ロード・トラック2足のわらじを履き、そのどちらでも結果を残すフィリッポ・ガンナのワークアウト。
彼の卓越した独走力は、高いVO2MAXパワーに裏付けられている。このメニューでは2~4分のVO2MAXインターバルを行い、有酸素運動能力をフル回転させる。
INEOS Grenadiers Virtual Training Camp > The Ganna
https://whatsonzwift.com/public/workouts/ineos-grenadiers-virtual-training-camp/the-ganna
メニュー
- アップ
- 50→75% 8分
- 2セット×(115% 30秒+55% 30秒)
- 55% 2分
- メインセット
- 120% 2分+55% 3分
- 115% 3分+55% 4分
- 110% 4分+55% 5分
- 115% 3分+55% 4分
- 120% 2分+55% 3分
- クールダウン
- 55→35% 5分
ワークアウトについて
ロード・トラック競技で活躍するフィリッポ・ガンナは、特に独走力に優れ、2021年は東京オリンピックでイタリアの団体追い抜き金メダルに貢献し、自身は同年ロード世界選手権個人タイムトライアルで優勝を果たしている。
ガンナの独走力を支えるのは、圧倒的なVO2MAXパワー。大量の酸素を摂取し、有酸素運動で高出力を発揮できる。
動物が運動する際の働きは、エネルギー供給機構によって有酸素運動と無酸素運動に分類されるが、実際は有酸素運動と無酸素運動は同時に行われており、1分間の全力走であっても有酸素系は活発に働いている。
5分間の全力走を行う際、有酸素系はフル稼働し、その上で無酸素運動も行われる。このときの平均パワーをVO2MAXパワーとする。
無酸素系(解糖系)による乳酸の生成量が、有酸素系による乳酸の分解量を上回るため乳酸濃度は徐々に上がり、この強度を長時間続けることはできない。
しかし、最大酸素摂取量(VO2MAX)≒有酸素運動能力が高いほど、より高いパワーを維持することができる。
では、最大酸素摂取量を高めるにはどうすれば良いか。これはシンプルに「限界を叩く」、すなわちVO2MAXインターバルを行うのが定石。
適度にレストを挟み脚を回復させることで、細切れにしてVO2MAXパワーの滞留時間を稼ぐ。
典型的なVO2MAXインターバルメニューとして挙げられるThe Gorbyでは、FTP 110%で5分走+5分レストを繰り返すことで効率的にVO2MAXを高める。
※効率的≒とてもつらい
今回のワークアウト「The Ganna」は、The Gorbyを変則的にしたメニューとなっている。
メインセットは以下のように、「高出力短時間」と「低出力長時間」が組み合わされている。
- 120% 2分+55% 3分
- 115% 3分+55% 4分
- 110% 4分+55% 5分
- 115% 3分+55% 4分
- 120% 2分+55% 3分
…もっとも、110% 4分はとても「低出力」とは言えないが。
強度と継続時間を変えることで、より多様な刺激を身体に与えることができる。
ワークアウト実走
ウォーミングアップ後、短いバーストを軽く入れてからメインセットへ。
最初は120% 2分。VO2MAXインターバルと言いながら、いきなりL6:無酸素域に踏み込んでいる。
無酸素運動を有酸素運動が支えるような2分間のエフォート。心拍数が急上昇してキツいが、脚はフレッシュなので押し切れる。
直前のインターバルより1分長い、3分間のレストを挟んで2本目。
2本目は115% 3分。パワーは5%下がったが、継続時間が1分増加、割合でいうと1.5倍になっている。
気休め程度に負荷は下がるが、時間が伸びるほうが苦しい。
折返しの3本目は最も継続時間が長い区間で、110% 4分。The Gorbyより1分短いと自分に言い聞かせる。
ここを乗り切ると後2本…なのだが、脚に疲労が溜まった状態で、ここから負荷が上がっていく。
オールアウトするほどではないが、しかし余裕は無い状態で乗り切った。
メニューを見るとレストが長いように感じるかもしれないが、実際やってみるとギリギリ。1分ずつレストが短かったらきっと完遂できないと思う。
関連情報
SARISサポートライダー活動について
2020年12月よりSARIS JAPANサポートライダーとなり、
インドアトレーニングやバーチャルライドを盛り上げる活動を行っています。
トレーニングにはSaris H3を使用しています。