Panaracer Seal Smart BTS-120 / BTS-500 / BTS-1000
チューブレスレディ(チューブレスコンパーチブル)タイヤの組付けやパンク防止に使用するタイヤシーラント。
低アレルゲン素材を使用しており肌に優しく、シーラント特有のアンモニア臭がしない。
パンク穴を塞ぐ効果を高めるため、砕いたクルミ殻が配合されている。
パナレーサー PRパートナーとしてプロモーション活動を行っています。
本品はパナレーサー株式会社様より提供いただいた製品です
長所 -Pros-
- シーラント特有の嫌な匂いがしない
短所 -Cons-
- バルブから注入する場合はクルミ殻が無い方が良い
- やや乾燥しやすい
チューブレスタイヤとタイヤシーラント
MTBではホイールが26インチの時代から一般的だったチューブレスタイヤ。
チューブレスタイヤはチューブを廃し、タイヤとリムで気密をとる構造で、
チューブに空気を入れてタイヤの形を保つ一般的なタイヤと比べてエアボリュームが増し、しなやかで、転がり抵抗も低減される。
ここ数年では、ディスクロードやグラベルバイクの登場に伴い、ロード、グラベル、シクロクロスでもチューブレスタイヤが一般的になってきた。
組付けや運用上の問題も依然残ってはいるが、リム幅のワイド化でだいぶ扱いやすくなったように感じている。
チューブレスタイヤの規格はまだ混沌としている。
UST規格等、シーラント無しで気密を取るチューブレスタイヤもあるのだが、現在主流になりつつあるのはチューブレスレディやチューブレスコンパーチブル等と(各社バラバラに)呼ばれるタイプ。
こちらはある意味では不完全なチューブレスタイヤで、シーラントを併用して気密を取る必要がある。その代わり軽量かつしなやかで、タイヤ・リムの相性問題にも対処しやすい。
本来はパンク防止剤であるタイヤシーラント。しかし、チューブレスレディ規格ではタイヤシステムの一部であり、チューブレスタイヤ導入には欠かせないものとなっている。
タイヤシーラントは臭いもの?
タイヤシーラントのアンモニア臭
シーラントの定番といえばNoTubes。マウンテンバイカーならおそらく一度はお世話になったであろうシーラントで、入手しやすく、パンク時の効きも良い。
しかしこいつ、非常に臭い。
シーラントの主成分はラテックス(天然ゴム)だが、タイヤの中で勝手に固まると困るので、凝固防止剤としてアンモニアが配合されている。
アンモニアは特有の刺激臭があるため、部屋で整備中、うっかり床にこぼすと大変なことになる。
臭いだけならまだしも有毒で、アンモニアは呼吸器や目にダメージを与える。
また、アンモニアはアルカリ性で、アルミを腐食させる。
アルミリムを使用している場合、バルブ穴やリム内壁の傷がシーラントのアンモニア分に侵され、ボロボロになることがある。
シマノは以前、自社アルミホイールについてアンモニア配合シーラントの使用を禁止していた。
とはいえ、NoTubesなりJoe’s No Flatsなり、アンモニア配合のシーラントはパンク時の効きは良い印象がある。
アンモニアフリーのシーラント
アンモニアは臭い上、健康にもリムにも悪い。そこで、アンモニアフリーのタイヤシーラントが登場してきた。
ロハスだなんだと、環境負荷や健康への影響に神経質になっている昨今、アンモニアフリーのシーラントのほうが主流になっているように思う。
良いことづくめに思えるアンモニアフリーシーラント。しかし、アンモニア配合の製品と比べるとパンク時の効きが劣るという欠点がある。
そのため必要な使用量は多くなる傾向がある。
使用量が多いということは重量増になるし、容量単価が同じならコスト的な負担も増える。
パナレーサーのタイヤシーラント「シールスマート」
自転車用タイヤの総合メーカーであるパナレーサーは、チューブレスタイヤの製品展開も行っており、当然シーラントも用意されている。
パナレーサーの「シールスマート」は、低アレルゲンのタイヤシーラント。
シーラント特有のアンモニア臭がしないため扱いやすく、肌へのダメージも少ない。
また、砕いたクルミ殻を配合し、パンク時に穴がふさがりやすくなっている。
低アレルゲンで身体に優しい
シールスマートは完全なアンモニアフリーではないが、身体に害がない範囲に配合量が抑えられている。液は弱アルカリ性で、アルミリムへの攻撃性も抑えられている。
アンモニア臭は感じられず、淡い緑色の液体からはほのかにミントの香りがする。
タイヤ内にシーラントを入れた状態でビードを上げると、勢いよく爆ぜたタイヤが周囲にシーラントを撒き散らす事がある。
これがスタンズなら大惨事だが(経験談)、シールスマートならブツブツ言いながら拭き掃除するだけで済む。
漂うミント臭にはイライラを低減させる効果もありそう。
…でも、こういう作業は周囲を汚しても良い環境でやるべきだ。
クルミ殻を配合
臭くないというだけでとても扱いやすいシールスマートだが、指先でこねてみると、アンモニア臭いシーラントより若干固まりにくいように感じる。
チューブレスレディの気密取りには十分なものの、突き刺しパンク時の漏れ止め効果には不安が残る。
そこで、シールスマートはパンク防止効果を高めるため、砕いたクルミ殻を配合している。
こういった粒子を混ぜ込んでおくとパンクした際に穴にひっかかり、シーラントが効きやすくなる。
(MTBの)エンデューロレースでは、砕いた米をタイヤに入れることもあるらしい。
クルミ殻の効果もあって、シールスマートは最大6mmの穴を塞げるとされている。
パンク防止効果の持続期間
シーラントはタイヤ内でも徐々に乾いていき、パンク防止材としての効果が失われていってしまう。
この点については、シールスマートは若干乾きが早いように感じた。
2ヶ月ほど使用したタイヤを外したところ、乾いたシーラントが膜を張っていた。
効果持続期間は2~7ヶ月とされている。
一度チューブレスレディの気密が取れてしまえば、シーラントが乾いても空気が漏れ出したりはしない。
しかし、パンク防止効果に期待するなら、少なくとも半年ごとにはシーラントを継ぎ足す必要がある。
内容量と価格
内容量別に、1L、500mL、120mLの3種類のパッケージがある。
自宅用なら容量単価の安い500~1000mLが良いと思う。一方120mLはかさばらないので、レース用工具箱に入れておける。
シーラントの注入方法
シールスマートはクルミ殻を配合しているため、注射器等でバルブから注入すると内部で詰まる恐れがある。
説明書では、タイヤ内に直接注ぎ込むよう指示されている。
ただしこの方法、シーラントをこぼしやすい。タイヤを嵌めるときには注意しないと周囲がシーラントまみれになる。
また先程触れたように、ビードが上がる勢いで周囲にシーラントが飛び散ることがある。
付け加えるなら、ここまでやって(リムとタイヤの相性が悪くて)ビードが上がらなかったら悲惨だ…
説明書の指示からは逸脱するが、茶こしでクルミ殻を除去し、シリンジでシーラントを注入してみた。
パンク修理能力は下がってしまうだろうが、チューブレスレディタイヤの気密確保には十分だった。
MTBタイヤや太いグラベルタイヤの場合はタイヤ内に直接シーラントを注げるが、CXタイヤにインサートを入れた場合は、タイヤ内部にシーラントを入れる十分なスペースがなく、ビードを上げてからシーラントを注入したい。また、シーラントを継ぎ足す際にもいちいちタイヤを外すのは手間だ。
クルミ殻を配合することでシーラントの効きは良くなるのだろうが、バルブから注入できるクルミ殻無しのタイプもあれば良かった。
なおバルブは内径が大きく、できればサイドにも開口しているシーラント対応のものを使うほうが良い。
使用量の目安
シーラントの適正量はタイヤサイズによって異なるが、目安としては下表のようになる。
タイヤの種類 | 使用量[mL] ※タイヤ1本あたり |
ロード | 約30~45 |
シクロクロス/グラベル | 約25~60 |
MTB(26″/27.5″) | 約45~60 |
MTB(29″) | 約60~75 |
チューブレスレディタイヤの気密確保のためだけなら少なめ、パンク時の漏れ止め効果を高めたいなら多めに入れると良い。
私の場合、33cのシクロクロスタイヤに60mlほど入れている。
まとめ:臭くなく扱いやすいシーラント
少し乾燥が早いものの、嫌な匂いがせず、取り扱いしやすいシーラント。
パンク防止効果はアンモニア配合シーラントに一歩及ばないが、チューブレスタイヤの気密取りとして使うには十分。
悪臭から解放されるだけで本当に快適なので、自室で整備をする人には特におすすめしたい。
バルブから注入できるよう、クルミ殻が入っていないシーラントがあれば良いと思った。