の住宅地と大差ない。どこかの町をまるごと切り取って、標高500mの山の中にカットアンドペーストしたような感じ。
住宅は空き家や空き地が目立つが、思ったより人が住んでいた。区画の半分以上は人が住んでいる感じ。
車なら20分ほどで電車の駅(彩都駅:梅田までは電車で1時間)に行けるので、不便ながら住めないことはないのかもしれない。
ただし、車を運転できない若者やお年寄りは大変そうだ。バスは1日に数本しか走っていない。
最高標高地点へ
茨木台のなかでも松風台と呼ばれる地区はもともと別荘地として造成されたが、これがとんでもない急斜面に張り付いている。
最大勾配は30%くらい。下から上まで250mほどの道だが、シクロクロスレース用の42×28Tでは踏み切れなくて途中で降りて押した。
最高標高地点は550m。マチュピチュ感ただよう展望を楽しめると思って登ってみたが、
周囲は木が茂っていて、見晴らしは皆無であった。
これだけの勾配だと、下りも怖い。ブレーキローターは、ボトルの水を掛けると蒸発するくらいの温度になっていた。
素盞嗚尊神社(スサノオノミコト神社)へ
あまり長居をするのも良くないので、茨木台を後にする。
もと来た道を戻るのは味気ないので、帰路は東側に抜ける。
棚田が広がる斜面を走って、素盞烏尊神社へ。
ルート上に神社があったので何の気なしに寄ってみたのだが、木々に囲まれていて落ち着ける場所だった。
周辺ではちょっとしたグラベルというか、シングルトラックも楽しめた。ブロックタイヤを履いたシクロクロスで来て良かった。
府道43号で最初の分岐に戻る
集落の細い道を下っていくと、府道43号線に合流する。
あとは快走路。下り基調の道路を快走して、最初の分岐に戻る。
秘境気分を味わえるコース
標高500mの山の中、2段構えのゲートを越えると突然現れる、急斜面にへばりつく住宅地。
北摂のマチュピチュこと茨木台ニュータウンからはバブル景気の異様な勢い(の痕跡)を感じられた。
ニュータウンの例に漏れず、茨木台でも高齢化が進んでおり、転居者もいないため人口は減る一方だという。
再開発されることも無さそうだし、遠くない未来、ゴーストタウンになってしまうのだろうか。
住宅地なので大勢で騒ぐのはいただけないが、近くを走るならルートに組み込んで、雰囲気を味わいに行くのも良いかもしれない。
今回のライドが思いのほか楽しめたので、日を改めて北摂バードタウンやローズタウンに訪問した。