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レビュー

【レビュー】Favero Assioma Duo ~ペダリング解析もできるペダル型パワーメーター~

Favero Assioma Duo

イタリアのFavero社が販売するペダル型パワーメーター。バッテリーを内蔵することで防水性や信頼性を高めている。
両側測定パワーメーターとしては手頃な価格帯だが機能は充実しており、Garmin サイクリングダイナミクスに対応しペダリング解析が可能。複数パワーメーターを運用する時には必須の測定値スケーリング機能も備える。

評価 ★★★★☆

購入価格 85000円

長所 -Pros-

  • 脱着しやすく運用が楽
  • 測定値スケーリングにも対応
  • ペダリング解析機能が充実

短所 -Cons-

  • ペダルとしての品質は並
  • わずかにQファクターが増加(通常52~53mm→54mm)
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パワーメーター比較用にAssioma Duoを購入

私はパワーメーターの収集と比較を趣味にしているが、測定値を比較するためにペダル型のパワーメーターが欲しくなったので、左右独立測定のパワーメーターとしては価格が手頃で、機能も充実しているイタリア Favero社のAssioma Duoを購入した。

左足だけにパワーメーターを内蔵したAssioma Unoもあるが、用途上、左右独立測定は必須だったのでDuoを選択した。

今回は日本国内のネットショップで購入し、価格は85000円ほどだった。
海外通販とは1万円ほど差があるが、Yahoo!ショッピングのポイント還元が多いタイミングで買ったので、実質価格はほぼ同じだった。

付属品は以下の通り

付属品

  • ペダル本体
  • LOOK KEO互換クリート(Xpedo刻印あり)
  • マグネット充電ケーブル2本
  • AC-USBアダプタ(2口)
  • 8mm六角レンチ
  • マニュアル類
ペダル取り付け用の8mm六角レンチまで付属する

パワーメーターとしては、左右独立測定ペダリングの左右バランスがわかるほか、Garminのペダリングダイナミクスにも対応し、ペダリングトルクの解析が可能

イマドキのパワーメーターらしく、データ通信方式はAnt+とBluetoothに両対応
スマートフォンアプリから設定やファームウェアのアップデートができる。

Qファクターは通常のロードペダルより1~2mm程度広い54mm。ペダルシステムはLOOK互換で、互換クリートが付属する。

外観と重量

実測重量は左右ペアで304g。ちなみにデュラエースペダルは250gほど。
50gほどの重量増は、超軽量バイクを組むのでもなければ十分許容範囲だろうか。

競合製品のGarmin Vector3や現行のRallyは320g前後。パイオニア ペダリングモニタはクランク重量+64g。
左右独立測定の高機能パワーメーターとしては、Assioma Duoは標準よりやや軽いくらいだ。

軽量化を突き詰めるなら、重量増わずか9g(電池込みで!)の4iiiiの片足パワーメーターがおすすめ。値段も安い。

ビンディングペダルとしての評価

ペダルとしては、あんまり期待してはいけない

付属クリートにXpedo刻印があることから、ペダルはXpedo製と思われる。ペダルボディはThrust NXLという、1万円程度のペダルのようだ。
海外フォーラムでは、本品を分解し、スピンドル形状が同じXpedo製MTB用ビンディングペダルに交換している例もあった。
(シューズのソールとセンサー部が接触するため、ソールの干渉部を削る必要があるようだが)

どう見ても同一品のXpedo THRUST NXL なお価格は85USD

…まてよ、ということは、パワーメーター内蔵フラットペダルも作れるのか。

高級な安っぽいペダル

さて、ペダルを見ていくと、クリート接触部にはステンレスプレートが入っているし、リリーステンション調整もできるので、最低限のスペックは抑えてある。

しかし(LOOK系のペダルってこんなものだった気もするが)シマノSPD-SLペダルに比べると安定感に欠ける印象。
私はMTBやシクロクロスでSPDペダルも使うので、多少ぐらつくくらいは特に気にならないが、ロードペダルにこだわりある人にとっては致命的なポイントになるかもしれない。

人とバイクが接する「3つのル」であるハンドル・サドル・ペダルは好みや相性が大きい。その中でペダルシステムが制限されるというのは、ペダル型パワーメーター最大の欠点と言える。

ペダル型パワーメーターの特徴

競技志向のサイクリストにとっては今や欠かせないパワーメーター。
パワーメーターは、クランクアームやリヤハブなどにセンサーを埋め込んで、ペダリング時の変形を検知することでパワーを測定する。

その中でペダル型パワーメーターは、ペダル軸の曲げ変形を捉えてパワーを測定する。

Assioma以外にはGarmin VectorSRM Exaktで採用されるペダル測定だが、そのメリットは脱着が簡単なこと(※)。
逆にデメリットは、転倒時の破損リスクが高いことに加え、人によってはペダルの好み(Qファクター、薄さ、フローティングなど)があること。

※とはいえ、Vectorは装着時のトルク管理と慣らしをちゃんと行う必要があり、むしろ面倒。

ペダルの取り付け

Assiomaの電子回路やバッテリーはペダルスピンドルの根本と一体化している。
そのため、通常のロードペダルと同じように、8mmの六角レンチ1本で脱着することができる。

何を当たり前のことを…と思うかも知れないけど、所有する初代Garmin Vectorは、通信ポッドを挟み込みながらペダルを締める必要があり、作業しにくい。
しかも、ペダルの締付けトルクは34-40Nmの範囲にするよう規定されているうえ、ペダルのネジ部がクランクに馴染むまでは測定値が安定しない

Vector発売時は、締め付けトルク管理の重要性が十分に周知されておらず、期待して買ったのにパワーがちゃんと出ない…とガッカリした人も多かったと聞く。
測定値がおかしいというクレームも相当数入ったのか、後継モデルのVector 2ではパークツール製の安っぽい工具が付属するようになった。

なお、Garmin Vectorは3世代目の製品でようやく外付けポッドがなくなったが、今度はバッテリーの接触不良など、別のトラブルがつきまとった…

Assiomaの場合、取り付けはペダルスピンドルの六角穴に8mmアーレンキーを入れて締めるだけ。締め付けトルクについては、35~40Nmと書かれているが、十分なトルクで確実に固定できていれば、厳密な管理を行わなくても測定値に影響はなかった。

取り付けに関する注意点は、ペダル取付部がザグってあるクランクアームの場合、無理に締めると破損する可能性があるということ。
センサーがアームと接触し、アームとの間に隙間が確保できていない場合、ペダルワッシャーを挟むようマニュアルで指示されている。

Qファクター

ペダル基部にセンサーが内蔵されていることでQファクターの増加が気になるところだが、本品のQファクターは54mm

シマノR9100デュラエースのSPD-SLペダルが52mm、R8000アルテグラが53mmなので、少しだけ広がることになる。
私の場合はもともと1~2mmのペダルスペーサーを挟んでいたので、ペダル交換でむしろちょうど良くなった。

https://cycling.favero.com/

ただし、同じAssiomaでもシマノのペダルボディを使うためのスピンドルキット Assioma Duo ShiはQファクターが65mmになってしまう。
シマノのペダル・クリートを使うために片側12~13mmのQファクター増加を許容できるか、よく考えるべき。

マグネット端子でUSB充電

Assioma Duoのバッテリーは本体に内蔵されており、動作時間は50時間。充電はUSB経由で行う。
こういった構造にすることで防水性を高めているようだ。

ペダルの充電には専用のマグネット端子を使用する。磁力は結構強く、ペダルの自重くらいなら支えられる。

充電用マグネットは結構強力

充電ケーブルはMicroUSBケーブル+マグネットアダプタという構成になっているので、断線してもケーブル部分だけ交換できる。

5V-2A 2口のUSB ACアダプタも付属する。プラグ部分の差し替えで各国のACコンセントに対応する。
日本仕様のプラグでは、端子を折り畳めるようになっていた。

充電式となるとバッテリーの劣化が心配だが、めちゃくちゃ乗る人でも充電は月に1回くらいで済むので、20年乗っても充電回数は300回に届かない。バッテリーが劣化する前にペダルが朽ちそう。

なお、消耗品であるペダルボディやベアリングはスペアパーツとして供給されている。

https://cycling.favero.com/

充電は、付属の専用ケーブルをマグネットでペダル基部に貼り付けるだけ。マグネットは強力で、ペダルの自重程度では外れない。
マグネット端子部分はMicroUSB端子つきのアダプター状になっているので、もしケーブルが断線しても適当なものに交換して使える。

Assiomaアプリ上でメンテナンスと設定

今どきのパワーメーターらしく、Assiomaのメンテナンスはスマートフォンアプリ上で行う。

起動するとまずパワーメーターとの接続を求められる。
数回ペダリングしてAssioma Duoを起こしたあと、虫眼鏡マークをタップしてアプリとAssioma Duoを接続する。

以下、主な機能や設定方法を解説する。

デバイス

「デバイス」タブでは左右ペダル(Assioma Unoでは左ペダルのみ)のシリアル番号とAnt+ID、そしてバッテリー残量を確認できる。

なお、満充電後23時間ほどライドして以下のバッテリー残量。バッテリーライフの公称値は50時間なので、ちょうど半分ほど残っている。

設定

設定タブでは、パワーメーターの各種設定を行える。

校正

「手動校正」で所謂ゼロオフセットを取れる。

また、ペダル型パワーメーターは予めクランク長を設定しておく必要がある。
「クランクアーム長」が正しいクランク長になっているかチェックしておくこと。

測定値が大きく狂っている場合「静重量テスト」でスロープ値の設定ができる。
スロープ値設定できるパワーメーターを買ったのはQuarq Riken以来だ。

ゼロオフセットとスロープ値

パワースケール因子

ここを調整することで、測定値に倍率を掛ける、いわゆる測定値スケーリングができる。

左右ペダルそれぞれ、±15%まで設定可能。

測定値のスケーリングが可能

この機能は、バイクとパワーメーターを何台も持っているパワトレギークに刺さる機能。
パワーメーターは機種によって癖があり、パワー測定値にズレが発生するのが避けられないのだが、
スケーリングして各パワーメーターの測定値を揃えることでパワートレーニングに一貫性をもたせることができる。

他のアプリとの互換性

パワーデータの送信方式を選択する。

通常は単一チャンネルに設定しておけば、左右のパワーがまとめて送信される。
一部のヘッドユニットでは左右別々にパワーメーターをペアリングし、パワー値を個別に送信する必要があるみたいだ。

Assuoma DuoとUnoの変換

Assioma Duo(両側測定)とAssioma Uno(片側測定)を相互に変更できる(ただし、右ペダルのみでの使用はできない)。
右側が故障した場合、あるいは、アップグレードキットを購入しUno→Duo化するときに使用する。

トラベルモード

Assiomaはペダリングに反応して自動的に電源が入る。
しかし、長時間の輸送時には節電のため電源が切れていてほしい。また、飛行機での空輸時も電波(Bluetooth/Ant+)を発生させないよう電源を切っておく必要がある。

この画面からトラベルモードをオンにすることでオートパワーオンが無効になり、充電器を接続するまで電源が入らないようになる。

充電ケーブルを持っていないときにこのモードに入れてしまうと電源を入れる術がなくなるので注意すること。

ファームウェアアップデート

ファームウェアのアップデートもアプリ上でできる。

測定値のスケーリング

サイクリングダイナミクス

Garminのサイクルコンピュータを使っている場合、サイクリングダイナミクスに対応する。

注意点は、ガーミンのパワーメーター設定画面(設定→センサー→パワーメーターのIDを選択)より、
「サイクリングダイナミクス」「トルク効果・ペダルスムーズネス」
をオンにしておくこと。

デフォルトではトルク効果のオプションがオフになっていて、Garmin Connectに表示されなかった。

Edge 130 Plusでの画面 文字が潰れて読みにくいので英語表示にしている

これらのオプションをオンにすることで、
どの位相で踏み始め、踏み終わっているか、トルクのピークはどこか、という点が可視化される。

左右バランスとあわせ、自分のペダリングスキルや癖を客観的にチェックすることができる。

Garmin Connectアプリでペダリング解析

ただし、Garmin Vectorのようにプラットフォームオフセット、つまり、ペダル中心からどれだけズレた位置を踏んでいるか、は測定できない
これはAssiomaのひずみセンサー数がVectorより少ないのが理由。

Vectorと比べたときの短所に思えるかもしれないが、そもそも踏力の中心とペダル中心の位置関係なんてクリート位置やペダルスペーサーでいくらでも狂うので、個人的にはプラットフォームオフセットは気にしていない。

プラットフォームオフセットには非対応

測定精度

スパイク(瞬間的な異常値)や取りこぼしといった測定エラーが起こらないか、測定値が極端に上振れ・下振れしていないか調べるため、他のパワーメーターと比較を行った。

以下の通り、ローラーと実走で比較テストを行ったが、Assioma Duoの動作は安定しており、測定値についても高精度をうたうInfoCrankや定評あるパワータップと比べても遜色ない値となった。

ローラー

まずはスマートローラーSaris H3とZwiftを使用して比較。

途中でペダルを交換することで、ペダル型パワーメーターの定番であるGarmin Vectorとの比較も行った。

実走

ローラー上では正常に機能していても、
実走では急激な踏み込みでスパイクが出たり、あるいは振動で動作不良を起こすこともある。

そこで、パワータップG3やパイオニア ペダリングモニタと同時に実走ログを取り、パワーデータを比較した。

まとめ: 機能充実のペダル型パワーメーター

左右独立測定ペダリング解析が可能な、ハイエンド帯に属する高機能パワーメーター
それでいて価格は実売8万円台機能に対してリーズナブルなパワーメーターといえる。

ペダル型で取り付けも簡単なうえ、クランク型パワーメーターのようにBB形式やチェーンステー形状で取り付けが制限されない。ランニングコストも安く、充電式なのでInfocrankみたいに高価な電池(SR44×4個)をバカ食いしない。
ただし、バイクを選ばない代わりにペダルシステムが制限されるという点は、人によっては受け入れられない欠点になるかもしれない。

ペダルとしての品質は実用上十分だが、デュラエースやKeOブレードといったハイエンドペダルに慣れた身体には踏面の安定感にやや物足りなさを感じる。
パワーメーターとしての機能には一切不満がないので、この点が改善されれば満点になるのだが。