【レビュー】パナレーサー R’AIR ~ワンランク上の乗り心地 軽量ブチルチューブ~

Panaracer R’AIR

パナレーサーの販売する軽量ブチルチューブ。薄くしなやかで、通常のブチルチューブと比較して乗り心地が良い。
また、ラテックスチューブに対しては空気抜けが遅い、リムブレーキのカーボンリムで使用可能といったアドバンテージを持つ。

パナレーサー PRパートナーとしてプロモーション活動を行っています。
本品は、パナレーサー株式会社様より提供いただいた製品です。

長所 -Pros-

  • 通常のチューブより若干軽量
  • 乗り心地が良い
  • コンパクトで予備を携帯しやすい

短所 -Cons-

  • 薄く噛み込みやすいため、組付けには注意が必要

R’AIRにチューブ交換

ロードバイクのチューブをパナレーサーの軽量ブチルチューブ R’AIRに交換した。

パナレーサー PRパートナーに就任した際、R’AIRも送ってもらっていたのだけど、グラベルライドに出かけたり、雨が続いたり、ワクチンの副反応で寝込んだりしていて、なかなか比較テストができずにいた。

9月に入り、ようやくチューブ比較をする気になったので、土曜日は通常のブチルチューブ、日曜日はR’AIRでロード練に出かけ、違いを確かめてきた。

軽量ブチルチューブ R’AIR

R’AIRはずっと昔からある製品なので改めて紹介するのも今更感があるが、一言で説明するなら「軽量ブチルチューブ」にカテゴライズされる。

バルブキャップをナットを除いた状態で公称重量ピッタリ

パナレーサーの商品説明に書いてある通り、通常のブチルチューブよりも薄く、柔らかい。そのため、振動や衝撃を吸収する能力が高く、乗り心地や接地感が向上する。

R’AIR 「軽さ」と「耐久性」のベストバランスを実現させたレーシングチューブ

新開発の「Air Flex Lite Butyl」を採用。「軽さ」と「耐久性」のベストバランスを実現させたレーシングチューブ。
従来チューブと比較し、2.1倍もの伸縮性を持ち、高い振動吸収性と路面追従性により、ライディングのストレスを緩和。
軽さと丈夫さのベストバランスが、R’AIR の求めた性能です。

パナレーサー株式会社

高級チューブラータイヤに使われるラテックスチューブは空気抜けが速いという欠点があり、
さらに、ブレーキ熱で損傷するため、カーボンクリンチャーリムでは使用できない(※リムブレーキの場合)。

その点R’AIRはブチルチューブなので、空気抜けも遅い(薄い分 普通のブチルチューブよりは速い)し、カーボンクリンチャーでの利用も可能

肉厚が薄くかさばらないため、サドルバッグに入れておく予備チューブとしても便利だ。

取付時の噛み込みに注意

R’AIRは高性能なチューブだが、肉厚が薄く、タイヤ交換時に噛み込みやすいため、ホイールに組み付ける際は細心の注意を払う必要がある。

組付けミスでクレームが相当多いのか(初期不良だ!ってレビューをよく見かける)、パナレーサーのQ&Aコーナーには取り付け時の注意が細かく書いてある。

R’AIRはレースでの使用を目的に開発されており、厚みがスタンダードチューブに比べて薄くつくられていますので、ホイールへの取付け取外しには注意が必要です。

取付け時の注意:

1. タイヤビード部とリムの間にチューブをかまさないように必ずチェックしてから装着してください。

2. 特にバルブ付近がかませやすいポイントです。念入りにチェックしてください。

3. 装着時にバルブを一度タイヤ側に押し込んでかませないようにしてからタイヤをリムに装着し、その後、エア充填前にバルブを引っ張り出す作業を必ず行ってください
特に、ディープ系のリムではこの作業は重要です。もしバルブを引っ張り出さないでエア充填を行うと、チューブバルブのベース部分がリム底に密着しないままチューブが膨張しベース部分にムリな力が加わりバーストもしくはパンクする恐れがあります。

4. エア充填はいっきに行わずタイヤの局所的な膨張などの異状がないかをチェックしながらゆっくりと加圧してください。

5. バルブにリムナット用のネジ切りがある場合は、必ずリムナットを使用してください。
リムナットを締める時は、スパナ等の工具を使わず指でしっかりと締めてください。

6. 装着後、バルブが斜めになっている場合は、装着を最初からやり直してまっすぐになるように修正してください。バルブキャップは必ず使用してください。

パナレーサー株式会社

個人的には、この手の薄いチューブを組むときは、1気圧程度空気を入れ、タイヤ全体を揉んでチューブの偏りをなくしてから空気圧を上げるようにしている。

また、チューブの肉厚が薄いため、製造誤差の影響が大きく、チューブ単体で空気を入れると一部がツチノコ状に膨らむことがある。

肉厚が僅かに薄い部分が膨らむ

タイヤに入れた状態ではここまで膨らまないので、品質上の問題はないが、初めて見ると少しギョッとする。

いつもの練習コースでテスト

前述のように、土曜日は通常のブチルチューブで、翌日の日曜日はR’AIRで練習に出かけた。
タイヤはパナレーサー Race C Evo4(700x26c)、空気圧はデュアルヘッドデジタルゲージで前後6barに合わせている。

サイドがペラペラのグラベルキング(雑)ことRace C Evo4

走り始めて、タイヤ1回転で乗り心地の良さを感じた。

うそ。100mくらい走って気づいた。
アスファルトのゴリゴリした振動が穏やかだし、ギャップを踏んだときの衝撃も少ない。ついさっき空気圧を合わせたところなのに「空気抜けてるんじゃない?」と思ったくらい。

ロードバイクで乗り心地、というか跳ねにくさは重要。
バイクが跳ねると速度を失ってしまう。タイヤが路面の凹凸を吸収してくれるとバイクが安定してスムーズに走るし、ペダリングも乱れない。

まぁ、綺麗な路面だと違いはわかりにくい。

ヒルクライム

バイクの調子も良いし、9月に入って少し涼しくなったので、2週間ほど前に開通した鍋谷峠へ。
前回、開通直後に登ったときは撮影を挟みながらだったので、今回はタイムを測る。

登り始めると、サイクリストを何人も見かける。久々の開通で賑わっているようだ。

私の調子はというと、序盤から不調でパワーが出ない。先週末に2回目のワクチン(モデルナ)を摂取し、土日は副反応で寝込んでいたのだが、完全に体力が戻っていないようだ。
外周部の軽量化については、前後輪それぞれ10~20gくらいは軽くなっているはずだが体感できず。
途中でボトルを落としたりヘマをしつつ、20分15秒で登頂。

頂上は20度 涼しかった

下りが速い速い

頂上でUターンして下山。

舗装が綺麗になったとはいえ、鍋谷峠は道幅が狭く、タイトなコーナーが連続する。
先が見通せないブラインドコーナーも多く、テクニカルでリスキー。

トレックのデイライトアンバサダーになってからは昼間も前後ライトを点灯しているが、鍋谷峠のような薄暗く見通しの悪い場所ではライト点灯が特に有効。
カーブミラー越しにでもお互いを認識できれば、事故のリスクをかなり減らせる。

ブラインドコーナーでは十分な安全マージンをとりつつ、先が見通せる場所ではタイヤのグリップを試してみたが、
同サイズのグラベルキングよりケーシングが薄くしなやかな26c幅のRace C Evo4に、R’AIRが加わることで接地感がさらに高まっている

バイクが傾いた状態でギャップを踏んでもいなしてくれる。10年以上乗り続け、挙動を知り尽くしたバイクだけど、ここまで安心感を持ってスピードを出せたことはなかった。

乗り始めて12年目。フォークは3本目でコンポは6セット目。走行距離は44000kmを超えた。

まとめ:少しのコストで手に入る ワンランク上の乗り心地

通常のブチルチューブよりは高価だが、ラテックスチューブよりは若干安い本品。
中途半端な印象があるかもしれないが、ブチルチューブの使い勝手の良さを保ちつつ、ワンランク上の乗り心地を手に入れられる。

ラテックスチューブは確かに乗り心地が良いのだけれど、1日でエアが抜けるので、基本的に乗るたびに空気を入れる必要がある。
週末しか乗らないならともかく、毎日乗るサイクリストにとっては大変面倒な代物。

R’AIRが高いと言っても、価格差は前後あわせて1000円程度。乗り心地はハッキリと変わるので、かなりコストパフォーマンスの良い投資だと思う。

ただし、慎重な組付けが必要な点は改めて強調しておきたい。