散々待たされたが、ようやく新型デュラエースR9200系と、新型アルテグラR8100系が同時に発表された。
細かいポイントはあちこちのニュースサイトに載るだろうから、個人的に気になったポイントをまとめる。
R9200系 DURA-ACE
R9100から5年ぶりのモデルチェンジとなるデュラエース。
R9200系のポイントは以下の通り。
- リヤ12速化
- Di2のみラインナップ
- 油圧ディスク用レバーはセミワイヤレス化
- リムブレーキもラインナップ(ただし有線Di2)
リヤ12速化
スラムはとうに12速、カンパなんて13速を製品化している(EKAR)なか、ずっと11速だったシマノもようやく12速化。
スプロケット
ギヤレンジが広がったことで、スプロケットのラインナップはわずか2種類になった。
ギヤの組み合わせは以下の通り
- 11-30T: 11-12-13-14-15-16-17-19-21-24-27-30
- 11-34T: 11-12-13-14-15-17-19-21-24-27-30-34
個人的には、2種類に絞るのはちょっと乱暴だと思う。
普段12-25Tの11sカセットを使っていて便利に感じていた18Tがないのはちょっと不満。
歯の形状も進歩し、MTBシリーズ同様にトルクを掛けながらでもスムーズに変速できるようになっている。
チェーンリング
一方、組み合わせるチェーンリングの歯数は
- 50-34T
- 52-36T
- 54-40T
の3種類に。長年の定番53-39Tが1tずつ大きくなった54-40Tが面白い。
歯数を増やすことで、チェーン駆動の駆動効率を高めることを狙っている。
例えばスラムはAXSでリヤ10Tにしてフロントチェーンリングをコンパクトにする選択をしたが、プロのレース現場では従来の大きなチェーンリングが使われている。
ローギヤが大きいので、普段ノーマルクランクを使う人なら十分踏めるはず。
ただ、トップは54x11Tかぁ…これを使い切るクレイジーなサイクリストは僅かだろうなぁ…
ギヤ比に関しては別記事で考察。
チェーン
チェーンは、既に発売されているMTB用コンポの12sチェーンと共通。
つまり、安いDeoreのチェーン(CN-M6100)が使える。
フリー規格は後方互換性あり
12s化に伴い、フリーの形状が変更された。
12sフリーは、MTBのマイクロスプラインハブのように、スプラインが多い形状になっている。
これは、アルミフリーの噛み込み問題への対策と思われる。シマノは鉄やチタン(上位モデル)のフリーボディで噛み込み問題に対処してきたが、ようやく根本的な対策に乗り出してくれた。
(正確には、以前スプラインの高さを増した10s専用フリーというものがあったが…)
ただし、スプラインの形状が工夫されていて、12sカセットを従来の11s用フリーに取り付けることは可能。
逆に、11sカセットを12sフリーに取り付けることはできない。
強度に問題を抱えたフリー形状をいつまでも使うわけには行かないし、この決断は支持したい。
Di2のみラインナップ
7900系でDi2が登場して以来、先代のR9100まではワイヤー引きとDi2がどちらもラインナップされていたが、ついにDi2専用となった。
Di2の変速スピードやライダーへの負担の少なさ、スイッチの拡張性など、ワイヤー式に対する優位性は明らか。
信頼性もレース現場で十分実証されたといえるため、フラッグシップはDi2に一本化する判断をしたのだろう。
油圧ディスク用レバーはセミワイヤレス化
待望のセミワイヤレス化。レバーのみワイヤレスになっており、前後ディレイラーはケーブルで1つのバッテリーに繋がっている。
要するにレバーはリモコン。左右それぞれのSTIにCR1632ボタン電池を使用し、電池寿命は1年半~2年とのこと。レバーのツノの部分に電池ボックスがあるため、交換は簡単に行えそうだ。セミワイヤレスながら、従来どおりの有線接続もできるらしい。
リヤディレイラーにはジャンクションAの機能が統合され、バッテリーの充電ポートもここに設けられる。
E-tubeケーブルの規格も変更され、より細くなった。
旧型ケーブルを使用するレバー(TT向けなど)と接続する場合は、別途用意される変換ケーブルを使うことで対応できる。
変速性能は先代に比べてさらに向上しているという。
リムブレーキもラインナップ(ただし有線Di2)
リムブレーキ消滅の噂もあったが、「一応」ラインナップされる。
ただしR9150シリーズのSTIレバーとブレーキキャリパーをベースに色を変えた程度。
こちらはセミワイヤレスではなく、有線接続のみとなっている。
R8100系 ULTEGRA
同時発表のアルテグラについて、基本的な仕様はデュラと同じ。
こちらもリリースはDi2のみ。デュラエースと同じく、機械式コンポは用意されないのだろうか。
チェーンリング
チェーンリングは
- 50-34T
- 52-36T
の2種類。
ノーマルクランクはやっぱりなくなってしまった。
フロント16T差は緩い斜面で少々使いづらく感じるので、53-39T、あるいはそれに準じる、フロント14T差のオプションが欲しかった。
デュラ・アルテどちらもパワーメーターをラインナップ
先代デュラではFC-R9100-P パワーメーターがラインナップされていたが、今回はデュラエース・アルテグラともにパワーメータークランクが用意される。
基本的な構造は同じように見え、左右クランクアームに貼り付けたひずみゲージで左右独立測定しているように見える。
コンポーネントメーカー自ら開発・販売するパワーメーターならば、既製品に取ってつけたような製品ではなく、INFOCRANKみたいにクランク設計からパワーメーター内蔵を盛り込んでほしかった。というのが率直な感想。
実売価格にもよるが、これなら4iiiiでいいじゃんって思ってしまった。今作一番のガッカリポイントだよ。