パワーメーターを集めるのが趣味で、ついに所有するパワーメーターがバイクの台数を上回ってしまった。
パワーメーターの比較は以前にも行ったが、今回はコレクションに加わったInfoCrankの測定値をチェックするため、3台のパワーメーターを1台のバイクに取り付け、ローラー台でテストを行った。
実験① 一定ペースでペダリングする場合
一定のペースでペダリングした際、各パワーメーターの測定値の違いを調べる。
実走ではパワーの変動が大きくなってしまうため、Zwiftでカスタムワークアウトを作成し、固定ローラー上で実験を行った。
機材
以下3台のパワーメーターの測定値を同時に記録して、比較を行う。
- Verve InfoCrank(左右独立測定 クランク型)
- Garmin Vector J(左右独立測定 ペダル型)
- Saris H3(スマートローラー リヤハブ部分にパワーメーター内蔵)
実験中のパワー値記録にはAndroidアプリ IpWattsを使用した(スマホにAnt+ドングルを指して利用)。このアプリは複数のパワーメーターのデータを同時に受信して1秒毎にロギングし、CSV形式で出力できる。
実験内容
暖気のため15分程度のフリーライドを行った後、各パワーメーターをゼロ点キャリブレーション。
その後、ケイデンス80~85rpm、ギヤ52x14Tにて
3セット×(160W 3分→240W 3分→320W 3分)
というワークアウトを実施した。
ワークアウト中の負荷はSaris H3スマートローラーのERGモードで自動調整される。
結果と考察
測定結果のグラフ
Infocrank, Vector, Saris H3のパワーデータは、次のグラフのようになった。
細かい変動があって見づらいので、30秒ごとの平均パワーをプロットすると以下の通り。
3台ともパワーが揃っているように見えるが、グラフだとわかりにくいので平均パワーの数値で比較する。
全体の平均パワー
まず、ワークアウト全体を通した平均パワーは、Infocrankが僅かに低いもののほか2台に比べて2W未満の差。
パワーメーター | 全体平均パワー [W] |
Infocrank | 238.2 |
Vector | 239.5 |
Saris H3 | 239.7 |
各ゾーンの平均パワー
次に、160W, 240W, 320Wそれぞれのゾーンにおける平均値を比較した。
パワーメーターによって癖があり、Vector Jは160WだとSaris H3より低めに、逆に、320Wでは高めの測定値になっている。
とはいえ差は僅かで、一定ペースでペダリングする場合、 Infocrank, Vector, Saris H3のパワー測定値はほぼ同じ数値となるといえる。
実験② インターバルを行う場合
実験①では一定ペースでペダリングを行ったが、実際のサイクリングやレースでは、パワーはもっと激しく上下する。
そこで、L6(無酸素)インターバルを行うZWIFTワークアウト Capacity Into Sweet Spotを行ってパワー測定値を比較した。
機材
使用するパワーメーターとデータの記録方法は実験①と同様。
- Verve InfoCrank(左右独立測定 クランク型)
- Garmin Vector J(左右独立測定 ペダル型)
- Saris H3(スマートローラー リヤハブ部分にパワーメーター内蔵)
実験中のパワー値記録にはAndroidアプリ IpWattsを使用。
実験内容
ワークアウト Capacity Into Sweet Spotを行ってパワー測定値を比較した。
ギヤは適宜変えていたが、52×14~19Tあたり、L6インターバル区間でのケイデンスは95~105rpm、L3区間では平均80rpm程度だった。
結果と考察
測定結果のグラフ
Infocrank, Vector, Saris H3のパワーデータは、次のグラフのようになった。
次に、急激にパワーが変動する部分を拡大して見ていく。
150% L6ダッシュ(400~500秒)
ウォーミングアップの最後に行うL6ダッシュ
2セット×(150% L6 10秒+50% 50秒)
を拡大。
1本目(踏みすぎた)は、ピークで800W弱出ているが、Saris H3は(ERGモードを使っている影響もあるかもしれないが)瞬間的なパワーは取りにくいようだ。
125% L6(2250~2550秒)
次は、メインセットの最終セット
2×(125% L6 1分+65% 1分)
の部分を切り抜いた。
脚に一番近いVectorが最もレスポンス良く反応しているように見える。
まとめ
3台のパワーメーター
- Valve Infocrank
- Garmin Vector
- Saris H3
のパワーを同時に記録し、測定値を比較した。
結果
- 一定ペースでペダリングする場合、3台ともほぼ同じ測定値を表示する
- 急激な踏み込みに対しては、脚に一番近いVectorが最もレスポンス良い。
- 逆に、Saris H3はパワーの上下動が少ない。
ということがわかった。
パワーの欠落やスパイクは見られなかったので、とりあえず、Infocrankは信用しても良さそうだ。