北海道で行われる国内最大規模のグラベルライドイベント「パナレーサー ニセコグラベル」に今年も参加。
土曜日から日曜日朝にかけて強い雨が降り開催が心配されたが当日は天候が回復。路面コンディションも想像していたほど悪くはなく、ライドを存分に楽しめた。
Panaracer NISEKO GRAVEL AUTUMN RIDE 2025
日本最大のグラベルイベント
北海道の広大な大地と、主に山林管理用に整備された極上のグラベルを楽しめるライドイベント「ニセコグラベル」。
一般向けの開催としては5周年を迎えるが、定番のグラベルタイヤ「グラベルキング」シリーズを展開するパナレーサーのサポートもあって、日本国内のグラベルライドを象徴するイベントになった。

私個人としては2022年5月のスプリングライドから数えて7回目の参加。前回に続き、今回もゲストライダーとして招待していただいた。
新たなエリアを組み込んだ3種類のコース
参加7回目ともなるとコースもマンネリ化してくるのでは?と思われるかもしれないが、そこは北海道、道路もグラベルも無数に存在しており、毎年全く違うコースが設定される。
特に今回は、初めて海沿いの区間が組み込まれて期待が高まる。
土曜日は前日イベントのグラベルライドセッション(54km)があり、イベント本番の日曜日は以下の3コースが設けられる。
パナレーサー ニセコグラベル オータムライド 2025 コース一覧
- HIGUMA Course 7:30 Start / 127.3km / ±1,957m
- EZOSHIKA Course 8:00 Start / 105.5km / ±1,721m
- SHIMARISU Course 8:30 Start / 46.6km / ±814m
エイドはコースによるが3~6箇所設定され、各所では北海道グルメが味わえる。
私はというと、もちろん最長のヒグマコースにエントリーした。
使用バイク
バイクは昨年と同じ、Cannondale Topstone Carbon 1 Lefty。
30mmストロークのグラベル専用サスペンションフォークとリヤサスペンション機構を備えるアドベンチャー系グラベルバイクだ。

詳細はバイクレビュー記事(こちらは試乗車なので細かな仕様が異なる)を参照のこと。

タイヤはグラベルキングX1 45cを使う。
バイクを倒し込んだときのグリップと舗装路での転がりを両立するトレッドパターンで、オンロードもオフロードも快適に使える。

軽量ケーシングのX1 Rはしなやかで乗り心地とグリップに優れる一方、ややデリケートなのであえてノーマルモデルを選択。
体重68kg、内幅27mmのフックレスリムで、空気圧は約2.0bar。

パワーメーターはAssioma Pro MX-2。同シリーズはロードでも愛用しているが、価格、重量、測定精度どれをとっても満足できる製品だ。

SPDペダル互換のPro MXはスタックハイトも低めだし、ステップイン・アウトの感覚もシマノペダルと遜色ない。
数機種あるSPD互換パワーメーターのうち、いま一番おすすめできる製品だ。
脱着には15mmのペダルレンチが必要なので、アサヒの軽量コンビネーションスパナをバイクのダウンチューブ裏ボトル台座に取り付けて輪行した(走行中は取り外す)。


旅程と飛行機輪行
3連休に前後泊を追加
3連休に重なるので、前後に1日ずつ追加して4泊5日の旅程を設定した。
連休最終日の飛行機は高額なので、月曜に帰るより、札幌に1泊+火曜帰宅のほうが安い。
金曜日 | 関西から札幌に移動。札幌泊。 |
土曜日 | 朝からレンタカーでニセコに移動。前日受付ほか。 |
日曜日 | ニセコグラベル。ライド後は現地にもう1泊。 |
月曜日(祝) | 観光日。レンタカーを返却し札幌泊。 |
火曜日 | ライドしつつ空港に移動。夕方の飛行機で帰宅。 |
飛行機輪行に関して、国内フルサービスキャリアなら輪行袋で十分だ。輪行袋を利用することで、空港からそのまま自走することもできる。

タイオガ・コクーン(現在は29er用を使用)で何度も往復しているが、要所を抑えてパッキングしていることもあって、今のところ大きなトラブルは経験していない。

レンタカー
今回、現地では3名3台での移動となったのでハイエースのレンタカーを手配した。
3台ならタウンエースクラスでも対応できるが、やはりハイエースのほうが積載が楽だ。

前日は会場を散策
今回のライドメンバーは、2022秋と2023春、2024春に参加したさきぷさん、2023春、2023秋に参加し、関西CXではランキングを争う村田さんとの3名。
金曜日に札幌で合流し、土曜朝からレンタカーで移動。札幌からの所要時間は2時間弱といったところ。
全て下道だが、札幌市街を離れると信号も交通量も少なくなる。
ニセコ駅前の会場に到着したら、前日受付を済ませて、ブースを見て回る。

発売予定のブロンプトン G Lineが試乗できたので乗ってみた。
20インチホイールとディスクブレーキ、さらに幅広のハンドルバーで、乗車感はかなり安定している。
小径車らしいヒラヒラ感のある従来モデルとは別物だ。
ただ、畳んだ状態のサイズは一回り大きく、重量も重いので、公共交通機関での輪行は大変そうだ。

リドレーの新型グラベルバイク ASTR RSも試乗できたが、雨が降ってきたので諦めて退散。
その後は車で海の方まで行き、翌日のエイドステーションにもなっている「道の駅 シェルプラザ港」にて貝の博物館を見学して過ごした。


決起集会で英気を養ったら、早めに就寝。

ニセコグラベル当日
突然のコース変更
ライド当日は5時半に起床。ホテルの窓から外を見ると雨が降っていて気持ちが萎える。
ただし雨雲は薄く、天候は回復するようだ。
朝食のゼリーを吸い、ウエアに着替えて会場へ。
気温はそこまで低くないので、レッグウォーマーや上着は必要なさそうだ。

道中、コース状況を鑑みて、127kmのヒグマコースがキャンセルになったことを知る。
ヒグマコース参加者は105kmのエゾシカコースを走るらしい。慌ただしくガーミンにルートを入れ直す。
準備を整えたらスタート5分前。急いで招集地点に集まり、走り始める。

スタート(0km)
7時30分に走り始める。スタートゲートをくぐった直後、全員でミスコースするハプニングもあったが、大きな事故などはなく走り始める。。
しばらくは舗装路。雨は上がっているものの路面はしっとり濡れており、ほどほどのペースで進む。

リヤフェンダーの有無で後ろに巻き上げる水しぶきがかなり違う。自分の尻を濡らさないため、さらには後方のライダーに迷惑をかけないためにも、グラベルバイク向けのフェンダーを買っても良いかもしれない。
ユノサトエイド(10.5km)
10kmほどで最初のエイドに到着。舗装路の下り坂から登り返す場所だったので、つい通り過ぎそうになった。
まだ全然疲れていないので、甘酒で喉を潤し、休憩もそこそこに出発する。

次のエイドまでは15kmほどと距離は短いが、ここからはグラベル区間が現れる。最初のグラベルは、今まで何度もコースに組み込まれているお馴染みのルートだ。

雨の影響は心配したほどではなく、路面は湿っているもののグチャグチャではない。こういう土の路面は、雨が降った直後は意外とコンディションが良かったりする。

一瞬の舗装路区間を挟んで、やや激しい急勾配の下り区間。タイヤの感覚を確かめながら駆け下りると、川沿いの舗装路に出た。
グラベルの余韻に浸りつつ、増水した蘭越川に沿って走っていると、第2エイドが近づいてきた。

ランランエイド(26.3km)
第2エイドのらんらん公園は、2022年のスプリングライドでスタート地点になった場所だ。
ここでは、540日寝かせた、ねっとりと甘いじゃがバターと、おいしいかまぼこを補給。
先を急ぐ理由もないのでしばらくのんびりして、知り合いと談笑しつつ過ごす。

ここから次のエイドまでは少し長く30kmほど。3つの山を登り、2本のグラベルを抜ける。
YouTubeのニセコグラベルライド動画を見て、九州から参加したという人と話しつつ、グラベルの林道を登る。
心配していた天気はどんどん回復し、青空が見えてきた一方、日差しが暑くなってきた。

そんな折にトラブル発生。村田さんがストップしたので様子を見ると、右ペダルが脱落してしまっている。クランクブラザーズでよくある壊れ方だ。

現在の距離は50km。まだ50km残っている。どうするのかと思っているとシャフトを直接踏んで走り始めた。
最初は何度か踏み外していたが、そのうちコツを掴んでスムーズにペダリングし始めた。
ダンシングを織り交ぜつつ300Wで登り、さきぷ氏を置き去りにする村田さん。来月からのシクロクロスシーズン、ぼくはこんな化け物と戦うことになるのか…

イソヤエイド(57.1km)
急勾配の細い舗装路を登り切ると、大きな風力発電機の真下に出た。このあたりは風が強いのか、いくつも風車が並んでいる。
そして眼前には積丹ブルーの海を見下ろす。川の泥で海岸線付近は黄土色だったけど。
写真を撮って少し進んだところにあるエイドでランチタイム。
地元産らんこし米を使った特性カレーとミニトマト、そして串団子が振る舞われた。
天気は快晴、風も気持ちよく、景色は最高。キャノンデールのグラベルソファも設置され、ワイワイとつい長居をしてしまった。ここはニセコグラベルで初めて組み込まれた区間だが、今までで1,2を争う絶景。また走りたいと思った。

ここから一気に海岸線まで下り、海沿いを駆け抜ける。8kmほどで次のエイド、道の駅シェルプラザ港に到着。

ミナトエイド(65.2km)
前日に車で訪問したときは横殴りの雨が降っていた道の駅だが、今日は暑いくらいの快晴。
ここでは狙ったようにアイスが提供され、熱くなった体をクールダウンする。

ここはスタートから一番遠い地点で、位置的には折り返しにあたる。距離は残り40kmだ。
帰路はグラベルもアップダウンも少なめ。後半になるほどラクなルートになるのは、ニセコグラベルの良くなった部分だ。昔は、疲れてきた頃にデカい山を越えるロンググラベルが出てきて随分辛い思いをした。

ゴールを実感したことと、追い風も相まって舗装路を快走。ついペースを上げすぎて、さきぷ氏を千切ってしまった。

ランランエイド(85.7km)
第2エイドと同じらんらん公園に再び到着。ここでニセコグラベルの目玉、らんこしの赤玉メロンにありつく。疲れた体にメロンの甘さが染みる。

エイドを出ると残りは20km。時間にして1時間程度だ。2022年のスプリングライドで最初に走り、北海道グラベルの凄さを思い知らされた思い出のルートをなぞる。

最後に、多分運営お気に入りの短いグラベルを抜けて、舗装路に。登って、下って、ニセコ大橋をくぐったらゴールはすぐそこだ。

フィニッシュ(105km)
13:56に帰着。7:30のスタートからおよそ6時間半のライドだった。
走行時間は4時間半ほどだったので、いかにエイドでダラダラ休んでいたかよくわかる。
ニセコグラベル 2025 オータムライド
- 走行距離 105.39km
- 走行時間 4時間33分
- コースタイム 6時間26分
- 獲得標高 1837m
- 平均時速 23.2km/h
- TSS 216
- 平均気温 23度
帰着報告を行い、洗車場で泥だらけになったバイクを綺麗にした後、フードブースで腹ごしらえ。
会場から15分ほどの場所にある、いつもの黄金温泉でリフレッシュ。羊蹄山も良く見えた。今回も良いライドになった。

ライドを終えて
イベント当日、中級にあたるエゾシカコース(105km)にコースが変更されたが、決して物足りなさを感じることはなく、むしろ適度に余裕を持ちながらライドを楽しめたと思う。
当初はハードすぎる傾向があったニセコグラベルだが、開催を重ねる事にブラッシュアップされ、コースレイアウトやエイドの間隔、グラベル率もちょうど良いところに設定されていたと感じた。
今年のコースで特に印象に残ったのは、やはり風力発電群のエイドだ。並ぶ風車と海を見下ろすロケーションは最高で、可能なら、次回以降もなるべくコースに組み込んでほしいと思った。
毎年ニセコで行われるニセコグラベルだが、毎回違うグラベル、違うライドを楽しめる。今から来年の開催が楽しみだ。

おまけ
観光も抜かり無い。
ニセコ町 芳賀農場


苫小牧市 ミール展示館


恵庭市 蝦寿し


航空自衛隊 千歳基地

