MTBレースシリーズ「Coupe du Japon」白山一里野大会に参加。全体的にイージーではあるが、スキー場のゲレンデを直登するパワーコースで、フィジカルが順位に直結する。
自身としては5年ぶり、2度目のCJ白山一里野。レースは4列目からスタートし、最初の上りで10位台まで上がったものの、激坂クライムのダメージが響きレース中盤にペースダウン。
レース後半はズルズルとポジションを落としていたが、最終周回に持ち直して3~4人ほど抜き、24位でフィニッシュ。順位はそこそこだが、足切りされることなくフルラップ完走を果たした。
6/5 Coupe du Japon 白山一里野 男子エリート
コースコンディション:ドライ、草地
リザルト:24位/60名(スタートループ+6周回 +11m38s 順位40% フルラップ完走28名)
機材
Specialized S-WORKS EPIC 2015
- 前輪: Mavic Crossmax SL PRO LTD / Schwalbe Racing Ralph 29×2.1 / 1.3bar
- 後輪: Shimano WH-M8020-TL-R12-29 / Schwalbe Racing Ralph 29×2.1 / 1.3bar
- Fサス: 85psi リバウンド18段戻し
- Rサス: 165psi リバウンド2段戻し
※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準
動画
YouTubeチャンネルでレース動画を公開中
白山一里野温泉スキー場でMTBレース
5月に出場したCJ朽木のレースレポートで「白山一里野も多分行かないので…」なんて書いたが、今年は富士見も白馬も無いし、MTB全日本選手権までにもう1レースくらい走っておくか…と、直前になってエントリー。
まぁその全日本選手権、直前になって7月下旬から11月に延期されたんだけどな!
全日本選手権は国内最高峰のレース。真剣に競技に取り組んでいる選手は、何ヶ月も前からトレーニングプランを作って調整してきている。ワークスの選手にとっては来季の契約にも関わってくるし、このタイミングでの日程変更はありえない…
なお、シクロクロスのUCIレース(琵琶湖)と被っているので私は出場しない見込み。修善寺のコース、走りたかったなぁ。
さて、わざわざエントリーした意味がわからなくなってきたが、3年ぶりに開催されたCJ白山一里野は、白川郷から白山を挟んで反対側、石川県白山市に位置する「白山一里野温泉スキー場」が舞台。
コースはゲレンデの斜面と管理道、比較的平坦なシングルトラックで構成される。
激しい下りセクションは無く、難易度はイージーだが、ゲレンデを直登する部分は急勾配で、高トルクでペダルを踏んでよじ登る必要がある。
パワープロフィール的には、1周13分ほどのコースで、30秒~1分間の、VO2MAX~無酸素インターバルが何度もかかる。レース中は何度も「Zwiftのワークアウトかよ…」と思った。こういうレースを想定してワークアウトのメニューが組まれているわけなので逆なんだけど。
コース幅は全体的に広いので前に詰まることは少ない。逆に言うと、パワーの差がそのまま順位を決定すると言える。
コースコンディションは完全なドライ。前日試走は、しつこく走っても体力を消耗するだけなのでフルコースを3周。加えてシングルトラック区間を反復練習してリズムを掴んでおいた。
あわや宿泊難民
秘湯 中宮温泉
レース会場は山深い場所にあり、最寄りコンビニまで片道1時間というような立地。宿泊も食事も、スキー場周辺の民宿を利用するほか無い。
しかし、期限ギリギリにエントリーしたこともあって周囲の宿はどこも満室。空室のある宿は異常に高騰していた。おまけに、名物である「白山一里野温泉」は崩落に伴う温泉配管破裂の影響で、現在利用できないという。
そこで今回は、さらに山の方に数km走ったところにある、秘湯・中宮温泉(ちゅうぐうおんせん)に宿をとった。冬は雪に閉ざされるため、春から秋の間だけ営業しているという。
なお、そのまま道を進めば白山スーパー林道があり、合掌造り集落で有名な白川郷に抜けられるのだが、日本有数の豪雪地帯であるこの地域はまだ雪が残っており、開通は6月17日。
宿は「湯宿 くろゆり」。1泊2食付きで11,500円。大抵の宿は1人利用の場合に料金が割増になる、所謂「ぼっち税」がかかるのだが、ここは良心的で、追加料金無しだった。
中宮温泉の泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で泉温61度。飲泉可能で胃腸に効くらしいが、吐出口から手に掬うとめっちゃ熱い。
加水・加温無しの源泉かけ流しで、湯温を調整するため木製の樋(とい)が設置されている。
熱い時は温泉を樋で逃がし、ぬるい時は樋をずらして直接注ぎ込む。そして、樋の角に当てて散らすと保温になるという。
豪華ではないが、ちょっと懐かしい感じがする宿で、人里離れた場所ということもあって静かだった。
携帯(ソフトバンク)の電波が弱く(テキストベースなら行けるが動画はキツい)、WiFiもロビー付近でしか繋がらないため、デジタルデトックスにもおすすめ。
試走動画と、土曜日に男子エリートのランキング上位24名で行われるXCC(クロスカントリーショートサーキット)の動画を編集し、ロビーのWiFiでアップロードした後、おふとんに吸い込まれて寝てしまった。
くるみ羽二重
レース当日の朝試走はパスして、宿の朝風呂に入り、ゆっくり朝食をとってから会場へ。
36隊、OGP御一行様と合流し、道中で買っていった福井県勝山市「はや川」の銘菓「くるみ羽二重」を布教しておく。
勝山近隣に祖父母の家がある関係で昔から知っている好物なのだが、実店舗では、勝山市の本店と福井駅でしか買えない品。福井駅の物販コーナーのほうは夕方には売り切れてしまう。
あとは通販や、ふるさと納税の返礼品でも入手可能。
レースの準備
全然レースの話をしていないが、男子エリートは13:30スタートなので午前中は暇なのだ。
13:15頃から招集があるはずなので、12:50からローラーでウォーミングアップ。徐々にパワーと心拍を上げた後、短いダッシュを3本。後は流して、合計15分くらいで終了。便所の水をボトルに汲んで、ついでにウンコしてから招集へ。
レースレポート
今季は朽木しか走っていないが、スタートグリッドは30番手、4列目から。エントリーが60名なのでちょうど真ん中あたり。
定刻にスタート。ホームストレートは平坦な舗装路だが、1コーナーでコース幅が絞られるので他の選手と絡みそうで怖い。直後は滑りやすいダートの激坂直登なので、ここは抑えて安全に登りたい。全体的にコース幅は広いので、無用なリスクを冒さなくとも抜きどころはたくさんある。
ダートではラフに踏むと後輪が滑るので、一定トルクで登っていく。ここは15~20番手で通過。
レースは6周回だが、最初(0周回目)はコース幅が細い区間をショートカットしたスタートループを走る。スタート直後ということで周囲の動きは活発だが、徐々に実力順にソートされ、落ち着いてくる。
3分少々でコントロールラインに戻ってきて、ここから「1周目」。ついさっき登った激坂ダートを再び登ると、今度は右に折れて作業道やシングルトラックが複合した区間へ。順位は20位前後。この辺りのポジションを走る選手はみんな慣れているので安心して走れる。むしろ自分がミスって迷惑をかけないか心配なくらい。
1周目は12分43秒のハイペースで周回したが、この反動で2周目からタイムを落としていく。特に、コースに3箇所ある激坂の上り区間での脚の消耗が激しい。軽いギヤが足りず、筋肉を酷使する高トルクなペダリングを強いられる。
一方、急勾配でのパワー差はタイム差に直結するため、軽いギヤが無いならここで追い込めと言わんばかりにペースを上げる。
レース中の気温は25度ほど。湿度も低く、日陰にとどまっていれば快適な気候だが、レース中の掛水は欠かせない。フィードゾーンは緩い上り区間に位置するので、落ち着いてボトルを受け取り体を冷やす。
中盤にはジェルを補給して気分転換。なかなか吸えなくて手間取る。
今回はタレのレース。周回ごとにラップタイムが遅くなり、徐々に順位を落としていく。
抜かれると追いたくなるが、これ以上踏むと上りで力尽きるので、マイペースで踏み続ける。
ペースを維持できず、ジリ貧の様相を呈してきたレース後半戦。シフトレバーがガタつき始める。
レースバイクはシマノのM8000系11速コンポで、シフトレバーはI-Spec II規格でXTRのブレーキレバーからぶら下がっている。
この固定ボルトがしばしば緩むのだが、しばらく増し締めしていなかったためレース中の振動で緩んできてしまったようだ。
緩みやすいのはシマノも把握しているのか、ボルトに抜け止めがついているので脱落の心配は少なし、一応シフト操作も可能だが、シフトレバーがガチャガチャ揺れて気が散る。
あまり揺れるとボルトが折れそうな気もしたので、バイクが暴れる下り区間では指でレバーを押さえながら走った。
トップを独走する平林安里選手とのタイム差から考えて、-1Lapで足切りされるなぁ…と考えながら単独走。
しかし、トップ選手のゴールスプリントを邪魔しない程度のタイム差は保っていたため、温情かあるいは無情か、最終周回に突入してしまう。
ホームストレート後のダートを登りでギャラリーに弱音を吐きつつも、いろいろ吹っ切れたので前を追う。
10秒ほど前にはさっき追い抜かれた#57田邊選手と#19箭内選手のパックが見える。ファイナルラップに入りペースが緩んだのか、わずかに差が詰まっている。このパックを目標にしてプッシュ。
白山一里野はパワーコースだが、下りも直線的でスピードが乗る。こういう場所ではドロッパーポストを下げて姿勢を低くすると、5km/hくらいは稼げる。ダート上り後の下りでスピードを乗せて、舗装路区間はドロッパーを下げたままペダリング。速度を保ったまま次のセクションまで繋ぐ。
そういう細かい努力の積み重ねもあって、パックに合流。2つ目の直登区間で前に出た。
フィードで最後の掛水をして残り半周。前を走る#13松田選手が射程圏内に入った。つづら折れにゲレンデを登る最後の勝負どころで一気に掛ける。
シングルトラックの緩い上りを踏み切って、あとは下り。シングルトラック区間はスムーズにこなし、ドロッパーを下げて最後の直滑降を駆け下り、24位でフルラップ完走。
結果的に、最終周回で3つも順位を上げることができた。
レースを振り返って
CJのひとつの目標であるフルラップ完走を果たせた。ミスはしなかったし、24位という順位も実力なりの結果と言える。しかし、レース内容を振り返ると、もう少し上を目指せなかったのか?と思う。
ラップタイムを見ると、順位争いが活発な1周目は12分43秒。しかしハイペースが祟って2周目に失速してしまう。13分10秒、13分21秒…とタイムを落とし、4周目の13分38秒でようやく下げ止まった。それなりに真面目に踏んでいたとはいえ、前日試走のタイムが13分ちょうど。いかにタレていたかがタイムから伺える。
ポジションも28~30位付近まで後退したように思う。
ここまで走れなかった原因は(フィジカルのパフォーマンス不足を除けば)ギヤ比。レースバイクはフロント32T、カセットは11-42Tだが、ローギヤ32x42Tはコースの上り勾配に対して重すぎる。
レース序盤、脚がフレッシュな時はグイグイ登れるが、大トルクを発揮すると脚にダメージが蓄積する。そして、だんだん踏めなくなってくる。
さらに、コースがイージーな白山一里野はダウンヒルセクションを短時間で下ってしまうため、すぐに次の上りが現れる。結果、リカバリー不足でどんどん消耗していってしまう。ゲレンデの直登では、脚を温存しながら登るために、もう1段、2段軽いギヤが欲しかった。
今のバイクは2015年モデルのS-WORKS EPIC。当時は世界最速のバイクだったとは言え、サスストロークは前後95mm、ヘッドアングルも71度とかなり立っており、世代遅れ感は否めない。
コンポ載せ替えでシマノなりスラムなりの12sにすればギヤ比問題は解決するが、これらは専用フリーボディが必要。ここでネックになるのがホイールで、ブースト規格ではないF15x100/R12x142が今やホイールの選択肢が無い。
半端にパーツ交換してもコストがかかるだけだし、そろそろバイクごと更新するタイミングなんだろうか。でも、来季クロスカントリーレースやるかどうかわからないよなぁ…なんだかんだ、文句を言いながらもう少し乗り続けることになりそう。
応援・撮影・サポートありがとうございました。
SARISサポートライダー活動について
2020年12月よりSARIS JAPANサポートライダーとなり、
インドアトレーニングやバーチャルライドを盛り上げる活動を行っています。
トレーニングにはSaris H3を使用しています。