北海道には、生活に使われている「生きた」グラベルが沢山ある。「ニセコグラベル2022 オータムライド」は、そんな北海道の極上グラベルを走り尽くすイベント。
最長コースでは距離115km 獲得標高2200mに及び、しかもコースの半分がグラベル。このスケールは北海道でしかありえない。
ライドレポート第2回はいよいよ現地入り。
せっかく北海道に来たのだからイベント以外も楽しみたい。今回は、足慣らしを兼ねた石狩の海沿いエリアをサイクリングした話や、北海道ならではのグルメについてご紹介。
…思い出すだけで生唾が出てきた。
第1回はこちら
9/2(金)Day 1 羊の受難
いざ北海道へ
平日だが仕事を休んで、金曜日に移動。3名バラバラに新千歳に飛び、空港で合流してレンタカーで札幌に向かう計画。
私の荷物はバイク+20Lのバックパック。
バッグはオルトリーブのVelocity、大学の頃買ったので、なんだかんだ15年くらい使っている。
防水で大容量。いにしえの自転車オタクはみんなコレ背負ってたんだよナ。
安心と信頼のANAで関空から新千歳までひとっ飛び。荷物を預けるなら断然LCCよりフルサービスキャリアがお得だ。
2時間ほどのフライトで新千歳空港に着陸。
北海道はさぞかし涼しいと思っていたが、日中の気温は23~25度と、快適なもののそれなりの気温だった。
ただ、日が落ちると急速に冷え込む。半袖でも我慢できるけど、1枚羽織りたいくらい。
一番早い便で到着したさきぷさんにレンタカーを取りに行ってもらい、新千歳空港のA駐車場で積み込み。なお駐車料金は1時間まで無料となっている。
3名合流後、高速道路で札幌まで。市内の自転車屋さんを覗いたりしつつ、夜7時頃ホテルにチェックイン。
初日の宿は、今回の旅で最も豪華。普段遠征で使うのは安宿ばかりなので、気持ちが盛り上がる。
ベッドが大きくて一同テンションが上がりっぱなし。
身も心もジンギスカンに染まる
夕飯はジンギスカン。目星をつけていた店は満席だったが、すぐ近くに別の店があり、こちらは待ち無しで入れた。
まずはメンバー合流を祝して乾杯。
続いて、ジンギスカン食べ放題がスタート。遠くのテーブルが霞むくらいの煙の中、ひたすらに焼いて食う。
ちょっと苦しくなるくらいまで存分に味わい、身も心も、すべてがジンギスカンに染まった。
ホテルに戻ると、臭い服をすぐさま洗濯機に放り込み、臭い3名は大浴場で身を清める。
風呂を上がっても、時計が臭い、スマホが臭いと騒いでいたが、日が変わる頃には就寝した。
9/3(土)Day 2 石狩モーニングラベルライド
朝からピクニック
せっかく北海道まで行くんだから本番コース以外も走りたい、ということで、土曜日は午前中に40~50kmのサイクリングを計画していた。
あまり時間に余裕がないので朝は7時に起床。チェックアウトしたら24時間営業のサンドイッチ屋さん「サンドリア」で朝食を調達。
常に人が絶えない、地元民に愛されるお店。現在は入店人数を制限しているとのことで、常に数名の列ができていた。
待つこと数分、各自3つずつ購入し、石狩川の河口付近まで車で移動。
マクンベツ湿原の駐車場に車を停め、バイクを下ろしてまずは朝食タイム。
日産NV200の荷台でピクニック。(蚊が飛んでいることを除けば)大変に気持ちがいい。
サンドイッチは各2個入なのでお互い交換したが、どれもハズレのない美味しさだった。
ひと足先に極上ライドを満喫
腹を満たしたらバイクを組んでライド準備。飛行機輪行での破損もなく、3台とも無事走り出せそうだ。
「石狩モーニングラベルライド」と題して引いたルートは、距離44km、獲得標高400m。
日本海を望む海沿いの丘陵地、林道のグラベル、そして水田を突っ切る長い直線道路、と「走ってみたい北海道の道」を盛り込んだ。
その代わり、補給スポットがセイコーマートくらいしかない、観光成分が皆無のルートになってしまったが…
朝の気持ちのいい空気の中走り出す。まずは堤防沿いを進む。
スタートからしばらくは完全にフラットだったが、10km地点から登り始める。とはいえ勾配は緩やかで、談笑しながら登れるくらい。
海岸線を見下ろす下りは実に爽快。ニセコグラベルのコースは山ばかりなので、前日ライドにはあえて海沿いルートを盛り込んだのだが、大正解だった。
信号らしい信号もなく、あっという間に目的地の「カシオペアの丘」駐車場に到着。ここまで15kmほどだが、所要時間は40分くらいだっただろうか。
少し休憩したら、グラベルにアプローチ。
当初はすべて舗装路の予定だったが、Googleマップで偶然見つけた「林道加賀の沢線」が良さそうだったので旅行直前になってルートに組み込んだのだ。
ひと足先に北海道グラベルの試食だ。
全長5kmほどの林道は、北側は一部舗装されているものの殆どがスムーズなグラベル。普段から利用され、維持管理されていることが伺える。
最高のグラベル体験で笑いが止まらない。
43cタイヤのグラベルバイク2台に対して、一回り細い38cタイヤ+リムブレーキのさきぷさん。
下りは辛いんじゃないかと思っていたが、良いペースで下ってきた。
グラベルを下りきったら舗装路に出る…のだけど、ここでミスコース。
ミスコースというか、事前に引いたルート通りに進んでいて、マップにもちゃんと道があったのだけれど…
ボッコボコの激坂を登っていると、アメ車のように激しくホッピングしながら軽トラが下ってきた。
お爺ちゃん「あんたら何処に行くの?この先は行き止まりよ?」
ぼく「いやいや、道路に抜ける道がありますって」
お爺ちゃん「まぁ、行ってみたら(笑)」
登りきった先、確かに道らしきものはあったのだけど、草に覆われて通れる状況じゃなかった。お爺ちゃんが正しかった。
まぁ、絶景が見れたから、いいか!
引き換えして、迂回路からルートに復帰。標高差50mくらい登って、あとは下り基調。
ミスコースのタイムロスを取り返すため、先頭に出て一本引き。
北海道の路面は凍結で荒れているが、グラベル向けの太いタイヤはアスファルトの段差やひび割れをものともせず、スムーズに走れる。
この土地でサイクリングを楽しむなら、舗装路メインであってもロードバイクよりグラベルバイクのほうが走りやすいと思った。
快走するトレインにバッタの子供が飛び乗ってきて、そのまま10kmくらい運んだり。
モーニングライドの最後を締めくくるのが、水田地帯を突っ切る直線道路。
近眼の人にはどこか既視感のある風景でもある。遠くに気球が見えてきそうだ。
駐車場まで後4kmというところで予想外のグラベルが現れて、一同ニッコリ。終始、頬が緩みっぱなしのライドだった。
単に北海道を楽しみたいという動機でセッティングした前日ライドだったが、
機材の本番前チェックになったし、何より、互いの脚やテクニック、走り方を確かめるという意味でも走ってよかったと思う。
長時間走り続けるニセコグラベル本番でも、このメンバーなら楽しめそうだ。
寿司が俺たちを待っている
オンタイムで戻ってきたが、ライドの余韻に浸る間もなく、手早く着替えてバイクを積み込む。
再び輪行状態にするのは面倒なので、前後輪を外して倒立させた。養生は最低限だが、バックパックで押さえれば問題なさそうだ。
なぜこんなに急いでいるのかというと、腹が減ったから。
北海道といえば海産物。海産物といえば寿司。
ライドで腹を減らした一同は、スシ・バーへ向けてアクセルを床まで踏み込んだ。
北海道の回転寿司といえば「トリトン」か「根室花まる」だが、ニセコまでのルートの都合上、花まるをチョイス。
何を食っても旨い。空腹に任せてハチャメチャに食ったが、3名で8000円くらいだった。
ニセコグラベル会場へ
満腹になったらいよいよニセコへ向けて移動。高速道路は無いので全て下道だが、都市部の高速道路よりもストレスフリーな道が続いている。
もちろん、食後のソフトクリームも欠かさない。
その後も快適なドライブが続き、予定よりちょっと早く、午後3時半頃に会場到着。
出展ブースをぶらぶらしていると、全国から集ってきた顔見知りがたくさんいた。
つむりさんを見かけて声をかける。前回会ったのは京都のキャニオングラベル試乗会で、今回は北海道。地元ではまず会わないのに、旅先でエンカウントするタイプだ。
TKCプロダクションズのテースケさんはじめ、「乗る練習」のメンバーとも再会。開口一番、いきなり偏見たっぷりのコメントを頂く。
え?すき家でよく頼むメニュー?チーズ牛丼かな…
話は尽きなかったが、談笑もそこそこにエントリー手続きをして、今日の予定は全て完了。朝からアクティブに動きっぱなしでさすがに疲れた。宿に移動しよう。
スペース効率の高い宿
朝のピクニック、モーニングライド、寿司、ソフトクリームと、欲張りなスケジュールだったが、全てをほぼオンタイムで、しかも存分に楽しめた。
今回、デキるメンバーが揃ったことを再確認。
さて、本日の宿は会場から車で15分ほどの場所にある「ミッドタウンニセコ」
ニセコはインバウンド向けに再開発されており、第1言語が英語、次が中国語、みたいな場所。
ミッドタウンニセコも、そんなインバウンド向け宿泊施設。料金は3名で1万円ほどとリーズナブル。
ただし、部屋は学生寮の相部屋レベル。一応、風呂とトイレは部屋についている。
まぁ、手狭だが清潔だし、安いので文句はない。
まず最初にするのはベッド決め。じゃんけんで勝った順に好きな位置を選ぶ。
「こういうの、成り行きで決めると揉める」とはさきぷさんの弁。
各自荷物を展開し、一息ついたらランドリーでサイクルジャージの洗濯。今回のメンツはこういう動きが速い。
夕飯の時間が勿体ないので洗濯機だけ回して、部屋で乾燥させることにした。
ニセコの外食事情
ニセコには飲食店が数件とコンビニくらいしか無い(コロナ禍で閉まっていたり、そもそもスキーシーズンのみ営業の店もある)ので、食事や買い出しをするなら車で数分走り、隣の倶知安(くっちゃん)まで行くのがおすすめ。
ただ、店の数自体は少ない上、閉まるのも早いので、札幌みたいな感覚だと飯難民になる。
さらに今回は、ニセコグラベル参加者が押し寄せているため、どの店も混雑しているらしい。
5月のスプリングライドの時はスムーズに店に入れたのだが、やはり今回は盛り上がっているようだ。
時間が押していたこと、疲れていたこともあり、手早く食事できるラーメン屋に行ったが、これはちょっと期待外れだった。
いや、不味かったわけじゃないのだけど、ジンギスカン、サンドイッチ、寿司、と大当たりばかり引いていたので。
…一日の締めくくりたる夕食で満足できなかった我々は、スーパーでじゃがいも(北海道産)と雪印バターを購入。夜9時より、宿の炊事スペースでじゃがバターの調理を敢行した。
さらに、調理風景を撮影、その場で編集し、SNSにアップするという暴挙に出た。この日は酒を一切飲んでいないのに、我々のテンションは完全におかしくなっていた。
いやしかし、本当においしかった。優勝。
「北海道産じゃがいもと雪印バターは全国どこでも手に入る」と突っ込んではいけない。こういうのは雰囲気が大事。
ニセコグラベル当日へ向けて
ひとしきり楽しんだら、明日の準備。
既に北海道をだいぶ満喫しているが、メインイベントはこれからだ。明日は(明日も?)朝からハードなスケジュールになる。
朝からバタバタしなくて済むように、ゼッケンは前日のうちにつけておく。また、ライド時の持ち物や補給食もまとめておく。
スムーズにチェックアウトできるように、荷物整理も寝る前に。面倒だからと翌朝に回すと、出発が遅れたり、忘れ物をしたりする。
一通りの準備を終えたらいい感じに眠気がやってきたので、就寝。昨日より寝心地が悪いが、じゃがバターのように溶けていった…
だいぶ引っ張ってしまったが、レポート第3回はいよいよニセコグラベルのライドレポートだ。