at FTPで乳酸の自転車操業をしつつ、over FTPで負債が溜まっていくというワークアウト。Less than 30 minutes to burnカテゴリーの20分ワークアウトながら、FTPテスト終盤に近い状態まで追い込まれる。
Time Crunched > At/Overs
メニュー
- アップ 25→75% 5分 (90rpm)
- 100% L4 3分 (90rpm)
- 125% L6 30秒 (110rpm)
- 100% L4 2分 30秒 (90rpm)
- 120% L6 30秒 (110rpm)
- 100% L4 2分 (90rpm)
- 115% L5 30秒 (110rpm)
- 100% L4 1分 30秒 (90rpm)
- 110% L5 30秒 (110rpm)
- 100% L4 1分 (90rpm)
- 104% L4 30秒 (110rpm)
- クールダウン 50→25% 2分 30秒
ワークアウトについて
基本はFTP走だが、ワークアウト名の通り「at FTP」に、30秒間の「over FTP」というアクセントが加わる。12分30秒のメインセットの最中はずっとFTP比100%以上で踏みっぱなし。
5セット×(FTP (90rpm)+バースト 30秒 (110rpm))
という形だが、セットごとにバーストの強度は下がり、一方でFTP走の時間も徐々に短くなる。
後半にかけて、楽になるどころか逆に追い込まれていく構成。
FTPを超える運動では乳酸の負債が貯まるため、運動を続けるためには有酸素運動で分解する必要があるが、
FTP走、つまり乳酸閾値(LT)では、乳酸の生成量と代謝量がバランスしている状態で、ここで回復することは出来ない。
つまり、At/Oversは、at FTPで乳酸の自転車操業をしながら、over FTPで負債が溜まっていく、というワークアウト。
スムーズなペダリングでat FTPをこなせれば、最後の1本を耐えきれるし、できなければ破産が待っている。
ワークアウト実走
インターバル+L4といえば同じTime CrunchedグループのVaultを連想するが、こちらはL4とはいえ90%のSST強度で、幾分余裕がある。
似たようなもんだろうと思って回し始めたが、1本目のover FTPのあと、このメニューの怖さに気づいた。
FTP走では乳酸の生成と消費がバランスしているため、Over FTP後に心拍数が下がらず、乳酸負債に応じて心拍数が階段状に上がっていく。下のグラフには段階的に上がる心拍数がはっきりと現れている。
4~5本目あたりで心拍数は90%VO2MAXに達する。最後の1本は104% 30秒という強度に過ぎないが、乳酸濃度が増して脚が終わりかけており、心拍数も脚の重さも、FTPテスト終盤に近い状態。
完遂を目指すには、一定のトルクでスムーズにクランクを回し「力(エフォート)を使わず力(パワー)を出す」事がポイントとなる。
このグラフはまた、FTPテスト序盤の無駄踏みがいかに愚かであるかを教えてくれる。
以上のように、At/Oversは、大した事なさそうな見た目に反して、結構ギリギリまで追い込まれるワークアウト。4セット目の途中、ちょっと辞めたくなったくらい。
ただ、インターバルの強度が下がるのに心拍は上がっていくという点が面白く、よく出来ていると思った。
関連情報
SARISサポートライダー活動について
2020年12月よりSARIS JAPANサポートライダーとなり、
インドアトレーニングやバーチャルライドを盛り上げる活動を行っています。
トレーニングにはSaris H3を使用しています。