12/25 関西シクロクロス第7戦 ビワコマイアミランド

世間はクリスマスだが、関西シクロクロスは平常通りにレースが開催。
第7戦は関西CX伝統のビワコマイアミランド。長い砂浜区間が選手を苦しめる「砂地獄」で知られる会場だが、今年は雨模様で、砂浜が締まってイージーに。
一方で草地の区間はぬかるみ、珍しい「泥のマイアミ」となった。

12/25 関西シクロクロス第7戦 ビワコマイアミランド

コースコンディション:小雨、砂+草地(泥)

リザルト:11位/71名(9周回 +6:26 順位15% フルラップ完走18名)

機材

Ridley X-Night Disc 2号車

  • 前輪: Shimano WH-R8170-C36 / Panaracer CGCX + Insert / 1.5bar
  • 後輪: Shimano WH-R8170-C36 / Panaracer CGCX + Insert / 1.5bar

※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準

動画

すくみずログ YouTubeチャンネルでレース動画を公開中

レース会場

ビワコマイアミランド、通称「マイアミ」は、北米大陸の東海岸…ではなく、滋賀県の琵琶湖東岸に位置するデイキャンプ施設。
フロリダのマイアミビーチを連想させる砂浜が広がっている。
関西シクロクロスの会場としては歴史が古く、過去には全日本選手権も開催された。

マイアミの「砂浜」

コースは、長い砂浜区間をメインに、松林を縫うように走るコーナーセクションを組み合わせたレイアウト。

砂区間は実力の差が出やすく、同じカテゴリでも1セクション10秒の差がつくことがある。
轍を精密にトレースするテクニックと、路面抵抗に打ち勝つパワー、高い集中力が重要だ。

関西シクロクロス

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試走とセッティング

シクロクロスに限らず、オフロードレースは一般的に、路面が濡れると難易度が上がる。
路面は緩み、土はぬかるんだ泥になるし、露出した石や根っこは滑りやすくなる。パンクのリスクも高まる。
濡れたコースを攻略するには、より高い技術が要求される。

しかし砂の場合は正反対で、濡れたほうが走りやすい。
ドライコンディションでは、砂はフカフカでタイヤが潜り込み、大きな走行抵抗を生むとともにハンドリングを乱すが、水分を含むとしっかりと締まり、硬い路面に変わるからだ。

前日試走の土曜日、会場周辺は薄く雨雲がかかっており、小雨が降ったりやんだりという天候。試走してみて、今年の「砂地獄」はここ数年で最もイージーという感想を抱いた。

レース当日の天候も曇り時々雨。今日は一日中不安定な空模様だ。
コースコンディションはというと、午前のレースで砂区間が踏み固められ、より難易度が下がった一方、草地区間はヌタヌタの泥へと変貌していた。
昼試走を走った感じ、タイヤチョイスはマイアミのセオリーに従わないほうが良さそうだ。すなわち、砂用のスリックタイヤではなく、ある程度ノブがあるタイヤのほうが総合的に速いはず。

とはいえ、私は最初からCGCXを使うつもりだったので、バイクセッティングに変更はなし。空気圧も普段のレースより若干低めの1.5barにセットした。

そろそろウォーミングアップ…という時間に雨脚が強くなって気持ちが萎えたものの、断腸の思いでエナジージェルを飲んで、イナーメのアップオイルを塗る。

最近急に冷え込んだうえ天候も悪いので、チャンシスの長袖ワンピースの下にメッシュインナーとモンベルジオラインLWを重ね着。
さらに、今日はニーウォーマーを着用した。カステリのナノフレックスという、撥水素材のもの。真っ白のニーウォーマーが浮いているが、白だけセールだったので…

ローラーでいつものウォーミングアップをこなし、時間ギリギリに招集へ…

先月下旬からの不調からまだ抜け出せていないが、さて、今日はどこまで走れるか…

レースレポート

今回は達海、伸元という関西CXで最も勢いある2名に加え、村上功太郎、竹内遼、そして竹之内悠と、強豪メンバーが揃っている。
1月に行われるシクロクロス全日本選手権の調整か、あるいは、会場となる愛知のワイルドネイチャープラザ(WNP)が砂コースのため、予行演習としてエントリーしたのだろうか。
ともかく、上位5つのシートは予約済みというわけだ。現実的な目標としては、できれば10位までに入れればいいな、といったところ。

Photo マルコマルオ

私自身は3週間ぶりのレースでただでさえ調子が狂うのに、隣には竹之内悠。緊張のせいで、スタートダッシュが若干遅れた。
集団に埋もれて1コーナーへ。しかもアウト側から入ってしまい、さらにポジションを落とす。
順位としては10~15番手といったところだが、5番手と10番手じゃ雲泥の差だ。走り方の自由度が全く違う。

序盤の砂区間を抜けると、湖岸道路側の草+泥の区間。ここはさらにストレスが溜まる。
砂用に、ヤスリ目パターンのスリックタイヤを履いた選手が多く、コーナーが遅くて詰まる。

モタモタしている間に上位選手はさらに先行していき、焦りが募る。

とはいえフィジカルは依然として不調。ストレートでガツンと踏めず、パックから抜け出せない。
パワーが無いならテクニックでタイムを稼ぐしかないが、ぬかるんだ路面でバイクを自在に曲げるFDや、流れるようにスムーズに走るコッシーと比べると、バイクコントロールの面で格下の私。コーナーが続く区間ではついていくのがやっと。

未熟なテクニックと不調のフィジカル、これに焦りがトッピングされると、大きなリスクとなる。

2周目、砂区間で前が詰まっていたので、何を血迷ったかラインを変えて追い抜きをかけた私。
…深い砂に前輪が突き刺さり、派手に前転。
軽く擦りむいたくらいでバイクにも異常なかったが、この後も時折、ミスを繰り返すようになる。

4周目にも別の場所で前転。先程の大前転で平常心は取り戻していたのだが、スタートから30分が経って疲労が溜まり、今度はバイクコントロールが怪しくなってきている。
今回はすぐ後ろにいたコッシーを巻き込んでしまった。こういうのはお互い様とはいえ、申し訳ない…

この転倒で数名のパックに抜かれ、いったん単独になってしまうが、その後5周目にコッシー・斉藤さんとのパックに復帰した。

それにしても、今日のレースではコッシーの強さをひしひしと感じる。テクニックには定評ある選手だが、今季はフィジカルもついてきているように思う。
斉藤さんが泥にタイヤをとられ落車、私が引っかかった間隙を縫って前に出ると。直後のシケインをバニーホップで飛び越え、小さくなっていった。
…この時はまだ「そのうち捕まえられるだろう」なんて思っていたが、結局、二度と追いつくことはなかった。

レース前半は走りが乱れていたが、9周回のレース後半戦では気持ちを切り替える。
例年よりイージーとはいえ、砂区間は処理の良し悪しで簡単に10秒の差がつく。他の選手との駆け引きより、上手く、無駄なくコースを走ることに集中する。
仮に失敗しても、素早く降車してランに切り替えればタイムロスを最小限にできる。乗車にこだわって砂に突き刺さるよりずっと良い。

トヨカツに抜かれる場面もあったが、平常心。自分のペースで走る。

Photo マルコマルオ

ラスト2周回はタイムも持ち直し、安定してラップを刻む。
あまりに平常心すぎて、ゴール前で藤川さんに差されそうになったが、なんとか11位でフィニッシュ。最後にもがくのを習慣づけておいて良かった…

けっこう危なかった Photo 出羽

レースを振り返って

レース中は心拍も高く、不調から抜け出せていない感覚はあったし、ミスも多かった。これはさぞかし酷いラップタイムだろう…と思ったのだが、±10秒ほどに揃っている。
調子が悪い時はタイムはどんどん悪くなっていくし、ばらつきも大きい。そういう意味では、(絶対値はともかく)今日のラップタイム推移は好調時のものに近い。

もう疲労は抜けてる気がするので、そろそろ高強度トレーニングを再開して、負荷に適応していこう。

https://trouble-is-my.biz/apps/cx_laptime_chart_alternative/

反省点は、やはりミスの多さだろうか。特にレース前半、焦りから無理なラインを選択して、くだらないミスを繰り返した。
落ち着いて自分の走りができていれば、後ろで浮かれている昨年度全日本SSCXチャンピオンをギャフンと言わせられたろうに。

Photo マルコマルオ

最後に機材について。

これは上手く走れなかった言い訳だが、ホイールベースが短くハンドリングが過敏なリドレー X-NIGHTで砂はキツい。轍をトレースするのが難しいし、フロントセンターが短いため前荷重で刺さりやすい。

…まぁ、CXワールドカップに目を向けると、コクサイデでもゾンホーフェンでもX-NIGHTが勝ちまくってるけど。

また、珍しい「泥」のレースとなったマイアミだが、タイヤはCGCXがマッチしていたように思う。ぬかるんだ区間は流石にグリップ不足を感じたが、松林のコーナーセクションは走りやすかったし、砂区間も問題なくこなせた。
今日の正解は、やはりオールラウンドタイヤだ。

…が、今日の上位陣はみんなスリックタイヤを履いていた。結局、脚とテクニックなのだ。

今年のレースはこれで終わり。年末年始に調子を整えて、年明けの関西CX第8戦 希望が丘で好調をアピールできればと考えています。
応援・撮影・サポートありがとうございました。
良いお年を。

Photo ようかん