InfoCrankのウェブサイトはパワーメーターマニアの読み物としてかなり楽しめるコンテンツが揃っている。
その中でも「A History Of Power Meters」では、パワーメーターの各方式について触れられており、パワートレーニングに取り組むサイクリストなら一度は読むべき内容。
InfoCrankを販売するVerve Cyclingに転載許可をいただいたので、記事を掲載する。
※挿絵やリンクは当サイトで追加
パワーメーターの歴史
パワーメーターの登場から30年以上経つとは信じがたいが、その間、サイクリストのトレーニングとレース両方に革命がもたらされた。
1980年代後半、SRMが発売した初めての市販パワーメーターは非常に高価で需要も少なかった。しかし、その技術と認知度が高まるにつれて需要は拡大して自然とコストも下がり、数1000ポンドから数100ポンドとなった。
今日、パワー測定は他のデータ(心拍数、スピード、ケイデンス等)と並んで、サイクリストが自分の成果を記録する方法のひとつとなっている。
しかし、パワー測定は他のデータと異なり客観的なデータである。パワーを測定することで、脚を踏み込むために要した生理学的プロセスの尺度を、即座にかつ直接的に得ることができる。
運動負荷を定量化する方法として、心拍数なども有用だが、長期間にわたる再現性や信頼性に欠ける。
※体調により心拍数が変化したり、長時間の運動で心拍ドリフトが発生する
過去30年に多くのブランドが市場に参入し、脚力を測定する新たな方法が生まれた。SRMのようにクランクスパイダーの変形で計測するのではなく、ペダル、ハブ、ボトムブラケット、あるいはチェーンでもパワーを測定できるようになった。
自身のパフォーマンスを追求する、あるいは単に興味を持っているサイクリストにとって、正確なパワー測定は基礎となるものだ。
ここでは、現在一般的なパワー測定方法を紹介する。
クランクスパイダー
この測定方法では、クランクに負荷がかかったとき、クランクスパイダーに発生するたわみ量を測定することでパワー出力を計算する。
この方法の明らかな欠点は、両足合計のパワーしか測定できないことで、片足のパワーを独立して測定できないため、生理学的な不一致を特定し、排除できないことだ。
前述のように、この方法はSRMのような先駆者が採用していたものだが、この技術は取って代わられたのは周知の通りである。
※QUARQは左右パワーバランスを測定できるが、単にペダル半回転ごとのパワーの比率を表示しているだけで、引き足は考慮されていない
パワーペダル
ペダル式パワーメーターはペダル踏力を直接読み取る。これは一見理想的に思えるが、実際のところ、ペダルとシューズの接点では機械的に様々な力が働いており、ここで正確な力を測定することは非常に複雑である。
他も明らかな欠点がある。それは、ペダルは自転車で最も突出した部分であり、特にオフロードでは、地面や木、その他路上の障害物と接触する可能性があるということだ。
もし激しくぶつけると、その衝撃は財布を直撃する。
パワーリヤハブ
リヤハブ式パワーメーターは、チェーンがカセットを駆動する力からパワー出力を測定する。
この方法のネックはドライブトレインの駆動抵抗だ。チェーンやギヤがクリーンに保たれている場合はともかく、ドライブトレインが常に同じ状態で無い限りは、駆動抵抗は一定にならない。
この方式はマウンテンバイクでは人気がある。というのも、ペダリングではなく地形の影響でクランクアームに大きな力がかかった時にパワースパイクが発生しにくいからだ。
なお当然ながら、この方式はタンデムレースでは無意味で、2人の選手の合計出力しか測定できない。
パワークランクアーム
このパワー測定法では、負荷がかかった時のクランクアームの変形を捉える。ペダルを踏んでバイクを駆動するとクランクアームは僅かにたわむが、そのたわみから駆動力を計算することができる。
クランク式パワーメーターには、片側のパワー測定値を単純に2倍する片脚パワーメーターと、両足を測定してヘッドユニットにデータを送信する両脚パワーメーターがある。
片脚タイプは、物珍しさから単にパワーを測定したいという場合にしか向かない。最高レベルの精度と再現性が得られる両脚パワーメーターこそ絶対的基準たりうる。
また、両脚測定によって、左右の脚の生理学的な不一致を特定し、修正することが可能になる。
これはInfoCrankが採用しているアプローチで、すべての電子機器をクランク内に収めて損傷から守るという利点もある。
パワーメーター購入を検討している場合、どういう製品が選べるかざっと理解できたと思う。
パワー測定は自らの脚力を理解する最良の手段で、高める最速の手段だ。
しかし、上記のようにすべてのパワーメーターが同じように作られているわけではないので、慎重に選ぶべきだ。
Verve InfoCrankは運動負荷を測定するための最も賢く、妥協の無いアプローチを取っており、それでいて手頃な価格を実現している。
これが、InfoCrankがベストなパワーメーターである理由だ。