2年ぶり開催の桂川は初めてシクロクロスに出場した思い入れのある会場。過去の戦績を見る限りあまり得意ではないコースだが、好調を維持している今年は十分に表彰台を狙える。
11周回となった高速レースでは単独3位をキープし、ペースを崩さずノーミスで走りきって目標の表彰台を獲得。関西シクロクロス総合表彰でも3位となり、良い形でシーズンを締めくくった。
2/6 関西シクロクロス第11戦 桂川
コースコンディション:ドライ
リザルト:3位/68名(11周回 +1:19 順位4% フルラップ完走34名)
機材
Ridley X-Night Disc 1号車
- 前輪: ITLAB CX / Panaracer CGCX + Insert / 1.6bar
- 後輪: ITLAB CX / Panaracer CGCX + Insert / 1.6bar
※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準
動画
すくみずログ YouTubeチャンネルでレース動画を公開中
関西シクロクロス千秋楽 桂川
関西シクロクロスのシリーズ戦は毎年10戦前後行われるが、会場は毎年同じではなく、入れ替わることもあるし、開催順も年によって変わる。
しかし、最終戦が行われるのは決まって桂川会場。軽く調べた感じでは、20年以上にわたって桂川が「千秋楽」となっていた。
さて、そんな桂川会場は、京都市南区に位置し、京都市民は余裕の自走圏内、車でも、名神高速の京都南インターからほど近いという好立地。桂川サイクリングロードからのアクセスも良い。
昨年はコロナ感染拡大で中止になってしまったが、例年多くの参加者・観戦者が訪れる。
私にとっては地元で、初めてシクロクロスに出場した会場でもある。
桂川のコースは河川敷特有の細長いレイアウト。
コースの雰囲気は前半と後半で大きく異なり、スタートして前半はフラットな草地・グラウンドを走る超高速区間、後半は土手を利用したアップダウン&コーナリング区間となっている。
コース前半ではパワーを維持して高速巡航する有酸素系が重要だし、やたらと土手を上り下りさせられる後半は、無酸素インターバル耐性が物を言う。加えて今年はドライコンディションで、路面の凸凹が体力を奪う。
もちろん、コーナリングやキャンバー区間をスムーズに捌くテクニックも必要だ。
試走とセッティング
関西CX総合ランキングはほぼ3位確定という状況だが、先週のマイアミで逃した表彰台にもう1度乗りたい。
マイアミの翌日から桂川に向けて準備していく。平日は適度に練習しつつも回復を意識し、なるべく疲労を溜めないようにした。
また、コースコンディションが良い今季はバイクの整備をサボりがちだが、バイク2台のチェーンを綺麗に洗浄して注油。2~3Wくらい稼いで前日試走へ。
会場につくと、今回も路面はドライ。手持ちタイヤはPanaracer CGCXとAlbit、あとは予備のFMB Slalomだけど、明日も天気は崩れない様子だし、タイヤはCGCXでほぼ決まりだろう。
ただ、砂埃でバイク、特に駆動系を汚したくなかったので、Albitを履いた2号車で試走を行う。
全体的なコースレイアウト、路面の凹凸や転がり、コーナーの繋がりなどをチェック。
路面コンディションも良いので特に難しい場所はなく、テクニカルな場所といえば、2箇所ある階段くらい。
1つ目は階段脇の15〜20cm幅の斜面を乗車できる。2つ目も乗車は可能だったが、ミスしやすいうえ、走ったほうが速いので降車することに。
前日試走の最後1周は達海の後ろにつかせてもらったが、コーナーの技術が全く違う。特に連続コーナーを抜けたら1台分の車間が開く。
車間を詰めるのに試走とは思えないほど脚を使ったが、スピード感やライン取りを間近で見ることができ、一人で何周も走るより余程勉強になった。
現在関西ランキング2位の達海はレースの結果次第で総合優勝する可能性がある。明日は頑張ってほしい。
さてレース当日。レースレポートで何度も書いているが、当日試走は路面コンディションとタイヤセッティングの最終確認という意味合いが強い。どうせ人多すぎでマトモに攻められないし。
前後CGCXの1号車で2周半くらい試走し、キャンバー区間で十分グリップすることを確認。タイヤ空気圧は前後とも1.6に決定した。
今季は暖かい日が多かったが、今日の気温はかなり低く、昼の時点で3〜4度ほど。
ウエアはいつもどおり半袖インナー+長袖ワンピースだが、グローブは防風素材のものを選択。
さらに、いつものウォーミングアップルーチンを早めにこなした後、イナーメのアップオイルを塗って招集へ。
レースレポート
ゼッケンは2番。スタート後は路面が凸凹なので、路面状況が良さそうなグリッドを選択。
スタート後は達海に続く2番手。長いホームストレートは重めのギヤで凹凸をいなしながら抜けて、1コーナーへ。
上下の動きがある場所で少し前輪をこじって焦ったが、無事リカバーしてそのまま2番手キープ。
1周目はなるべく達海についていくが、コーナーを抜けるごとにジワジワと車間が開く。
昨日達海にコーナリングのアドバイスをしてもらったんだけど、そう簡単に速くならんわな…
半周も走ると後続は離れ始めたが、背後には現在総合1位の堀川滉大が張り付き、2位パックを形成。
2周目に入ると、2列目からスタートした竹内遼(おりょう FUKAYA RACING)が上がってきた。
今回が関西CX初参戦となるおりょうは、東海シクロクロスは連戦連勝の強豪選手。本業はMTBクロスカントリーで、2021年のMTB全日本では3位に入賞している。
ほどなく2位パックに合流し、キャンバーセクション後半のゆるい上りでアタック。滉太は反応したが、私は少し出遅れる。
追うか迷ったが、おりょうに付いていくのは明らかにオーバーペースであること、後続との差が順調に開いていることから、スルーすることに。
4周目突入時の状況は
達海-(9秒)-おりょう-(11秒)-滉太-(5秒)-私
この調子だとおりょうは達海を捕まえそう。一方、私と滉太との差も詰まっている。
単独走の場合、知らず知らずのうちに脚が緩んでしまいがちだが、追いつけると信じて踏み続ける。
そして、4周目後半のキャンバーセクションで滉太の背中を捉えた。
前に出て踏み続け、ホームストレートまでに2秒差をつけた。
高速区間でベタづきされると辛かったが、これだけ開くとドラフティングが効かない。
パワーの絶対値が物を言うホームストレートをかっ飛ばす。踏み始めからコーナー手前で脚を緩めるまで、だいたい30秒400Wくらい。
ここで乗せたスピードを殺さずコーナーを曲がり、折返す直線まで抜ける。
ここからさらに差を広げ、3位単独で展開する。
キャンバー区間は脚を痛めつけるマイクロインターバルの繰り返しだが、応援の声が大きくて頑張れる。
特にちびっこの歓声がすごい。お前らみんなYouTube見てるのな。ありがとう。
おかげで、単独3位をほぼ確実にしてからも、集中力を切らさずラップを刻み続けられた。
そして、11周回、1時間6分29秒に及ぶレースをノーミスで走りきり、関西シクロクロス最終戦を3位表彰台で締めくくった。
レースを振り返って
あまり相性が良くない(と思っている)桂川だが、3位を獲得できた。1,2位は別格なので、今の実力ではこれがベストリザルトだろう。
ラップタイムを見るとジワジワ遅くなっているものの、踏むべき場所で踏み、大きく崩れずに済んだ。
何より、階段もコーナーも、ノーミスで走りきれたのは自画自賛ポイント。
なお、達海・おりょうパックの優勝争いは最終周回までもつれ込み、スプリント勝負でおりょうが先着。
途中は互いに牽制する状況になっていたが、最終周回でのペースアップがえげつない…
今シーズンは序盤調子が上がらず苦しい前半戦となった。全日本選手権までは関西CXで表彰台に乗ることが叶わず、最高順位は4位。
しかし後半戦はコンディションが良くなってきて、信太山、くろんど池(シリーズ外)、希望が丘、堺と表彰台を獲得。
マイアミは4位だったものの、最終戦 桂川で3位表彰台に乗れた。
そして、2020−21関西シクロクロスの総合表彰。
シーズン後半に崩れかけたが見事に持ち直した副島達海が桂川で逆転して総合優勝。たつーみ、おめでとう!
総合2位は、今季2位表彰台を連発してポイントを稼いだ滉太。シルバーコレクターを自称していたが、総合まで銀メダルというオチがついた。
センスもスピードもある滉太とは実力が拮抗していて、今季はシリーズ10戦中5勝5敗。くろんど池を含めると勝ち越しだけど…
そして総合3位に私。後半戦でだいぶ追い上げたものの、上位2名を逆転するには至らなかった。
総合3位という結果は順当だが、シーズン序盤からうまく走れていれば、総合2位の可能性はあったかもしれない。
ただ、シーズン序盤にコンディションのピークを持ってきた場合は、全日本や後半戦で崩れる可能性もある。
シーズンを通して好調を維持するのはなかなか難しい。
来シーズンは関西CXランキングを狙うのか、それとも全日本選手権に照準を合わせるのか、何を目標にするかも考えた上でトレーニングに取り組んでいきたい。
さて、もう少しレースには出るつもりだけど、関西CX最終戦をもってメインのCXシーズンは終了。
毎年のことだが、開放感と寂しさが入り混じったなんともいえない感傷に浸っている。
こんな情勢ではあったけれど、コース脇から(甘えを許さない)熱い声援を送ってくれる観客、会場内を走り回って撮影し、写真を提供してくださるフォトグラファー、そして、レースに集中できるような環境を整え、レース中も大きな支えになってくれる手厚いサポート、皆様のおかげで楽しいシーズンを過ごせました。改めて、ありがとうございました。
何より、感染症が蔓延している未曾有の事態で、イベント開催が危ぶまれるなか、いつも以上の熱量で、いつもと変わらない関西シクロクロスをやり通してくださった関西シクロクロス実行委員会の皆様には感謝しきれません。
今年も例年通り、いやそれ以上の、とびきりのシーズンを過ごせました。
また「来年」よろしくおねがいします!
…さて、走り足りないので「ゆるクロス」出るか。