MTBレースシリーズ「Coupe du Japon」に3年ぶりの参戦。朽木スキー場のゲレンデを直登するコースはさながら高負荷のローラートレーニングのようで、フィジカルが物を言う。
男子エリートは44名が出走。以前(2019)よりコースが短縮されて周回タイムが短くなったことで、80%ルールによる足切りが続出。15番手を走っていたが、マイナス3周でレースを降ろされたのだった。
5/5 Coupe du Japon びわこ高島(朽木)
コースコンディション:ドライ、砂利
リザルト:15位/44名(9周回 -3Laps 順位34% フルラップ完走8名)
機材
Specialized S-WORKS EPIC 2015
- 前輪: Mavic Crossmax SL PRO LTD / Schwalbe Racing Ralph 29×2.1 / 1.3bar
- 後輪: Shimano WH-M8020-TL-R12-29 / Schwalbe Racing Ralph 29×2.1 / 1.3bar
※空気圧はPanaracer デュアルヘッド デジタルゲージ基準
動画
すくみずログ YouTubeチャンネルでレース動画を公開中
3年ぶりのMTB XCレース参戦
私は冬場のシクロクロスを中心に自転車競技に取り組んでいるが、夏場はMTB XC(クロスカントリー)のシリーズ戦「CJ: Coupe du Japon(クップドゥジャポン)」←なぜかフランス語 に参戦していた。
「CJ」はロードバイクでいう実業団レースに相当し、レベルに寄ってチャレンジ→アドバンス→エリート、とカテゴリが分類されている。(他に30歳以上のマスターや高校生以下の年代別カテゴリ、女子カテゴリもあり)
最上位のエリートカテゴリでは、国内トップクラスの選手が優勝争いをしている。
2015シーズンに参戦し始め、男子エリートまで昇格して真ん中あたりをフラフラ走っていたのだが、最後に出場したのは2019年8月のCJ-U白馬。
コロナ禍の2020,2021シーズンは参戦休止していた。
レースの中止や延期が相次ぎ、参戦スケジュールを立てにくかったことや、自粛ムードでなんとなく気が進まなかったというのが理由。(冬場のシクロクロスは毎週走ってたけど…)
このままMTBレースからフェードアウトしようかとも思っていたが、2022年のMTB全日本選手権はオリンピックが開催された伊豆・修善寺のMTBコースで行われることを知り、それじゃあ走るか、と今季は参戦することにした。
なお、通常はシーズンの総合ランキングによってカテゴリ降格処理が行われるが、この2年間はコロナ禍ということで、レース参戦しなかった選手についてもカテゴリ残留という対応がなされた。
なので、2シーズン休んでいた私もエリートから参戦できる。
バイクの整備
出ると決めたら、2年間にわたって置物になっていたバイクを整備。
機材は、スペシャライズドのフルサスペンションバイク S-WORKS EPICの2015年モデル。クロスカントリーMTBの最上位モデルで、2015年時点では世界最高峰のバイクのひとつだった。
ただ、MTBの進歩は非常に速く、数年間でトレンドや規格が様変わりする。
現代のクロスカントリーレースは一昔前のダウンヒルレースのような激しいセクションがあり、XCレースバイクといえど下り寄りの味付けがなされている。現行モデルのEPICから2世代前となる本バイクは、ヘッド角が立っている(71度)、サスペンションストロークが短い(前後95mm)、ハブ規格が古い(F15x100/R12x142)など、今となっては古さは否めない…
Photo Sumpu
さて、レース数日前にようやく重い腰を上げ、整備に取り掛かる。保管時に外していたパーツを取り付けて調整。今や必需品のドロッパーポストは動きが悪くなっていたので洗浄とグリスアップをしておいた。また、フロントブレーキが若干オイルを吸っているのか効きが悪かったため、近所のトレイルの下りで熱をかけて焼き切っておいた。
コース試走
MTBのコースはシクロクロスの比にならないほどリスキーなため、基本的に前日に会場入りしてじっくり試走を行う。十分な試走を怠ったり、自らのテクニックを過信すると救護に担ぎ込まれることになる。毎レース、だいたい誰かが骨折しているように思う。
しかし、朽木はコースがイージーで、家からアクセスもしやすいことから、今年も当日入り。朝試走の時間は長めに取られていて、3周ほど走れた。
朽木のコースレイアウトは「ヒルクライムレースかよ!」というくらい長いゲレンデの上りが有名で、選手から大いに不評を買っている。
「短く急な上りを駆け上がって、すぐさま下る」という現代XCシーンからかけはなれたコースなのだが、改めてコースレイアウトを見ると、コロナ禍で(?)コースが短縮され、上りが短くなっていた。
…それでもメインの上り区間はレースペースでも2分半ほどかかったが。
下り区間もゲレンデ。路面は砂利で非常に滑りやすい。転ぶと多分すごく痛い。
ドロップオフやバームセクションもあるが、基本的にはゲレンデの上り下りを繰り返すコース。高出力を維持して踏み続けるフィジカルが物を言う。
朝試走後はなかなかゆっくり話す機会が無かったSARISサポートライダー仲間の詫間選手(NESTO FACTORY RACING)と話し込んだり。
滋賀の山奥でSARISサポートライダーズにお会いしました。
— Takaaki Takuma (@taku_mtber) May 5, 2022
すくみずさん(@skmzmw )レース楽しみましょう!#SARIS #H3 pic.twitter.com/8PSt1hx9Wx
レースレポート
久々のMTBレースだが、表彰台を狙うようなレースでもないし、グリッドは最後尾だし、シクロクロスに比べれば気楽なもの。
…と、気楽にアップしていたら招集に遅刻した。どうせ最後列だから関係ないけど。
レースは13時30分スタート。1周が短いことで、周回数は9周回。絶対完走できねぇ…
スタート直後、目の前で転倒。転んだのはイワイの戸谷さんで、踏み込んだ瞬間にチェーンが切れたらしい。不運だ…
幸い速度も出ていなかったので避けることができた。
コントロールラインを過ぎるとすぐに不評のゲレンデ上りが始まるが、コース幅が広いので、走りやすい路面にこだわらなければラインを変えてどんどん前に上がっていける。最初のクライムで20番手あたりに位置取り、下り区間へ。
下りは砂利が浮いていて、少しでも無理をすると足元をすくわれる。転倒は大幅なタイムロスになるので抑えていく。
他の選手と順位が入れ替わることは何度かあったが、競り合いはほとんどなく、マイペースを守って登る。
しかし、このとき同じ位置にいた竹之内悠選手(#17)と松田選手(#13)は最終的に10位と11位だったので、無理してついていくべきだったかもしれない。
何度か上り下りを繰り返し、15〜17番手くらいに落ち着いた。
日差しが強く気温も高いので、フィードゾーンではボトルの水を被って体を冷やしながら走る。あとは、コントロールライン手前の舗装路では毎周回ドリンクを飲むように意識していた。
4周目にはフィードでジェルを補給。味が濃くて喉が痛いが、気持ちをリフレッシュさせて後半戦へ。
少し後方にジュニアの選手が見えるが、差が詰まることもなく、ほとんど一人旅。
下りで回復しきれないので足はどんどん重くなってくる。修行のように登り続ける。
そして6周目。もう1周くらいはいけるかな?とおもったがこの周回で足切り。9周回のレースを-3ラップで終えた。
しかし順位は意外と悪くない15位。
後でリザルトを確認すると2周目から足切りが始まっており、フルラップで完走した選手は、44名出走のうちわずか8名だった。
レースを振り返って
上りが長く単調なので体感的にはヒルクライムレース、あるいはワークアウトのよう。レストが短めのVO2MAXインターバルをやっている気分だった。
ログを見ても、まるでワークアウトをしていたようなグラフ。
ただ、オーバーペースを恐れるあまりパワーを抑えすぎた。一番長い上り区間の平均パワーは、3周目以降、FTPを下回っていた。
上りで踏めなかった影響は、ラップタイムにもしっかり現れており、順位を上げるため踏んでいた1〜2周目は9分30秒前後を刻んでいたのに対して、3周目以降のラップタイムは10分20秒台。大幅に悪化している。
オフロードの実走では舗装路に比べてパワーを出しにくいとはいえ、流石にもうすこし踏めたと思う(レースの最中は、これ以上は無理だと思っていたが)。
普段、レース中はパワー表示を消している(精神衛生上良くないし、そもそもMTBやCXレースで悠長にパワーを見ている暇がないため)が、今回のような、単調な上りが続くコースでは、パワーメーターの数値でペースを確認しながら登るのが効果的だったかもしれない。
15位という結果だけを見ると悪くないが、内容的にはあと一歩。
もうすこしうまくレース勘が働き、上手にペーシングできれば、フルラップ完走とは難しくとも、途中同じパックになった竹之内選手や松田選手に次ぐ位置、12位くらいは十分狙えたと思う。
ERGモードで設定されるまま踏むだけのワークアウトばかりやっていてもだめだなぁ、と反省。ZWIFTレースもトレーニングに取り入れていこう。
ペーシング、さらにはテクニック不足など、反省点がいくつも残ったが、一方で久しぶりのMTBレースはとても楽しかった。このままMTB XCからフェードアウトしようかとも思っていたが、やっぱり出てよかった。
応援・撮影・サポートありがとうございました。
さて、次戦は…八幡浜は出ないし、白山一里野も多分行かないので、もしかして、修善寺の全日本選手権が今季2戦目になるのでは…!?
SARISサポートライダー活動について
2020年12月よりSARIS JAPANサポートライダーとなり、
インドアトレーニングやバーチャルライドを盛り上げる活動を行っています。
トレーニングにはSaris H3を使用しています。